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山田真貴子氏問題の側面は2つ ?
[日本の政治]
2021年3月1日 23時51分の記事

内閣広報官・山田真貴子氏の辞任。この山田氏の問題には2つの側面があります。一つは東北新社という一私企業と総務省との不公正な癒着で、もう一つはあからさまな言論弾圧です。

「総務省接待問題9人懲戒処分 2人訓戒など 総務相は大臣給与返納」(2021年2月24日 NHK)

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まず、癒着から。今回、総務省の11人もの高級官僚に処分が下されたことでも明らかなように、東北新社という一私企業と総務省の間に極めて大規模な癒着があるわけです。そこに贈収賄がないと考える方が不自然なレベルです。この異常な関係、不公正な癒着の中の一人として公務員である山田氏がいるわけです。
この不公正な大規模な癒着は、スガ氏の子息を中心に行われているわけですが、一方で処分を受けた中の筆頭格の谷脇審議官は、スガ氏が目玉政策とぶち上げた携帯電話料金値下げのキーマンです。また山田氏はスガ氏が内閣広報官に抜擢した人物です。以下のアエラの記事などにあるように、スガ氏は意に沿わない官僚は更迭、逆に身内には甘いと言われるていますから、谷脇氏も、山田氏も、実質スガ氏の“身内”なのです。実際、このアエラの記事では『身内』ということが言われています。

「『人事の宝刀』振りかざす菅首相が身内には大甘処分 重用する山田真貴子氏は『追い込まれ辞任』」(2021年3月1日 アエラ)

要するにスガ氏親子を中心として総務省には菅一派があり、その一派が東北新社というスガ氏の子息がいる会社と大規模に癒着していたいうことと考えるのが自然なのです。スガ親子にこの件について繋がりがないと言っても、処分された総務省の高級官僚と山田氏について報じられたことは、このスガ一派の存在を明確に示唆しているのです。
そして、これは間違いなくスガ氏を中心とした権力の私物化なのです。この総務省で考えられるスガ一派の存在は必然、憲法15条第2項「すべて公務員は全体の奉仕者であって一部の奉仕者ではない」ということに二つの意味で反します。
一つは東北新社という一私企業との癒着で、少なくとも全体の奉仕者ということについて明白にバランスを欠いています。そして、もう一つの観点は、何よりスガ氏に対する官僚の関わりで、処分された高級官僚と山田氏は、スガ氏という一部に対する奉仕者になっている可能性があるわけです。東北新社との癒着もスガ氏の子息という存在を通して、スガ氏に対する奉仕をするということは十二分に考えられるわけです。
これだけ大規模に癒着があると、当然、すでにこの憲法の条文に反しているのは明らかと考えます。まさに国の根幹を揺るがす政治的問題であるのは明らかです。そして、そこに山田氏の存在もあるわけで、他の処分された総務省の官僚と同じであるわけです。そして、何よりもあと処分されていないのは、スガ氏だけなのです。
公務員の腐敗、倫理観の欠如。それを監督できない自民党。むしろ監督ではなく、蔓延させているというのが今回の問題の本質であると考えます。そして、2012年以来、ずっと官房長官であったスガ氏は、アベ氏と共にまさにその最大の責任者であるのです。
そして、この官僚腐敗は、言うまでもなく民主主義の破壊なのです。

言論弾圧
山田氏のもう一つの問題点は、言論弾圧です。本ブログ「問題の核心は言論弾圧、民主主義の破壊 ?」(2021年2月25日)ではそのことを書きました。ここで書いたことは、NHK『ニュースウオッチ9』の有馬嘉男さんが、日本学術会議問題についてスガ氏に食い下がって質問したことで、スガ氏に問題視され、山田氏がNHKに電話をして圧力をかけたことにより、有馬さんはまずアドリブの発言が禁止され、次に降板が危惧され、そして降板となったと以下のリテラの記事が報じたことです。有馬さんは国民のためにしっかりと質問をしたにもかかわらず、それで官邸から圧力があり、有馬さんは一気に追い詰められたとリテラの記事は言っています。

