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《日本の政治》 本当の問題を把握しなければ、生活は改善しない
[日本の政治]
2021年11月12日 23時34分の記事

以下のブルームバーグの記事では、7月ー9月期のGDPがマイナス予想と報じています。15日に内閣府が発表するGDP速報値について、ブルームバーグの予想では前期比0.2%減、年率0.7%減としています。マイナス成長の主因として個人消費の減退、輸出ということが記事では言われています。
しかし、さらに深刻な問題が、日本にはあるのではないでしょうか?

「消費不振で2期ぶりマイナス見通し、コロナ減少で回復も視野−GDP」(2021年11月12日 ブルームバーグ)

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実際、7−9月といえば、オリンピックがありましたが、同時に新型コロナウイルスの感染爆発が生じて、東京などで医療崩壊となり、入院できない方が自宅で孤独死するケースが続発しました。
そういう状況では消費も何もあったものではありません。
昨年から『コロナと共存(ウィズ コロナ)』と言って、官民あげて叫んで、連日テレビでもそのフレーズが連呼され、さらに経済をまわせとGOTOキャンペーンという需要喚起政策までしました。
しかし、その間、ワクチンも不十分、さらに中国などで実績を上げていたPCR検査の社会的検査などもやらず、隔離も不十分、ロックダウンもせずに、積極的な感染収束策をせずに野放しにして、自民党政権はただただワクチン、ワクチンと言っているだけでした。
それで、結局、オリンピック期間中に感染爆発、医療崩壊となったわけです。はっきり言って目茶苦茶です。そういう自民党を今回の選挙で勝たせる国民もどうかと正直思いますが、まったくもって7−9月期はひどい状況であってわけです。
必然、オリンピックもあんなに中途半端、ご懸念まででた状態で強行開催しては、オリンピック効果の消費も何もないでしょう。オリンピックを来年に再延期した方が圧倒的に良かったのは明らかです。来年、必ず思うはずですよ。
ただ、GDPがマイナス成長になるのは、この新型コロナウイルス感染爆発と輸出不振が主因とは思いません。もっと根底的なことがあると考えます。
それが、本ブログ「《日本の政治》 やはり岸田政権の言動はおかしい」(2021年11月9日)などで取り上げた、以下の野口悠紀雄さんの記事に書かれたことです。この記事には、日本の賃金は国際的に低く、アベノミクスにより世界5位から30位に転落、さらに日本の賃金はアメリカの約半分、韓国より低くなっていると書かれています。

「日本人は国際的に低い給料の本質をわかってない アベノミクスにより世界5位から30位に転落した」(2021年10月3日 東洋経済)

世界において、日本の賃金はまさに一人負け状態なのです。だからこそ、当たり前ですが、消費は伸びない。賃金が伸びていないのに、消費が伸びるはずがない。
GDPの6割が個人消費ですから、消費が伸びなければGDPが伸びるはずはないのです。ですから、さらに不景気になり、そうなればさらに賃金が伸びず、減らされる。だから、さらに消費が落ち込み、経済は縮小し、不景気となり、さらに・・・・・・というスパイラルになるだけなのです。
そういう状態が日本経済の根底にあるのです。このような状態があってのコロナ禍なのです。その反対ではないのです。
そして、この賃金が上がらないことの負のスパイラルに付随して、治安も悪化する、少子化、教育投資も減り、国民の生産力も減退するわけで、その結果として輸出も不振になっていくわけです。実際、以下の記事には、中国の輸出は10月時点で「13カ月連続で2桁の伸びを記録」とあります。世界経済が悪いわけではない。ただ、日本人の生産力が落ち、特に大企業の質が落ちているだけなのです。大企業の質は本当に落ちています。人が悪い。

「中国貿易黒字、過去最高 輸出入2桁増―10月」(2021年11月7日 時事通信)

このようなことを考えれば、まず賃金上昇を実現し、その状態を継続的に続けない限り日本の経済は伸びず、社会もよくならないことは子どもでもわかることなのです。
そして、その賃金上昇を少なくとも20年、30年は続けなければならない。なぜなら、この賃金低下は、新自由主義の小泉タケナカ構造改革からはっきりと行なわれていることですから、20年かかってここまで来ているのです。それに付随して、治安悪化、少子化、教育投資の減少、国民の生産力減退なども20年かかってここまで来ているのです。
ですから、元に戻すには、この賃金上昇を最優先とし、その施策を20年から30年かけて行なわないと無理なのです。いきなり、賃金を米国水準の2倍に継続的にできますか? できないでしょう。時間をかけてやるしかないのです。それが、日本の賃金がアメリカの約半分、韓国より低くなっているという現状の意味なのです。
つまり、現状は明らかに自民党の失策の結果なのです。それも日本にとっては致命的な大失策。この新自由主義路線は、自民、維新、そして『連合』、旧民主党系(国民民主党と立憲民主党の一部)なのです。
この新自由主義路線については、国民新党以来ずっと批判し続けてきましたし、賃金が落ちていくことの問題性をずっと批判し続けてきました。これまで本ブログで何度も申し上げてきたように、状況は予測通りになり、そして問題は日に日に深刻になっています。10年以上も同じことを言っているのですよ。
日本の国民生活と経済成長のためには賃金上昇という分配からはじめないといけないのです。岸田氏も最初は『分配なくして成長なし。新自由主義との決別』と言っていましたが、その後、『成長なくして、分配なし』と完全にトリクルダウン、新自由主義となってしまいました。
だからこそ、岸田政権が現状の『バラマキ』で誤魔化そうとしているのです。ただただ、それだけなのです。
これでは、これまでと同じことを続けるだけですから、日本経済・国民生活は先行きは絶望的です。国民はまた欺されるのですか?


