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COP21での外交
[世界の読み方]
2015年12月1日 23時53分の記事

現在、パリで開かれているCOP21で、フィジーの首相は、中国の習近平主席と昼食会会場で「4分間」に及んで立ち話をし、席から立って話をする二人のその姿は会場で注目されたそうです。また、その後、韓国の朴槿恵大統領とも挨拶を交わす一幕もあり、同行した政府関係者から外交的な「思わぬ収穫だ」という声が上がっているそうです。めでたし、めでたし。
もちろん、この情報は嘘です。どこが嘘かと言うと、フィジーの首相というところで、ここは正確には「日本の首相」です。以下の報道を元にしていますが、ただ、残念なのは、情報としてはフィジーという大国とは言えない国の代表の記事としても読めてしまうところでしょう。東アジアで日中韓の緊張関係という問題はありますが、この記事が如実に物語るのは、世界における日本の位置づけということです。

「総理と習主席“立ち話” 良好な関係重視で一致」(2015年12月1日 テレビ朝日)

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今回、COP21の場を利用して、シリア問題で揺れるロシアと米国は、30分間の時間を取り、話し合っています。これが外交というものでしょう。本当なら日本はこのような会談への関与ができたかもしれません。2013年4月にロシアとの2+2を締結していますから、それを発展させていれば、十分に立場を作れていたはずです。しかし、それを反対の方向に進めてきたのですから当然、存在感は減少するでしょう。
また、米国への依存度が極めて大きくなっている日本の外交姿勢は、日本と直接交渉する意味を明らかに減少させています。日本とではなく米国と交渉すれば良いという状況では、国際的に存在感を示すことなど不可能に近いでしょう。その中で、中国、韓国の首脳と立ち話することは、もしかしたら外交的成果なのかもしれません。

COP21での外交のポイント
今回のCOP21を舞台にした外交で最も大きなものは、上記の米露首脳会談でしょう。30分間に及んだ会談の内容が以下の記事で報道されています。

「ロシア軍機撃墜、オバマ氏「残念」 プーチン氏と会談」(2015年12月1日 朝日新聞)

この会談では、ロシア軍機撃墜やシリア問題について話し合われていますが、実は最重要なのはこの記事にある「両首脳はウクライナ問題について、2月の停戦合意を履行する以外の解決策はないという考えを確認した」「(2015年12月1日 朝日新聞)という部分と考えます。
この一文は極めて大きな意味を持つと考えます。本ブログ「トルコによるロシア軍機撃墜の本質」(2015年11月26日)でも触れましたし、本ブログをお読みの方は既にお分かりかと思いますが、中東・シリアの情勢は、実はウクライナ情勢と密接に絡みます。ここが極めて重要です。このことの詳細は、本ブログ「ホロコーストに関するネタニヤフ首相の発言の背景にある事情」(2015年10月27日)『ザ・フナイ12月号』(2015年 舩井本社)、そして拙書『この国を縛り続ける金融・戦争・契約の正体』(2015年 ビジネス社)で書きました。詳細はそちらをご覧いただければと思います。
この中東の安定化において重要であるウクライナ紛争調停が、今年の2月に独仏露の枠組みでベラルーシにおいてなされました。この枠組に米国は入っていませんが、この2月のウクライナ停戦合意について、これを履行する以外に解決策はないと米露で確認しているわけです。つまり米国はこの枠組を認めたのです。このような確認がなされたのは初めてと思いますが、これは非常に大きく、当然、中東情勢に直結するポイントです。そして、この構図の中に今回のトルコの問題があるのです。そうなると、この米露の確認はトルコ、シリアの問題に当然、良い形で波及していくと考えます。
この会談が今回最大のトピックスとしてあるでしょう。9月末の国連総会で、先日のG20で、そして今回という形で米露会談が推移してきているものと考えます。
もう一つ、大きな外交的ポイントは、実はロシアのプーチン大統領と韓国の朴槿恵大統領の会談です。これも実は極めて大きな意味を持ちます。これは来年のトピックでしょうが、この会談は非常に大きな変化を物語っています。

外交方針の転換を迫られる日本
上記のウクライナ紛争では、日本はウクライナ側で動きましたが、現状は独仏露の枠組みでの方向で世界は動いています。日本のこの3年間の外交方針の見直しが必要になっている状況です。
また、歴代総理最高の外遊をしているにもかかわらず、存在感が国際社会では出せていません。これもこの3年間での外交方針とかかわります。今回のCOP21で年1.3兆円の支援を日本は表明していますが、GPIFの運用で7.8兆円の損失が報道されている中で、随分な大盤振る舞いではないかと率直に思います。そして、その大盤振る舞いをして、その効果があるのかは、これまで数ある外遊で援助を表明して、外交的な存在感を出すことができていない中では、疑問に思います。外遊先でお金を華々しく出して外交の成果と言われてきましたが、実際にはそうではなかったと考えます。平和への外交の理念が見えず、全体的なビジョンもないという日本への見方が、世界的に固定化しているのではないか考えます。本質はお金の問題では無いでしょう。そして、孤立化している、もしくは相手にされていないという状況があるものと考えます。今後、このような事態や外交姿勢は間違いなく大きな見直しが必要でしょう。

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内容は今まで見たことのない国際情勢と世界史の分析で、2024年の世界情勢の根本要因が書かれています。この本とザ・フナイの連載をトータルで読むと、ロシア・ウクライナ情勢、パレスチナ・イスラエル情勢及び中東情勢、東アジア情勢など現在の世界情勢の本質が見えてきます。もちろん、日本国内の情勢も見えてきます。内外情勢は決して別々ではない。
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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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