《日本の政治》 今回の総選挙の分析 その4 自民か、反自民か (4) | |||
[日本の政治] | |||
2021年11月11日 23時43分の記事 | |||
本ブログ「《日本の政治》 今回の総選挙の分析 その4 自民か、反自民か (3)」(2021年11月8日)の続きです。
日本の国政選挙の実相は、自民党に入れたいか、入れたくないか(反自民)の選択ということをずっと述べてきました。なぜなら、国政選挙を観る上ではこのことが最重要のポイントだからです。だから、国政選挙について最初に考えるべきことは、自民順風か、逆風かということなのです。 しかし、ここまで単純に言うと、かえって信憑性がなくなってしまうことと思います。 私も政界に入った当初は、そう思っていました。でも、私が90年代のある参院選挙の選挙区の選挙に関わったとき、とても強く思ったのです。 参院の選挙区というのは、通常、各都道府県を1選挙区とします。地方だと各選挙区当選者一人となります。 そして、そういう地方の選挙区においては、自民と野党の一対一の構図になります。この構図は、実は小選挙区なのです。小選挙区とは、選挙区で当選者が一人のことを言うのです。選挙区の面積のことを言っているわけではないのです。ですから、参院選挙区は面積はとても大きいのですが、当選者が一人ですと、それは小選挙区になるのです。 そういう選挙区では、大抵、候補者は2人か、3人で、選択肢は与野対決になるのです。つまり、自民党に入れたいか、入れたくないか(反自民)という選択になるのです。 そして、このように選挙区で選択肢が狭まり、候補者が2人となるとどのようなことが起るのか? 仮に両方の候補ともが新人であっても、票数は本人たちも驚くほど入るのです。 その理由は簡単で、有権者は、通常、選択肢の内のどちらかに入れるからなのです。そして、そういうところに、自民党に入れたいか、入れたくないか(反自民)の選択ということになり、風がどちらに吹いているかで、勝敗が決まってしまうのです。選挙区によって差はもちろんありますが、実はあまり候補者本人ということにポイントはないのです。 このように観てくると、反自民の票というのは必ず出るのです。選挙区事情によって、その反自民票は程度の差はあります。しかし、全体的に観れば、今や少なく観ても反自民票は半数と言えます。実際、2014年、17年、21年の総選挙では、反与党票が何れも上回っています。自民に票が入りにくくなっているわけです。往年の力はもはやないと考えます。 ただ、反与党、反自民と言っても、その中には偽装がいます。ですから、このことをしっかりと見極める必要がありますし、そのことをしっかりとあぶり出す必要があるのです。有権者を欺す存在ですからね。そして、言うまでもなく、野党にとってのポイントは何よりも反自民を徹底的に打ち出すことなのです。 ◎ 偽装野党をあぶり出し、反自民を徹底的に打ち出すことが何よりも肝要 国民新党の例では、2008年の参議院選挙で亀井亜紀子さんが島根選挙区で勝利したことが、候補者が少ない小選挙区で反自民の風に乗って野党が勝利することの最たる例です。亀井亜紀子さんは、もとは自民系ですが、当時は国民新党で、完全に野党であったわけです。そして、この選挙では反自民の突風が吹いていたわけです。 結果は、亀井亜紀子さんの勝利。実は選挙前、本人も勝利するとは思っていませんでした。私も当時、党の選対本部事務局の幹部でしたが、まったく予期していませんでした。 しかし、勝ってしまったのです。小選挙区では自民党に入れたいか、入れたくないか(反自民)の選択で、ことは鮮明に動くのです。 投票者の視点でみるとこのようなことは見えてこないのですが、選挙戦を戦うと見えてくるのです。特に政党全体の選挙を考える立場に立つとこのような傾向が見えてきます。 だから、自民党本部で事務局長を務め、永田町で「選挙の神様」と呼ばれる選挙・政治アドバイザーの久米晃氏が、選挙のポイントとして日本の国政選挙の実相は、自民党に入れたいか、入れたくないか(反自民)の選択ということを当たり前のように言うわけです。ある意味、このことは常識的なことです。 