《日本の政治》 立民は良き支配者になることに目覚めよ | |||||||||
[日本の政治] | |||||||||
2021年11月30日 18時27分の記事 | |||||||||
良き支配者になれ。いきなり『支配者』になれというと、ぎょっとされるかもしれません。『支配者』という言葉には強圧的、強権的というイメージがあります。しかし、政治の世界では与党になること、権力の行使をするもののことです。統治者と言ってもよいでしょう。無論、日本の支配者は主権者である国民です。私がここで言う『支配者』は、権力を行使するもの、与党『Ruling Party』のことですが、敢えて『支配者』という言葉を使います。この反対が被支配者ですが、これは野党と意訳せずにそのままで良いでしょう。立民の本質は、この支配者になる意志と覚悟と準備にかけているとと考えます。その本質は被支配者根性。だからこそ、国会議員として、また野党として中途半端なのではないでしょうか?
11月27日の日刊スポーツの政治コラム『政界地獄耳』に面白いことが以下のように書いてありました。立民代表選が低調な原因についてです。尚、このコラムは3日ほどで消されてしまいますので、全文を本文末に掲載しておきます。
一つ一つ観ていきましょう。 まず以下の部分。
結論から言うと、選挙の総括は出来ていると私は考えます。本ブログ「《日本の政治》 立民を攻撃する人々の問題点と立民の問題点」(2021年11月26日)で書いたように、先の衆院総選挙での立民の比例代表での得票は、一般的に言われていることとは違い負けてはいません。むしろ、勝っている。一方、勝った勝ったと言われる『維新』の中味はとても空虚なもので、今回の結果が一時的な可能性は少なくとも50%ほど現状ではあります。 それでは、小選挙区はどうか? これは本ブログでずっと申し上げてきたように、立民は自民に負けたのではなく、維新に邪魔されて議席を落としているのです。だから、維新の候補者がいないところでは、立民が勝っています。その象徴的な選挙区が、甘利氏の神奈川13区なのです。 ただ、代表選などで『維新の妨害で大変な結果となった』と言わないだけです。常識的に考えて普通、そんなことは言えないでしょう。 だから、総括がすんでいないように見えるだけで、実は出来ている。そのことが、端的に表れていることがあります。それは代表選の候補者全てが基本的に立民・共産を中心とする野党共闘について前向きに評価していることです。見直しとは言っていますが、実際のところ共産との共闘なくして今回の戦績はなかったというのが、普通のプロの見立てです。もし、共闘がなければもっと負けていたことでしょう。 小選挙区制では基本的に共闘をしなければならないのです。実際、自民党だって公明党と共闘をしているではないですか。票が分散しないように共闘を組んで候補者を一本化して絞り込まないと、まず勝てない。そうやって自公はやっている。それなら野党もそうしなければ絶対に勝てるはずはないのです。特に共産党の組織力は公明党以上ですから、弱小のどの野党も同党と組まないと、対自公で勝てるはずはないのです。こんなことは、総括する以前の選挙のイロハです。 この政界地獄耳が提出した論点について言うのなら、むしろ、マスコミや『連合』が、立民敗北論を勝手に決めつけて先行させているだけと考えます。かつての軍国主義時代と同じように共産党を排除したい。それが本音・本質でしょう。この政界地獄耳も基本的に同じと考えます。今回取り上げたこのコラムの論調は良いものに変わっていますが、総選挙直後の論調は私の周りだけでも評判がすこぶる悪かったのは事実です。
これはその通りでしょう。3つともその通りで、特に<3>は最大のポイントでしょう。しかし、なぜ、このようなことが起きるのか? そこを考える必要がある。 実は旧民主党以来、一貫して、彼らには政治哲学の希薄さがあるのです。個別論点では結構、とんがっている感じはあるのですが、全体的な話しになると、とたんに迷走して、消極的になったり、反対にとんでもなく積極的になったりします。特に安全保障問題ではとんでもなくタカ派になる傾向があります。 果たして、この根本は何か? それが本稿のテーマである彼らには『支配者』となる意志と覚悟がないということなのです。 『支配者』となる意志と覚悟がないから、その視点も、発想も、思考もない。したがって、良い国をみんなでつくろう、良い社会をみんなで築こうと、リーダーシップを発揮できないわけです。 『支配者』だけでは『暴虐』になる可能性がありますので、自公にはできない『良い支配者』になれと言っているのです。そして、そのために徹底して勉強しろと。まずは『貞観政要』をしっかりと読み込むことから始めた方が良いかもしれません。無論、私が偉そうに言えることではなく、私もしっかりと勉強しなくてはなりません。 