《日本の政治》 今回の総選挙の分析 その4 自民か、反自民か | ||||
[日本の政治] | ||||
2021年11月6日 23時55分の記事 | ||||
日本の選挙は自民か、反自民かという投票行動であると述べてきました。もちろん、投票行動には個人差がありますし、しっかりと考えた上で投票する人は沢山います。しかし、マクロで見ると自民か、反自民かという投票行動が見えてきます。もちろん、これは政界では常識的な話しです。以下の西日本新聞の記事は非常に良いものですが、そこにとても興味深いことが書かれています。 「長期政権になる?安倍氏・麻生氏の影響は? “選挙の神様”に聞く衆院選」(2021年11月4日 西日本新聞)
それは以下の部分ですが、このコメントは長らく自民党本部で事務局長を務め、永田町で「選挙の神様」と呼ばれる選挙・政治アドバイザーの久米晃氏のものです。
◎ 野党は根本的に何をすべきか? そして、どのような能力が必要か? この発言は、現状のリベラル系の野党は皆、聞くべきです。とても良いことを言っていますし、正しいことです。野党が提案しても、『それはとても良いことですね』と与党が言うことは通常あり得ません。 他党の提案を与党が受け入れる場合は、その党が連立与党だからです。 また一方で、与党が野党の提案を受け入れる場合は、そこに与党の思惑があるからです。あくまでもイニシアチブは与党にあるのです。 ですから、まず、野党は、この久米氏が言うように「与党の失点で伸びるしかないわけだから、自民党が訴えた政策が実現できなかった時の矛盾点などをしっかり指摘する」ことが大事なのです。これがまずベースであり、野党に課せられた義務なのです。 実はこのような基本的なことを野党はできていないと考えます。できているとしたら、それはまず共産党、その次に立民の順番です。国民民主党などは提案提案と言っていますが、はっきり言って、何もできていません。 実は「自民党が訴えた政策が実現できなかった時の矛盾点などをしっかり指摘する」能力が野党には不十分なのです。このことが、現状の野党に根本的にあるのです。 だからこそ、提案はもっとできていない。国民民主党が提案提案と言っているのを聞いて、心の中でやはり嘲笑していしまうのです。そんな能力はそもそもないだろうと。 野党が提案提案と言っても、それが実現されないのですから、そのように言い続けるのは、単にやってる感を出している演技に過ぎないのです。「自民党が訴えた政策が実現できなかった時の矛盾点などをしっかり指摘する」ことの方が、圧倒的に大変なことなのです。 このように観てくると、明らかなのは、今までの立民・共産を中心とする野党共闘の方向性でまったく問題がないことなのです。野党共闘をして、しっかりと自民を追及し、風をつくり、選挙区でも共闘をして勝利を獲得することが、あくまでも野党の最大の戦略なのです。 本ブログ「《日本の政治》 今回の総選挙の分析 その2」(2021年11月2日)では以下のように、野党共闘について甘利氏に勝利した神奈川13区を典型例として書きました。
図らずも選挙の神様である久米氏が言っていることと同じなのです。野党はこのパターンAをするしかないのです。 だから野党は「自民党が訴えた政策が実現できなかった時の矛盾点などをしっかり指摘する」しかないのです。そして、徹底的にそれをやれば良いわけです。 自民党は60年以上も政権党にあるのですから、政策の問題点はいくらでもあるのです。それを、すべて追及していけば良いのです。こういうことに自民党は耐えきれません。 それでは、なぜ、これまで自民党はやってこられたのか? それは、野党が追及しないからです。国民民主党のように提案提案と言って、本当にやるべきこと何もしてこなかったからです。提案提案というのは、実は自民党を助けるための口上に過ぎないのです。 ◎ 自民に入れたいか、入れたくないかという基準点 さらに何よりも、上記の久米氏のコメントにはっきりと「日本の選挙は実質、自民党に入れたいか、入れたくないかの選択」とあります。要するにこれまで申し上げてきた自民か、反自民かと言うことです。 今回の選挙は、立民・共産を中心に国会などでも自民党を追及して、反自民の風をつくったパターンAとなったのです。だから、昨日の本ブログ「《日本の政治》 今回の総選挙の分析 その3 立民は敗北していない」(2021年11月5日)で取り上げたように、小選挙区も、比例代表も、与党(自公)より野党(非自民)・無所属の方が票数が多くなっているのです。はっきり言って、維新はその反自民の風に便乗したに過ぎないのです。ただただそれだけなのです。 本ブログ「《日本の政治》 今回の総選挙の分析 その2 (2)」(2021年11月3日)などで、今回の総選挙の最大のポイント・特徴として『反自民の風』ということを真っ先に上げているのは、上述のようなことがあるからなのです。 まずこのことが、すべての判断においての最初のことなのです。このような自民か、それとも反自民かという投票行動は、いずれ終わるでしょうが、当面、最低でも数年はまだ続くと考えます。 そして、この視点で見ると、実は今回の選挙の実相が実にはっきりくっきりと見えてくるのです。そう言うことを選挙の神様が言っているのですから、まず間違いはありません。 ◎ 野党共闘は成功した ただただ維新が足を引っ張った 選挙の神様・久米氏は、野党共闘について以下のように述べています。プロなら普通にこのように観ます。
基本的に野党共闘は成果を上げ、成功し、一方でその足を維新が引っ張ったということです。はっきりと維新は自民のアシストをしたと考えますし、データには明らかにそう出ています。 はっきりいって、このことも私がこれまで指摘してきたことです。当たり前のことなのです。 立民・共産を中心とする野党共闘がつくり出した反自民の風に維新は便乗し、維新はその野党共闘の足を引っ張ったということなのです。では、維新は誰のためにそうしたのか? 普通に自民のためと考えるのが自然です。そして、そういう維新が伸びたというのは、幻想に過ぎないのです。 ただ、一方で久米氏が言う立民・共産を中心とする野党共闘について「閣内協力か閣外協力かでもめ過ぎた。まだ政権を取れるわけでもないのにおこがましい。身の程知らずですよ」というのもその通りです。まずは勝利を目指して一致結束をする。今の連合があーだ、こーだというのは、普通に頭がおかしいレベルです。キチガイと言っても良いレベルなのです。一体、あんたたち、何がやりたいのか、ということでしかないのです。ただただ、維新と同じ、国民民主党と同じ、自民党(使用者側)のために動いているにすぎないのです。 その連合の発言を観ていると、これでまたさらに、日本の労働者の置かれている環境は悪くなり、日本が悪くなるとしか思えません。日本国民の圧倒的多数は労働者です。その労働者の置かれている環境が悪くなれば、日本が悪くなると言うことでしかないのです。国民を愛し、社会を愛し、日本を愛する熱情に連合はやはり欠けています。 ◎ 西日本新聞は良い記事を書く それにしても西日本新聞の記事は、非常にクオリティが高いです。評価に値します。同紙はもともと玄洋社で、色々とあるのかもしれませんが、記事を読む限り、現実的でクオリティが高い記事が多いと率直に評価します。 国民新党の広報部長のとき、党に西日本新聞の番記者はおらず、同紙の記者にあった記憶がほとんどありません。地方紙と言うこともあり、小政党には番記者をつけていなかったのでしょう。 そう言う意味で、同紙はほんの少し永田町からスタンスを置いていることがあるように思いますが、それで逆に見えてくるものがあるように思います。そこには、国民に対する視点があるように思います。 (つづく) | ||||
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