タックスヘイブンはいらない | |
[日本の政治] | |
2016年5月10日 23時50分の記事 | |
フランス人経済学者トマ・ピケティ氏ら350人を超す世界中の経済学者が、脱税などで不正に使用されるタックスヘイブン(租税回避地)の根絶を求める公開書簡が発表されたことが報道されています。 「『租税回避地いらない』=ピケティ氏らが公開書簡」(2016年5月9日 時事通信)
昨日、一昨日の本ブログ「パナマ文書の提供者が初の声明、『革命』を予見?」(2016年5月8日)、「パナマ文書の提供者が初の声明、『革命』を予見?」(2016年5月10日)でも指摘したように、この公開書簡で「(回避地は)一部の富裕層や多国籍企業を利するだけで、不平等を拡大させている」と批判され、タックスヘイブンのの存在は「世界全体の富や福祉の拡大に寄与せず、経済的な有益性はない」と断じています。このことはザ・フナイ7月号でも書いていますが、この問題の最重要ポイントはこのことにつきます。つまりタックスヘイブンなどは人類全体には貢献しないと言うことです。そして、それを改めよと言うことです。このことの本質は生命論ですが、そこまで深遠な変化が生じているわけで、資本主義と社会主義の対立というような陳腐で時代遅れな論点など既にそこにはないのです。 世界が既にこのような人類全体を考えはじめ、そこに資本主義の終焉という議論があり、次の時代、人類全体に、そして個々の人々の安寧ために貢献する「経済」をどうするかと言うことが考えられているわけです。 ここには、日本の法人税を下げないと企業が海外に逃げてしまうというような陳腐で、偏狭で、倫理観を失った視点などは微塵もないわけです。これは世界の動きに取り残された偏狭の議論です。 また、世界がこのような方向で考え初め、フランスでは新自由主義を批判するデモが起こり、米国では社会主義者の大統領候補が善戦し、話題を集めると言う中で、新自由主義を財政出動と金融緩和で取り繕って成立させ推進しているような経済財政政策を海外で喧伝しても鼻であしらわれるか、批判されるだけでしょう。 「メルケル独首相、財政出動にゼロ回答 日本との対立避け、温和な表現」(2016年5月5日 日本経済新聞) 「Japan's economy is tanking. So why should the UK listen to Shinzo Abe on Brexit? 」(2016年5月5日 The Telegraph) ご自分で行っている経済財政政策が世界でどのような意味を持ち、どのような位置づけになっているかわからないからこのようなことが生じるのでしょう。この感覚で外交を行っているのですから、すごいことだなとつくづく思います。この3年間の安倍政権の経済財政政策は成功はしていませんし、失敗しています。お世辞で言っても見るべき成果は上げられなかったということですが、それをどうして胸を張って海外に言えるのか、私にはわかりません。 タックスヘイブンに逃避されている金融資産は日米GDPを超える24兆ドル(約2570兆円)〜35兆ドル(約3750兆円)と報道されています。間違いなくそれをさらにはるかに超える額があります。それが、滞貨になったり、不正取引に使用されたりと世界において生産的に使われないわけです。資本主義が限界に突き当たったときに、このお金をどうするかということがポイントであるわけで、このパナマ文書が危険なものというような評価は一面的なものです。それは一部の人々にとっては危険でしょうし、この問題を押さえ込もうとしても衝突などを加速化させるだけです。最終的には再分配するしかないわけですが、それはそうでないと人類が生きられないという理由に過ぎません。それなら早めに最悪の事態になる前に方向転換をするしかないということで、欧米では既にその胎動が見られるわけです。 もちろん、この状況で新自由主義を推進するということなど、選択肢としてはありません。したがって、この世界的な動きは必然的に日本の政治状況を劇的に変えていきます。まだ、そのことを日本の政財界はわかっていません。嵐が通り過ぎるのをじっと待っているかのようですが、嵐が過ぎ去れば時代はかわり、状況は大きく変化しています。それが今の時代状況なのです。 | |
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