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トルコによるロシア軍機撃墜の本質
 
2015年11月26日 1時0分の記事

昨日はトルコによるロシア軍機撃墜のニュースで持ちきりでした。テレビでの解説を見ていると中東の状況が複雑化したというコメントが多く聞かれました。しかし、実相は、極めて単純で、第三次世界大戦になるか、ならないかということ以外にありません。このことは本ブログでもや、「第三次世界大戦の発火点――日本の関わり方」(2015年11月24日)で何度も述べました。
もちろん、欧州もロシアもこのことは当然理解していると考えます。複雑化したのはシリアの安定化などへの道筋ということですが、何を再優先するかを考えれば、自ずと方向性は決まってきます。
以下の記事では、ロシア軍機撃墜後、ドイツのメルケル首相がトルコの首相に「緊張緩和に向けあらゆる手を尽くすよう要請した」と報道されています。

「ロシア軍機撃墜でシリア問題は複雑化=メルケル独首相」(2015年11月25日 朝日新聞)

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今回の撃墜事件で、焦点となるのはロシアの帰趨ではなく、トルコがどういう態度をとるか、そして米国がどういう態度をとるかということなのです。世界はトルコと米国の責任に注目するわけで、それは欧州でのテロの恐怖、中東での混乱、そして世界的な戦争の拡大という要素があるからです。先日のフランスでのテロ事件がなければ、このような構図にはならなかったでしょう。しかし、現状、欧州にとっては、生死が関わる事態になっているわけです。これは欧州だけではなく世界的に共通することです。

ウクライナ紛争調停の構図をよく見るべき
今回の撃墜事件の報道について、テレビのニュースなどでは、ロシアがシリアのIS掃討に関与するのは、ウクライナ紛争でこじれた欧米との関係改善が目的であると解説されていますが、それは違うでしょう。もちろん、ロシアは関係悪化よりは改善を求めているとは思いますが、この部分は本質的な要素ではありません。
ロシアがシリアのIS掃討の本質は、正に今年2月のウクライナ紛争調停がどうして米国を外してなされたのか、そしてなぜあのような短期間で調停をまとめたのかというところにあります。この時の構図があるから、ロシアが今回、シリアでのIS掃討で協調的にできるわけです。ウクライナ紛争調停の構図や本質がわからないと、現在の中東情勢も理解できないはずです。詳しくは
本ブログ「ホロコーストに関するネタニヤフ首相の発言の背景にある事情」(2015年10月27日)をご覧ください。

北アフリカでテロ
昨日は、北アフリカのチュニジアとエジプトでテロが発生しました。正に昨日、ブログで触れた地域でしたので、ちょっと驚いています。ただ、この地域は今年初めからずっと危ない地域です。昨日は、この判断について述べましたが、当時、この地域が危ないと判断した理由は、アラブの春が生じた地域は危険になっていると分析したからです。ISなどが跋扈しているのは、アラブの春が生じているところです。私はあくまでも民主主義を標榜しますが、アラブの春とは一体何であったかということは、考える必要があることです。民主主義という価値観によって本質が見えなくなっている可能性もあるものと思います。
CNNによって、米国政府が全世界への渡航について注意勧告をしたと報道された翌日、ロシア軍機が撃墜され、そして北アフリカで立て続けにテロが生じました。こういうことに偶然の一致はあまりないと考えます。

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片桐勇治(政治評論家) さん
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プロフィール
片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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