政界の転換期――今は正常性バイアスがとても危険な結果をもたらす | ||||||
[日本の政治] | ||||||
2024年11月6日 1時34分の記事 | ||||||
小沢一郎さんが、自民党の現状についての分析を、Xに以下のように投稿しています。とても正しい。
こういうのを正常性バイアスというのでしょう。ウィキペディアには以下のようにあります。
これを自民党の状況に当てはめると『これまでの政治手法(アベ政治)が国民に大きな不信感を持たれていて、そのままで選挙に臨めば大きな被害・損害に直面するのに、『まったく何も変わっていないから大丈夫』とこれまでの政治手法(アベ政治)を踏襲して、大変な結果を招いてしまった』ということになります。これまでの政治手法(アベ政治)がいつまでも通用すると思っていたい『正常性バイアス=恒常性バイアス』。 問題となった早期解散も、2000万円問題も、国民がこれまでアベ政治において見てきたものだったのです。だからとても大きな拒否反応がでたわけですが、この上さらに、裏金政治家をすべて『公認』していれば、裏金に関係ない自民党政治家まで評価を大きく落としますから、自民党は壊滅的な状況に追い込まれていたことでしょう。自民党にとってアベ政治とその残党はすでに極めて大きなお荷物なのです。もちろん、日本の政治にとっても大きなお荷物です。 そして、もう一つのお荷物は、この小沢さんが指摘する、これまでアベ政治において大丈夫であった政治手法が、現在も通用するというバイアスなのです。このことがある限り、自民党は浮き上がれない。そう言う意味で、石破さんにとってこの小沢さんのアドバイスはとても的確と考えます。 ただ、すでに石破さんはこのことをとてもよくわかっている。石破さんは総選挙の翌日の10月28日に行なった記者会見で、以下のBBCの記事のように語っています。
この『わが自民党は心底から反省し生まれ変わっていかなければなりません』という言葉は『生まれ変わって過去を捨て去る』ということであり、すなわち、それはアベ政治において大丈夫であった政治手法やバイアス、思い込みを捨てるということです。そして、発言は以下のように続きます。
党内の政治とカネの問題とは、基本はアベ政治のことです。ですので、この言葉はまさしく『アベ政治において大丈夫であった政治手法やバイアス、思い込み』を排除、捨て去ると言うことなのです。しびれます。もう一回。本当にしびれます。やはりこの人は本当にとても頭が良い。 この石破さんの言葉を見る限り、国民の不信・不評となった早期解散も、2000万円問題も『アベ政治において大丈夫であった政治手法やバイアス、思い込み』であったと10月28日の時点ですでに石破さんは結論していたということと考えます。 石破さんの言葉を見ると、国民と政治に対する真摯な姿勢が伝わってきます。このことを続けていけば、いずれ近いうちに国民の心を必ず捉えると考えます。 石破さんの方向性は、自民党にとって利益があることですが、それ以上に日本国民と日本にとって利益があることと心から考えます。 ○ 小沢さんの正常性バイアスは何か? 小沢さんは誠に的確な指摘をしていますが、小沢さんには弱点というか、別の正常性バイアスがあるのではないかと考えます。それは、政治思想をしっかりと考察していないと言うことです。言い換えると、政治思想を軽視しても大丈夫という正常性バイアスがあるのではないかと考えます。 これまで、小沢さんは2回ほど政権交代に関与してきました。私は2度ともその側にいて関わってきましたが、小沢さんの特徴はまさに『豪腕』にありました。その豪腕の本質はプラグマティズム、現実主義であり、政治思想とは対極をなすもでした。 そして、その豪腕のポイントは、政局においての数の論理で、政権交代という状況を作り出してきました。 ただ、その政権交代は長くは続かない。それは、そこに『政治思想』がないからです。ですから、政権交代という目的が達成されてしまった瞬間、その新体制は崩壊が始まっていき、その崩壊の過程はとまらず最後まで行きます。そしてそのあげく、『破壊』だけが残る。そうなるのは国民を救済し、平和をもたらす『政治思想』というベースがないからなのです。 そして、今回もこの小沢さんの正常性バイアスがある。数の論理で政権交代を果たすことが第一で、政治思想なんて無視しても大丈夫という正常性バイアスです。 しかし、この正常性バイアスからは政治の混乱しか生まれないのです。そして、それは国民の利益に反する。絶対的に反する。 ○ 石破新体制の足を引っ張る『安倍チルドレン』 安倍チルドレンと言われた元衆議院議員の金子恵美が、『裏金議員、衆院選当選で『みそぎは済んだ』』とテレビで発言して批判の声が上がっていると以下のように報じられています。 ・ 『裏金議員、衆院選当選で『みそぎは済んだ』 金子恵美さん発言が波紋 「国民の皆さんから批判はあるかもしれないけど」 』(2024年11月3日 中日スポーツ) ・ 『「選挙は裁判所じゃない」元女性議員 当選した裏金議員は「禊が済んだ」発言に疑問続出…一部で擁護の声も 』(2024年11月5日 女性自身) ・ 『“安倍チルドレン”金子恵美氏が追悼「まぶしい存在で、いつも1人輝いていらっしゃいました」 』(2022年7月13日 日刊スポーツ) 裏金政治家問題とは、政治家が政治資金の収支を公開することを規定する政治資金規正法に反したことを行なうことです。ただ、お金の流れを国民に公開しないことは、お金が民主主義政治を破壊する買収などに使われる可能性があると言うことですから、大変な問題なのです。脱税の可能性もある。 しかし、政治資金規正法に違反しても罰則が軽いというか、政治家に甘いので、これだけ多くの裏金政治家が出てきても、ほとんどおとがめなしということになっているわけです。 とは言え、違反した『前科』は消えないわけです。法律に違反した『立法議員』という過去が消えるわけではありません。 選挙に当選したということは、主権者・国民が代議士として信任したということです。今回の総選挙では信任された議員も多くいますが、信任されず、代議士という身分を失った政治家が非常に多かったわけです。それが、国政における国民の判断です。 ただ、どちらにしても政治資金規正法に違反した過去が消えるわけではありません。いつまでもつきまとうことなのです。 であるのに、この金子の発言である『裏金議員、衆院選当選で『みそぎは済んだ』』では、そういう過去が消えて、あたかもまた同じことが繰り返されることが許されたということに聞こえてしまいます。 ですから、この金子の発言に対して、上記の記事では以下のような批判の声が出ています。
至極当然な反応でしょう。 これでは、自民党は『政治とカネの問題』について反省していない、すなわちまた『アベ政治』が相変わらず大きな存在としてあると国民の眼にうつるわけです。 この金子の発言の本質は、上述したアベ政治において大丈夫であった政治手法をやれば大丈夫というバイアス・思い込みなのです。アベ政治の時代は、このように強気に発言しても大丈夫だったのです。しかし、今はそうではない。少なくとも先の総選挙ではそういう結果となった。 であるのに、この金子の発言では、上記のように決意をした石破さんの足を引っ張ることになるのです。無論、金子の本意はかなりの部分、石破さんの足を引っ張ることが目的のようにも考えます。 まあ、いずれにせよ、金子という人物は、政治家としては本当にレベルが低い。こんなのでよく国会議員になれたのものです。国民のためには何一つ役に立たないと考えます。そういう国民のためというベースがない。 石破さんにとって、また自民党にとっては、敵は外ではなく、過去の栄光を引きずり、そこから脱却できない内部の人々であることは明らかなようです。 | ||||||
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