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二匹目のドジョウ
[日本の政治]
2016年3月7日 23時55分の記事

参議院選挙を今夏に控える中、10%への消費税増税の再延期について、観測記事も含めてさまざまな情報が出ています。

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2014年11月18日、10%への消費税増税が2017年4月に延期されることが発表され、11月21日に衆議院解散、12月2日公示、14日投票という日程で選挙が行われ、与党が勝利し、現在に至っています。解散から投票まで日数が少なかったことが特徴でしたが、この総選挙に与党が勝利したことによって、その後、国論を二分した安保法制成立へと一気に進むことになります。この選挙における自民党のスローガンは「景気回復、この道しかない。」でしたが、実際、選挙後に進められたのは安保法制であり、一方で景気対策については、消費税増税を延期したにもかかわらず昨今の世論調査でも明らかなように十分な成果が出ていないと判断されています。また、GDPや家計の消費支出など全体としてのマイナス傾向がはっきりと出ていて、成果は明らかに出ていません。

「アベノミクス『評価せず』57%…読売世論調査 」(2016年2月26日 読売新聞)

先の総選挙で自民党が出した看板通りに政治的な成果が選挙後、出ないかもしくは悪化している一方、その選挙において争点化していなかった安保法制がその後の政局においては最大のテーマとなり、大きな反対がある中で法制化しています。法制化した後も、国民への説明が必要との世論調査結果が出ているので、先の選挙が明らかに消費税増税延期、景気・経済問題への争点ずらし、本質的なテーマを隠して行われた証左と考えます。そして、そこには明らかにアメとムチという構図があるものと考えます。この構図にTPPも入るでしょう。
今回もまた、選挙を前にして、消費税増税がいわれていますが、本当のテーマは憲法問題であることは間違いないでしょう。結局、選挙に勝てば白紙委任状を得たという形で進めようとしているものと考えます。その白紙委任状を得るために様々なことが行われていると考えますが、この流れの中で高市総務相のテレビ局停波発言が出てきているものと考えます。すべては選挙へ向けて動いているのです。
こう考えれば、先の総選挙の時と政治手法は変わっていないと言えます。現状の議論は二匹目のドジョウと言えるものでしょう。
しかし、そもそも2年前と同じことを争点にするということに意味がないのは明らかです。それはむしろ政権の不見識を示すものになります。
10%への消費税増税を延期すると言うことはその増税が経済に悪影響があることを認めていることが根底にあります。そして実際に8%増税の悪影響が出ていますし、そのような性質のものを再度、延期という同じ争点で選挙をするというのは、政権の認識がこの2年を経ても何の進歩もないことを意味しますし、先の総選挙で選出された議員は一体何をしていたのかということになります。
この2年で明らかに8%への増税の悪影響が出ているのに、なぜ、そのような害があるものを延期という判断をするのかということです。そのような争点を二度の総選挙の論点にすることは明らかに無駄なことですし、延期という論点が集票の手段になるわけですから、これは行われてはならないことです。
今後、10%への消費税増税がなされないという方向性ならば、それは延期ではなく最低限中止か、5%への減税、もしくは消費税廃止ということが争点となるのは当然のことです。
また、そもそも消費税を導入したこと事態が焦点となりますから、大連立なるもので動いた民主党、自民党など政界の大半を占める勢力の誤判断も焦点にされなければならないでしょう。
首相は今後、リーマンショック級の金融パニックか、自然災害があった場合、消費税増税を延期すると述べています。これも消費税が経済や社会に対する悪影響を認める認識です。ただ、現在の経済・社会情勢の実相は、8%への消費税増税も含めてこれまでの経済失策で経済・社会に大きな穴が開いているときに、経済・金融パニックが生じた場合のカタストロフです。株価の下落などについては昨年初めから危険性があることが指摘されていますし、このことと関連してGPIFの株式運用比率増加の問題点が浮上しているわけです。そこにマイナス金利導入で一時的にお金が株式市場に流れているものと考えますが、ここで株価急落などが生じた場合、極めて大きな問題が発生することは自明です。つまり今後、GPIFだけでなく銀行の問題も浮上する可能性があるわけです。
しかし、現在はまだこのパニックが生じていないのに、家計の消費支出が5ヶ月連続でマイナスを記録し、GDPはマイナス、世論調査でも景気回復の実感はなく、現政権の経済政策への不信感が募っています。この現状で金融パニックが生じるというのは大変なわけです。そして、そのような状況に直面したとき、相当ドラスティックな経済政策を打たないと本当にパニックになることが予想され、消費税増税の是非の議論だけですむような話ではありません。政権も進退が問われる状況に確実になります。

意味のない想定
また、金融パニックが生じたら10%への消費税増税は延期するというのは、もっともらしく見えてあまり意味のないものと考えます。
消費税増税前に金融パニックが生じたから増税を延期すると言うことですが、それではもし増税後に金融パニックが生じたから一体どうするつもりなのでしょうか。今全く想定されていませんが、金融パニックを言うなら当然、その時は8%へ戻すという議論がなければなりません。しかし、現状、そのような議論は見られません。これは自然災害でも同じことです。したがって、本来的な政策的ビジョンが欠落しているものと考えます。単に状況を「理由」にしているだけで、極めて一面的な言説でしかないものです。もしかしたら、金融パニックがあることを政権は承知しているのでしょうか? それはそれで問題があります。なぜなら、GPIF株式運用比率問題や日銀のマイナス金利に関する銀行の問題は、その金融パニックで相当のダメージを受けるからです。知っていてこのような政策をするのであれば、それは国家国民への裏切りであり、反社会的な行為です。
しかし、消費税増延期の議論や発言が現在、報道されるのは、明らかにこの増税が経済に及ぼす悪影響がはっきりとあるからです。
総合的に考えれば、消費税増税は中止、もしくは減税か廃止という選択肢しか現状ありません。そのような方向性で経済の穴を埋め、将来へ向けて経済・社会環境を整えていくしか方策はないと考えます。そして、それしか政府が持続的に存在し続けることもできません。
もちろん、二度目の10%への消費税増税延期などという論点は無意味であり、また選挙における論点の私物化であるので、あり得ませんし、その延期をアメとして、選挙後、全く争点化していない論点を白紙委任状を得たごとく進める、先の総選挙から行ってきた政治手法などはもってのほかでしょう。それは政治的手法としては国民と政治の信頼関係を損ない、政治や民主制の危機を招きます。まだ、昨年の安保法制の説明も十分になされていないと国民は考えているわけです。そして、どんなに政治手法で取り繕っても、経済において生じている問題点は解決することはないのです。そのことをしっかりとするしか道はないのです。

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プロフィール
片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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