「NHK『NW9』有馬キャスターが降板! 原因は菅首相の激怒と官邸広報官の圧力電話 『クロ現』国谷裕子降板事件の再来」(2021年2月9日 リテラ)

この山田氏の言論弾圧問題は、昨年11月の週刊現代の記事「総理が怒っていますよ…官邸からNHKへの『クレーム電話』その驚きの中身」(2021年11月15日 週刊現代)で報じられていますが、その記事には、実は以下のように書かれています。


菅氏は官房長官時代にメディア、特にNHKに対してたびたび圧力をかけてきた。時にはそれがキャスターの降板や記者の人事にも影響したとされるが、実は安倍政権下で官邸入りし、菅氏のもとでメディア対策に従事したのが山田氏だ。

「総理が怒っていますよ…官邸からNHKへの『クレーム電話』その驚きの中身」(2021年11月15日 週刊現代)


アベ政権時代、同政権によるテレビメディアへの言論弾圧が頻繁に問題視されました。そして、この週刊現代の記事を観れば、この山田氏がその首謀者の一人であるということになります。恐らくアベ政権時代、テレビメディアへの言論弾圧の実行者はこの山田氏と考えます。私から言わせれば、山田氏は日本の言論を曲げたまさに極悪人と考えます。万死に値します。
しかし、2月25日の衆院予算委員会で、山田氏は、スガ氏の意を受けて、NHK『ニュースウオッチ9』の有馬嘉男さんについてNHKに圧力の電話をかけたことを否定しています。

「山田広報官、NHKへの電話を否定 『自ら履歴を確認』」(2021年2月25日 朝日新聞)

ブログ「問題の核心は言論弾圧、民主主義の破壊 ?」(2021年2月25日)では、この山田氏の否定答弁について、まったくデタラメと書きました。本質的な内容を答えていないわけです。でも、とにかく、山田氏はそんな電話はしていないと言い張ったわけです。
しかし、3月1日、週刊文春が以下のように報じています。


有馬氏の降板をめぐって取り沙汰されているのが、昨年10月26日の臨時国会開幕日、菅義偉首相が生出演した際のやりとりだ。有馬氏は、炎上していた日本学術会議をめぐる問題で、菅首相に質問を重ねた。菅首相は最後には明らかにムッとした様子で「説明できることと、説明できないことがある」と述べた。
「このやりとりを受けて、放送直後から、山田真貴子内閣広報官が原聖樹政治部長に対し、有馬氏の質問内容に抗議した――という話が局内で広まったのです。実際、原氏は後になって周囲に『山田さんに怒られて大変だった』と漏らしていました」(NHK中堅職員)

「『菅と二階の怒りを買った2人が飛ばされた』……NHK有馬キャスター、武田アナ降板の衝撃」(2021年3月1日 週刊文春)


やはり山田氏からNHKへの圧力の電話はあったのです。この文春の記事には、NHK「クローズアップ現代+」の武田真一アナも、二階氏の不興を買った直後、番組降板になったと書かれています。まさに、アベ政権時代からずっと自民党政権において言論弾圧が続いているのです。その言論弾圧の重要なポイントになっているのが、この山田真貴子氏なのです。
官民の不公正な癒着は、まさに公務をする公務員が公正さを失い、必然、政治を腐敗させ、民主主義を破壊します。さらに、この言論弾圧は、政治と民主主義の根幹を揺るがす、極めて危険なことであるわけです。自民党政権によるこのあからさまに行われる言論弾圧は独裁国家と変わりありません。日本も戦前・戦中、そう言う時代があったのですが、戦前復古の右翼政権であるアベ政権になってから急速にこの言論弾圧が進んでいるわけです。そのポイントにいたのが、この山田真貴子氏であるというわけです。
山田氏が内閣広報官を辞しても、このことは許されるものではありません。東北新社との不公正な癒着以上に、この言論弾圧問題は、徹底的に追求しなくてはなりません。山田氏のこの言論弾圧の問題は、政治において最大限に重いことなのです。

「山田真貴子氏問題の側面は2つ ?」(2021年3月2日)へ続く。

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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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