いずれにせよ、この『良い支配者』になる意志と覚悟がないから、言っている言葉に独自性、自立性がなく、そもそもそのようにする必要性すら見いだしていないのです。いつも『連合』の顔色をうかがったり、マスコミの論調を気にしたりして、その動向でものを言い、国民を見ない政治と行なってきているのです。だから、彼らは信用されないのです。 国民を見ない政治家が、国会議員になろうとするのは、単なる権力欲だけの話しであって、だから国民へのメッセージもないのです。 そう言う意味で、今回の総選挙で議席を伸ばした『れいわ』は、そういうメッセージがある。だから、人が集まってくる。この政治の根本を失っているのが、立民なのです。因みに国民民主はそんなものはそもそもないと考えます。この党は論外。 ◎ リベラリズムの陥穽 でも、立民の政治家はリベラルで、良い人たちではないのか? 確かにそうです。良い人たちばかりです。 しかし、問題なのは、彼らが常に『被支配者』の立場で、ものを見つめ、考えていることなのです。 リベラル、マイノリティの代弁者、反権力。それらはどれも良いことです。しかし、良い政治を行なうには『支配者』にならなければできません。反権力と言って、支配者になることを拒絶してしまえば、現在、政治を行なっている支配者はいつまでも変わらず、故に政治も変わりません。それでは意味がない。反権力をうたって、反権力の姿勢のままなら、それは自己矛盾を孕んでいることになるのです。それがわかっていない。 そして、常に『被支配者』の立場で、ものを見つめ、考えているから、『支配者』になる準備も当然、出来ていません。その必要性すら感じていない。そうやって、常に『支配者』を批判する立場を選んでいるのです。その姿勢こそが、最大の矛盾であることに気がつかずにですが、それが『批判ばかり』と言われる実相なのです。 だから、彼らには帝王学もない。仮に『支配者』になっても政治は上手くいきません。旧民主党連立政権と同じ。 柔軟さと多様性、それを踏まえた上での統治、支配もできない。それは『被支配者』の立場から離れようとしないからなのです。支配者になる思考を拒絶している。それは、大人になることを拒絶したピーター・パンと同じなのです。 リベラルだから非現実的ではないのです。『被支配者』の思考をいつまでも続けようとすることに、政治家として、国政政党として非現実的なことがあるのです。もちろん、これは立民だけではなく、リベラリズム全般に言えることなのです。リベラリズムの必然的な陥穽。 民主党連立政権以来、こういうことが理解され、整理されてこなかったから、迷走してきたのです。それは正しい論点の設定が出来ていないかったからです。だから、旧民主党系の政治家が、ものすごいタカ派的なことが『現実的』な政策と勘違いしていたりするのです。 すぐに強硬なタカ派になるのは、無責任だから、支配者の視点がないからなのです。『支配者』として国民に責任を負っている感覚がそこにはないのです。『被支配者』のままで権力をもってしまった感覚です。旧民主党のタカ派には、いつもこのことを感じます。 本ブログ「《日本の政治》 立民代表選 暗黒の時代へ一直線か否か」(2021年11月18日)で取り上げた山崎拓さんの方が明らかに上です。山崎拓さんには『色々』と問題はありましたが、彼にはやはり良き支配者としての覚悟と責任感、哲学と思考があったと考えます。だからこそ、彼はきっちりと責任をとってイラク戦争についての反省を述べたのです。 立民に、それがあるのか? 今のところない。被支配者のまま。誰もこの『被支配者根性』とわかりやすい言葉で表現して来ませんでしたが、このことを多くの国民が感じているのです。だから、頼りないし、一抹の不安を感じ、任せられないのです。 そして、だからこそ、『被支配者根性』から脱して『連合』にものを徹底していわないとだめなのです。この『連合』に対するスタンスが、立民の未来への分岐点になります。 そして、本当に『支配者』としての覚悟と責任ができたとき、はじめて野党としての批判力が高まっていくのです。今は、そのクオリティがなく、単に騒いでいるだけと思われているだけなのです。
