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《日本の政治》 赤木さんの問題の二つの側面
[日本の政治]
2021年12月16日 23時49分の記事

公文書改ざんを強いられことを苦にして自殺した財務省近畿財務局の元職員赤木俊夫さんを巡る損害賠償訴訟は、財務省が改ざんの詳細な経緯を明らかにしないまま、国が責任を認め、損害賠償請求を受け入れました。国が責任を認めたことは一歩前進と考えますが、改ざんの経緯を明らかにしないまま突然の終結に持ち込んだ国の姿勢に、ご遺族が憤っていると報じられています。それは当然のことでしょう。しかし、この問題にはさらにもう一つの側面があるのではないでしょうか?

「赤木さん妻『不意打ち、ひきょうだ』 政府、森友改ざん真相究明させず」(2021年12月16日 東京新聞)

「森友訴訟の終結受け、正当性強調 首相『可能な限りの対応した』」(2021年12月16日 共同通信)

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岸田政権としては、この問題の早期幕引きをしようとしていることは、上記の共同通信の記事で岸田氏が『可能な限りの対応した』とすでに過去形で述べていることに非常に良く表れています。
しかし、実はまだ何もしていない側面があるのです。それは、改ざんにいたる経緯なのです。もちろん、ご遺族がその開示を求めているわけですが、それと同時に国民に対して、その開示をする必要があるのです。
公務員による公文書改ざんということは、国民に対する最大の裏切り行為です。そして、今回、国はその非を認めているのです。それなら、その改ざんがいかなる経緯で行なわれたかを、主権者である国民に対して明らかにすることは、民主主義体制においては当然のことです。
この問題は赤木さんとご遺族だけの問題ではなく、民主主義国であるわが国の国民すべての問題なのです。実は自民党政権は、これまでそのことにまったく誠実に対応してきていないのです。自民党は民主主義を理解していません。
赤木さんは、単なる上司からの指示を苦にしたのではなく、改ざんという国民を裏切る行為を上司から指示されたことを苦にして自殺されたと考えます。
そして、このような国民を裏切る行為に対して、これまで財務省やアベ政権の関係者で、一体、誰が責任をとってきたでしょうか?
誰もとっていないのです。結局、その責任を自らとったのは赤木さんだけと考えます。しかし、その責任の取り方はあまりにも重すぎると私は考えます。
この問題は、民主主義というわが国の政治の根本に関わることであり、これまでこの改ざん問題では、自公政権は主権者国民に対する責任をまったく果たしていないのです。赤木さんだけが唯一国民に対して誠実な態度を貫いたと考えます。
今回、赤木さんの問題で、国が責任を認めたのですから、事の経緯の説明と責任の所在と処罰が、国民に対する今後の国の対応において最大の焦点になります。
赤木さんについての損害賠償金は国民の税金で支払われます。赤木さんのご遺族は、その賠償金を絶対に受け取らなくてはなりませんが、そのお金が国民の税金で支払わるのですから、国民に対してこの問題の詳細を明らかにする説明責任が、岸田自民党政権・国には絶対的にあるのです。
それが今後の何よりの焦点です。今回、国が非を認めたことによって、このような政治制度における最大の問題点が実は浮上したのです。

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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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