◎ 日本社会の宿痾
日本国民の賃金は上がっていません、経済も伸びていませんが、伸び続けているものがあります。それが企業の内部留保です。以下のように、内部留保だけは9年連続で上昇、過去最高となっています。

「企業の内部留保、9年連続で過去最高更新…前年度比2%増の484兆円」(2021年9月1日 読売新聞)

要するに国民の賃金を削って、企業の内部留保にしているわけです。そのことが、2019年の以下の記事でも言われていますが、それでは経済が伸びるはずはないのです。上述のように賃金低下、経済縮小、不景気、さらなる賃金低下・・・・・・というスパイラルになるだけなのです。
その最大級の根源が、ここにあり、ずっと変わらずに現在まで来ているのです。その象徴が、膨大な数の非正規労働者なのです。
要するに日本経済の凋落の原因をつくっているのは、日本の企業、特に大企業なのです。それを自民党などの新自由主義政権が、国民を犠牲にして保護してきたわけです。

「内部留保膨らむ理由は「人件費減と法人税減税」 内部留保へも課税するのは妥当だ」(2019年12月13日号 PRESIDENT)

そして、この自民党の新自由主義路線と歩調を一にするのが、『連合』なのです。元経産官僚の古賀茂明さんが、以下のように『連合』の本質を述べています。


そもそも連合は、大企業の企業内労組の集合体である。その関心は大企業の利益向上や労働条件改善にあり、派遣や中小企業の労働者の待遇改善や国民全体の利益には関心が薄い。つまり、連合は大企業と癒着した自民と親和性が高いのだ。

「惨敗の立憲民主党は『連合とベッタリ』を今すぐにやめろ!」(2021年11月12日 週プレNEWS)


この言葉がすべてを説明しています。常識的なことですが、とても的確な良い表現です。
だから、『連合』は大企業の代弁者になっていると指摘してきたわけです。少なくても、『連合』はもはや国民のための労働組合ではありません。
正確に言えば、『連合』とは、非正規労働者などの日本国民の犠牲の上に成り立つ中間支配階級と言うことです。非正規労働者などの日本国民から搾取し、そのあがりで生きている正社員ということです。そして、下請けの中小企業も同じように搾取され、虐げられているわけです。
労働貴族とよく言われますが、そのような搾取によっていつまでもバブル気分を満喫しようとしている雇われ人根性の支配階級が、『連合』と考えます。
それにしても、この記事でも立民は連合とベッタリをやめろといっているわけで、奇しくも昨日の本ブログ「《日本の政治》 今回の総選挙の分析 その4 自民か、反自民か (4)」(2021年11月11日)と同じメッセージになっています。心あるものなら、必ずそういうはずです。
そもそも旧民主党の体たらくも、この『連合』にその根源があると考えます。だから、現状でも消費税や原発に対して明確な態度を立民が示せないのです。
今回の総選挙で、立民に入れている小選挙区での1700万人、比例代表での1100万人の大半は、『連合』の組合員ではないでしょう。現実は、立民に入れた一般の有権者の票によって、立民が成り立ち、それで『連合』が大きな顔をしているだけなのです。順序が逆。
だから、まず有権者に眼を向けることが、何より立民にとっては重要になります。連合もこの一般の有権者を裏切れば、発言力を失い、確実に衰退していきます。
ですので、立民はこれから共産党とともに、国民のための新しい労働組合をつくるべきでしょう。そこで、連合が割れても、残りは維新と自民と仲良く一緒にやるでしょうから何も問題ないでしょう。
そうなれば国民にはとてもわかりやすくなりますし、国民にとってはデメリットはありません。そして、国民民主はいずれ、どちらにしてもなくなります。
話しを戻すと、日本経済の元凶は、実は大企業であり、『連合』なのです。バブル以降からあるそういう古い体質を刷新するべき時が、今なのです。これからはどんどん値上げラッシュ、インフレ傾向が強くなる可能性があります。そういうときに、賃金が安くては、国民生活は破綻します。今すぐに刷新へと動くべき時なのです。
しかし、この大企業や『連合』、そして自民や維新などの新自由主義者は、この古い体質にしがみついて、国民生活を省みることはまずないでしょう。だからこそ、日本国民にとっては、これからまさに大変な時代なのです。
しかし、それは大きなチャンスの時代とも言えるのです。

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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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