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《日本の政治》 立民を攻撃する人々の問題点と立民の問題点
[日本の政治]
2021年11月26日 23時3分の記事

以下の東洋経済の記事の表題を見てどんなものだろうと読んでいたら、立憲民主党を取り巻く色々な問題点が見えてきました。

「『立憲代表選』がちっとも盛り上がらない根本原因 テレビ局は木下富美子都議の辞職表明を優先」(2021年11月26日 東洋経済)

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この記事を読んでいて、ご紹介したいと思った箇所があります。それは、記事の表題と最後の部分だけです。あとは残念ながらは読むに値しません。特に先の総選挙についての分析はプロなら嘲笑してしまうレベルです。本ブログ「《日本の政治》 今回の総選挙の分析 その4 自民か、反自民か」(2021年11月6日)でご紹介した永田町で「選挙の神様」と呼ばれる元自民党事務局長の選挙・政治アドバイザー・久米晃氏による本当に価値ある分析は、他党であってもなるほどと反射的に賞賛してしまう中味があります。お節介ですが、立民は、今までのスタッフを大事にして久米さんの様な方を三顧の礼で迎えるべきでしょう。
話しがそれてしまいましたが、この東洋経済の記事で、以下の部分はちょっとひどすぎます。

 
予想外の敗北に希望の党はほどなく瓦解。立憲民主は野党再編・旧民進党勢力再結集の流れに乗って、2020年9月に立憲民主党、旧・国民民主党などによる合流新党の新・立憲民主党を結党、圧倒的野党第1党になった。しかし、今回の衆院選での立憲民民主の比例代表での総得票数は、前回の立憲・希望両党を合計した約2075万票から約1150万票と激減した。


前回(2017年)の総選挙で立憲と希望をあわせた比例代表での総得票数は約2075万票で、今回(2021年)の総選挙での立民は約1150万票だから、結果約925万票減、立民への比例代表票が『激減した』と言っているわけです。
しかし、そもそも比較が間違っています。前回の希望の党はコイケ氏の都民ファースト旋風を受けての流れで、そこには『自民党色(保守色)』があるのです。また、党内には「日本の心」も入っていて右派的な要素もあります。さらに、それでいて反自民なのがポイントなのです。
そして、その右派的な希望の党にはじかれて立ち上がったのが、枝野氏の立憲民主党であったわけです。立憲民主党とはそもそも左派的な色彩の反自民の党なのです。それがまず最大のポイントです。
そして、今回の選挙では、比例代表だけを単純に見るのなら、立民として前回から約40万票ほど伸びています。
では、上記の記事で激減したと言われる約925万票はどうなったのか? その内訳は、まずれいわ新撰組に220万票とられています。立民が今回、左派色をもっと鮮明に打ち出していれば、この220万票の多くが立民に流れたでしょう。立民の中途半端さ、そして選挙直前での連合の共産党との共闘を認めないというバカ発言で、れいわが票を伸ばしたのです。すなわち『連合』がれいわを勝たせたと言うことです。
また、今回の選挙で希望の党の残った部分の国民民主党が比例代表で約260万票とっています。前回の選挙で立憲・希望両党の合計数を比較として出すなら、今回の選挙で国民民主の票を除外するのは明らかにおかしく、フェアではありません。
このれいわと国民民主の二つをあわせると約480万票です。
そうなると、激減したといわれる約925万票の残りは約445万票になります。これが維新に入っているわけです。希望の党が反自民で右派的な要素を持っていましたから、その票は反自民を装った右派的要素を持つ維新に流れた。このことに一番ショックなのは国民民主党でしょう。本当は票の受け皿になりたかったと考えます。
維新は前回の選挙で負けていますが、この前回の選挙から伸びた票数は約467万票です。そうなるとこの数字は、維新に流れたと考えられる約445万票とほぼ一致します。この約445万票は右派的で反自民の票です。この票は左派には入らない。
前回の選挙での立憲・希望両党の合計数を比較として出すなら、それは消えた希望の党への票がどうなったかに論点があるわけです。その大半は反自民の右派的な要素がある票なのです。必然、その票は今回の選挙で立民には行きませんから、立民に焦点を当ててもまったく意味はなく、実相は見えてこないのです。
上述した永田町で「選挙の神様」と呼ばれる久米さんは、11月4日の西日本新聞で以下のように述べています。


維新は、簡単に言えば野党共闘にくみしない、希望の党的な人たちの票がベースです。自民にも、立民にも入れたくない人たちです。維新は今回の結果を自分たちへの支持と思わない方がいいですね。


消滅した希望の党の票が、維新に流れただけの話しなのです。
立民が票を落としたのは、上述したようにれいわに流れた票であって、それはとち狂った『連合』のせいなのです。それでも、基本的に立民は票は減らしていません。
これが今回の総選挙の野党系での比例代表票の流れです。これが実相なのです。上記の東洋経済の記事は単に立民を落とすためのまさに『ための』記事でしかありません。あまりにもフェアではない。ちょっとひどい。ひどすぎる。
そうなると今回の選挙で、維新が伸ばしたと約467万票の内、約445万票が希望の党から流れたものと考えられますから、維新は実質約22万票伸ばしたに過ぎないのです。これが維新の実力です。立民は1100万票台で約40万票伸びているわけで、それよりも維新は少ないのです。そして、この維新に流れた445万票はいずれ維新に失望して離れると考えます。今の維新のクオリティでは無理です。だから、今あるのは『維新への風』ではなく、あくまでも『反自民の風』なのです。実際、維新は2014年の総選挙と比べても比例代表票は伸びていません。
いずれにせよ、失礼を承知で申し上げると、東洋経済はよくこんなレベルの記事を出すなと心から思います。生意気なことを言って大変申し訳ありませんが、これが率直な気持です。ちょっと怒っています。戦前、『東洋経済新報』で一貫して日本の植民地政策を批判した心から尊敬する石橋湛山が、これでは泣きます。東洋経済は先人の心をしっかりと受け継がなければダメです。