そして、今回の総選挙では、反(非)与党の票が上回っていますから『反自民』の風が吹いていたのです。そして、維新が議席を伸ばしたのは、単にその風に乗ったからだけなのです。本当に実にそれだけなのです。複雑なことではないのです。 昨日の本ブログ「《日本の政治》 暗黒の時代の到来」(2021年11月10日)でも書いたように、維新は自民党にとても近い政党ですが、選挙前に以下のように、反自民の方向性を明確に出したわけです。 「吉村知事が東京で演説「新しい自民党も残念」岸田政権への対抗姿勢強調」(2021年10月17日 日刊スポーツ) 「岸田自民党には容赦ない維新の強気」(2021年10月16日 産経新聞) 一方、立民や連合はどうだったか? 選挙前にどっちを向いているのかわからない言動ばかりでした。特に連合の新会長の言動は、まさにまったくのバカげた発言でした。あれで相当の議席を減らしています。政界では、自信満々にあのようにマイナスになることを言う人を、票を減らす人と言って、選挙区からは遠ざけるようにするのです。 話しを戻すと、反自民の風が吹いているわけですから、反自民ということを強調して維新はその風に乗ったわけです。そして、上記の選挙の神様・久米氏は以下のように維新に釘を刺すわけです。
非常に理路整然したアドバイスです。「維新は今回の結果を自分たちへの支持と思わない方がいい」というのは、まさにその通りというものです。あくまでも維新票ではなく、反自民票ということです。選挙のことがよくわかっているとこのような結論になるのです。 実は、大阪10区で敗北した立民の辻本清美さんの敗因もここにポイントがあるのです。以下の産経新聞ではそのポイントがはっきりと書かれています。
このことと同じことが、毎日新聞の「おごり、過信『あほやった』 辻元清美さんが永田町を去った日」(2021年11月10日)に出ていて、山崎拓さんの応援について「『自民党とつながっている』と維新陣営からの攻撃材料になった」と辻本さんが述べています。 維新は反自民を声高に主張して、反自民の風に乗ったのです。ただ、それだけです。本当にただそれだけなのです。 今回の選挙は、反自民の風が吹いていたのですから、立憲民主党は徹底して反自民を言わなければならなかったのです。有権者のほとんどは立民・共産の野党共闘を問題としていないのです。そのことは辻本さんの事例がはっきりと示しています。 むしろ、反自民ということなら、立民・共産の野党共闘は明らかにプラスに働いています。このことがなかったら、立民はさらに落ち込んでいたことでしょう。 だからこそ、選挙前に『連合』が、この反自民とはまったく反対である、立民と共産との『関係』ということに焦点を当てたことによって、立民から完全に反自民という要素が消えてしまったのです。本当にバカげた話しです。本当に。 『連合』が選挙前の時点で言わなければならなかったことは、徹底した反自民と、これまで自民と蜜月だった維新の本質を批判することです。上記の大阪10区で辻本さんが、自民と繋がっていると言われて、票を減らしたように、同じことを維新に向けてしなくてはならなかったのです。 しかし、まったく反対、トンチンカンなことを『連合』の新会長は言い放ったわけです。バカですよね。こんなセンスのない人物はいません。政治に関わるレベルにありません。一体、今まで何をやってきたのかと聞きたくなります。 したがって、立民が負けたというのなら、この連合の新会長にすべての責任をとらせるべきです。そういうことができなければ、これから立民は伸びていくことはないでしょう。いつまでも、何もわかっていないバカにヘイコラして、そういうバカな人間を放置して、のさばらせば、被害を受けるのは自分たちなのです。その辺りは、徹底してシビアにやるべきです。そうやってはじめて未来が開けるのです。 そして、そうするのは国民と日本のためでもあるのです。私には日本と日本国民のためになることがあくまでも大事なのです。 (つづく) | |||
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