立民は財務省出身者が多いという印象は強いですし、政界地獄耳が言うように財政規律派が多いのかもしれません。 ただ、私の経験からすると、やはり彼らの『被支配者的な思考』が、消費税3党合意の呪縛から抜けだせず、消費税増税しか考えられない原因と考えます。 『被支配者の思考』というのは、支配者に決められた制度やルールが絶対的なものとして生きているわけです。政府、お金、制度、法律、外交関係などなど、それは変えられないという発想がある。被支配者の思考と言うのは、すべてが既存のもの、絶対的にあるものという錯覚があります。それは、優等生・秀才の思考にもありますが、現実は変えられないという思い込みが、そこにあります。だから制度や法律などを含めた現実を変えようという発想もないのです。 国に借金があるから、消費税を上げなければならない。そういうつくられた『現実』に疑問を持たないで、借金を返さなければならないと発想する。それで、国民生活を犠牲にして増税ということに疑問を持たない。しかし、それでは国民も、国も持ちません。 まず、そもそも借金があるのかと考える必要がありますし、必要ならその借金を帳消しにしようと考えなければなりません。それが『ルールを作るもの(Ruler 統治者)』、支配者であるわけです。 支配者とはこういうものです。スポーツの世界で、欧米が自己の利益のために『ルール・チェンジ』をするということをよく聞きます。しかし、それは支配者の感覚なのです。日本はルールを守ることに大きな価値があります。それはとても良いことですが、政治の世界ではルールを守ることと同じく、国民にとって最高に良いルールを作ることを、ドラスティックにしなければなりません。そういう発想が、立民には、やはりない。だから期待できない。 しかし、こう言うと、上述した無責任に強硬なタカ派になるのと同じく、すぐに『憲法改正』とか言いはじめます。そこに本当に底の浅さがあるのです。日本の歴史、日本の権力構造を考えなくてはいけません。立民の政治家は、日本の歴史をしっかりと学んでいるのだろうかと疑問に思うことが多々あります。 日本の平和憲法は、近代日本のルールをまさに変えるものであり、また世界のルールを変えるさきがけなのです。そういうルールチェンジ。それでこの75年以上、平和で上手くやってきたのです。この『支配者の発想』を理解しなければなりません。もちろん、私は『護憲』です。 立民の政治家で悪いのは、『護憲』であるのに、それを隠してしまうところと考えます。信念と思考が弱い。
これは、簡単に言えば『被支配者』だから夢がないのです。さらに言えば、『被支配者』だから夢を語れないのです。発想が自由ではないのです。 ◎ マスコミはしっかりとした見識をそもそも持っているのか? 本ブログ「《日本の政治》 立民を攻撃する人々の問題点と立民の問題点」(2021年11月26日)で書いたように、そもそも、マスコミは政治を、時代を分析できているのだろうかと考えます。また次代についてしっかりと見識を持ち、一方でしっかりと歴史を観ているのかと考えます。そういうものをまったく感じません。 むしろ、現状のマスコミの『ジャーナリズム』とやらは、テレビCMで健康食品を売るがごとく、思想や考えの『押し売り』をしているのではないかと考えます。そういう押し売りのための手法だけが目につきます。 そして、やはりテレビなどは立民代表選の露出度をおさえていると考えます。それは、やはり『連合』とその表裏一体の経団連、自民党などとの関係があると考えます。これまで本ブログで何度もご紹介した元経産官僚の古賀茂明さんの『連合』についての定義をもう一度みておきましょう。
テレビのスポンサーは誰ですか? 新聞に広告を出すのは誰ですか? マスコミにお金を流しているのは誰ですか? 『連合』の意に反し、大企業と癒着した自民の利益に反して、共産と共闘をする立民を取り上げることを、マスコミがそもそもするはずがないことは、少し考えればわかることです。 だから、『連合』が共産と共闘をする立民を批判すれば、マスコミの論調はそのことに右に倣えしているだけなのです。所詮はお金の問題なのです。所詮はお金。 しっかりとしたことを独自視点で言っている媒体は、今やとても少ないと考えます。そこにビジネスチャンスはもちろんあります。いずれにせよ、大手のテレビ局、新聞社などでしっかりとしたジャーナリストもいると思いますが、社内的に苦しくなっているのではないでしょうか? 話を戻して、政界地獄耳のコラムには最後、以下のように書かれています。
今の日本の政治には『維新』を含めた今の与党・自公をただす勢力が、絶対的に必要です。だからこそ、現在の日本の政治シーンにおいて、最大の問題は、第2党である立民の存在なのです。 しっかりとした野党の必要性については、山崎拓さんが辻本清美さんを応援する理由として言っていました。その通りだと思います。私も同意見。そして、この『維新』についてのこともまったくその通りです。このことはこのコラムでよくぞ書いてくれました。ただ、このように言うテレビ局は皆無で、むしろ橋本徹を出演させて盛んに『維新』推進をしていると私は観ます。 ただ、いずれにせよ、立民が、現状の民主主義の危機に一番鈍感であるとやはり考えます。それで、党名に『民主』とつけられるのかと思います。まあ、それは自由民主党も同じですが。
最終編集日時:2021年12月1日 17時43分 | |||||||||
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