◎立憲の問題点を考える
この記事でご紹介したかったのは以下の部分です。


テレビ各局は木下都議の辞職で代表選をスルー
22日の記者クラブの討論会は、大手各紙が一定のスペースを割いて報じた。しかし、同日夕には7月の東京都議選の告示期間中などに無免許運転を繰り返したとして道路交通法違反の罪で在宅起訴された木下富美子都議が、臨時記者会見で議員辞職を表明したため、同夜のテレビニュースや翌日以降の各テレビ局の情報番組は“木下氏辞職一色”となり、代表選はほとんど取り上げられなかった。


タイミングを見計らって、本ブログ「《日本の政治》 木下氏辞任の実相は恐らく逆」(2021年11月24日)に書いたように木下氏の辞任があり、そして希望の党のアイコンであったコイケ氏の復帰もあったと考えるべきでしょう。
そのタイミングが、テレビでの立民代表選の露出度を減らすわけです。
また、木下都議のことを取り上げたテレビ各局は普通に立民代表選を報じたくなかったのでしょう。NHK以外のテレビ局のスポンサーを見ればわかります。
ただ、立民にも問題があるように思います。現状、率直に申し上げるのなら、立憲民主党へ投じた民意は、連合という要素が加わると、まったく違う形で表現されるということが実相と考えます。
立民が連合と一定の距離をとって、民意を反映させるように動かないと、立民に投じられた票は死票となります。むしろ、それ以上に悪用される可能性すらあることになります。そうなると、立民は民主主義を完全に否定し、また破壊する組織になってしまいます。立民はあくまでも民意に真摯に向き合わない限り、これから立民の評判はどんどん落ちます。とにかく、その理由は立憲民主党へ投じた民意が、連合という要素が加わって、まったく違う形で表現されることになるからです。
上述しましたが、先の総選挙の直前で、『連合』は、立民・共産を中心とする野党共闘を否定して、アベ氏やネトウヨと同じことを言っておいて、選挙が終わったら立民は負けたと騒ぐその神経は到底理解できません。一番、足を引っ張っているのは『連合』なのです。
この『連合』の言動は、有権者をただただ混乱させただけです。そして、そのことに枝野氏をはじめ立民の政治家は何も言えない弱腰。それでは、立民は一般の有権者より『連合』を優先するということにしかなりません。それでいて、そもそも立民に票を投じる理由があるのでしょうか? ここが今、問われているのです。
ですので、このままだと、これからは立憲の最大の弱点は『連合』になります。どう考えても『労働界のへずまりゅう』としか思えない『連合』の新会長を引きずり降ろすぐらいしないと、今後の立民の党勢拡大は難しいでしょう。そして、今後、このことは『連合』と関わる政党全てに常につきまとうことになります。
『連合』はとにかく、立民に投じられた一般有権者の民意はまったく無視しています。これは立民の一般党員に対しても同じでしょう。まさに、『連合』は民意を尊重していません。私から言わせれば単なるファシスト組織に過ぎません。ですから、当然、そこにべったりであれば、民意は離れ、実(じつ)のあるところに民意は流れていきます。
立民が行なうことが必要なのは、まず一般の有権者を最優先することです。そうしなければ、連合票以上の政党にはなれません。これは公明党と同じ話しです。
それと、共産党との共闘の偏見を解くことです。
私が約10年前、チャンネル桜に出演していた頃、チャンネル桜は一般的には『キワモノ』だったと思います。でも、私はそう思いませんでした。その理由は、チャンネル桜の皆さんにはいつも言っていましたが、人としてとても好きな人々、とても良い人々だったからです。
当時、チャンネル桜は『草莽崛起(そうもうくっき)』といっていましたが、まさに草莽から世の中を見る下向きさ、思考の自由がありました。それは素晴らしいと思いました。そして、そういう要素が右翼への偏見を解いていったと考えます。でも、いまはそれがなくなっていて、一種の権威化してしまっています。だから、魅力と面白味がない。
共産党もきっと多くの良い人たちがいて、多くの良さがあるでしょう。チャンネル桜に私が出ているとき、ある御大が『天皇制さえ認めれば、共産党にはとても惹かれる』と私に言っていました。結構、そう考えている人は多いと考えます。
私は共産党とは関わりはありませんが、彼らが言っていることは良い視点で、政策的なレベルでは野党ではダントツの高さです。ですから、まずいわれのない偏見を解くことが大事なのです。それを立民がやるべきでしょう。日本のために。実際、共産党は日本国民の投票で議席を有して政党なのです。非国民的な扱いをするのは、そもそもおかしいのです。

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1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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