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批判される理由
[日本の政治]
2019年8月4日 23時58分の記事

国民民主党代表の玉木氏の発言が報じられていますが、同氏は政治家として国民と正面から向き合うことと、憲法について正面から議論することと、どちらを重視するのでしょうか?

「国民 玉木代表 改憲議論に前向きな姿勢強調 党独自の見解も」(2019年8月3日 NHK)

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玉木氏の発言が、上記NHKの記事で以下のように報じられています。


この中で玉木氏は「『改憲』と言えばすぐにひぼう中傷を受け、本質的な憲法議論ができなくなっているのが非常に残念だ。正面から議論することが大切だ」


玉木氏に対してどんな誹謗中傷があったのかは定かではありません。しかし、玉木氏への批判は、大方、先の参院選挙で野党共闘を高らかに宣言しているのに、そのスタンスが選挙が終わった瞬間に全く反対になったことについてでしょう。まず、それを誹謗中傷と言いのけるのは、単なる焦点のすり替えで、本ブログ「国民に平気で嘘をつく政治家?」(2019年7月29日)で書いた同氏の人物像からはずれるものではありません。
国民民主党と共闘をした野党は基本的に護憲であるわけで、このことは政策上最大のポイントであるわけです。したがって、共闘をしたということは護憲と言う方向性に同意したということになります。
しかし、実態は異なり、先の選挙が終了してすぐに野党共闘の方向性とは全く逆のスタンスを玉木氏は示したわけです。さらに、実際には選挙中、静岡選挙区において、護憲の徳川氏に対して自民党とはっきりと共闘をしているわけです。野党共闘を国民に向け選挙前から示しているにもかかわらず、裏では自民党と共闘をしていたわけですから、これだけでも国民への裏切りです。そして、それを対護憲ということでしていたわけです。このことは上記7月29日のブログで書きました。
だから、批判されるわけです。とても簡単明瞭なことなのです。選挙という国民と正面から向き合わなければならないときに、同党が表向き言っていたことと反対のスタンスが選挙直後に出てきただけではなく、野党共闘をやっているはずの同党が実際には自民党と裏で共闘をしていたわけです。これでは批判されない方がおかしいでしょう。玉木氏が誹謗中傷をしたと言っている人たちが、実は先の参院選で、同氏や同党が表向き言っていることを信じて票を投じた有権者である可能性は大きいのです。
選挙というのは民主主義の根幹です。ご自分がそもそも国民と正面から向き合わなくてはならない選挙で国民を裏切っておいて、それを批判する国民はおかしいと論理をすり替えているわけですから、それはまさしく民主主義の否定に他なりません。“国民民主”という党名もまた嘘なのでしょうか? 非常に空虚に見えますし、これまでの玉木氏の言動を追うと国民民主という思想は感じられません。玉木氏の論理展開は国民無視の自己都合としか言い様がないのです。
このように観ると、上記の玉木氏の言葉には、自分のことは棚に上げて、他人を、正確に書けば国民を問題視して、国民を批判して自分を正当化するという論理と思考があります。自分を省みないという本質がまさにありますし、その上、論理の中心を国民への批判にするのですから、それは質が悪いと言われても仕方がないことでしょう。こういうのを逆ギレと言うのでしょう。
憲法を正面から議論すると声高に叫ぶ前に、まず正面から国民と向き合うことをすべきなのは言うまでもないでしょう。国民民主なのですから。国民と向き合わずして憲法を作れるはずもないのですが、その基本的姿勢が玉木氏にも同党にも見当たりません。

背景があるのではなか
この玉木氏の論理展開を観ていると、先の通常国会で野党が安倍首相の問責決議案を出したとき、その反対討論で参院議員の三原じゅん子氏が 「問責決議案の提出は愚か者の所業」(2019年6月25日 毎日新聞)と述べたことを思い出します。本ブログ「残された切り札は少ない」(2019年8月3日)で書いたように安倍政権の経済運営は今やむちゃくちゃで、その影響が明らかに出ています。アベノミクスは完全に失敗しています。もちろん、問題はそれだけではありません。そのような状況では、問責決議案だけでは足りないくらいであるのに、それを出したのは愚か者と言っているわけですから、その発言には謙虚さや責任の自覚もありませんし、実際、逆ギレに近いものです。
謙虚さや責任の自覚がないという点や逆ギレの論理が、玉木氏と三原氏の発言に共通する要素と考えます。さらに、上記記事には三原氏の発言はやや乱暴で品位に欠けると書かれていますが、批判に対しての乱暴さ、品位のなさもやはり共通点として上げられるものと考えます。
このような共通性は単に思考が同じというだけで偶然かもしれませんし、単なる政治家の劣化を示すものなのかもしれませんが、しかし、そこには共通する振付師がいるようにも推測します。

「三原じゅん子議員『愚か者の所業』って…『謙虚さ忘れた圧政者』と批判」(2019年6月25日 毎日新聞)

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1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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