イギリス、EU離脱? | |
[日本の政治] | |
2016年6月24日 23時57分の記事 | |
EUからの離脱の是非を問うイギリスでの国民投票が行われ、結果、EU離脱の判断となりました。イギリスを「イギリス」と表現するのも、今後、それほど長くないかもしれません。
イギリスのEU離脱派は、この結果を受けて、本日をインディペンデンス・デイ(独立の日)と表現しています。また、離脱派はそのキャンペーンにおいて「主権を取り戻せ」と訴えていたと報道されていますが、今回の投票におけるイギリスの置かれた状況が非常にわかります。そこにはアイデンティティーというものが強く意識され、同時にそれは単なるそろばん勘定を超えたものとなっていたわけです。 かつてロスチャイルドやジャーディン・マセソン(グラバー)などの国際金融資本を軸にアジアで三角貿易を行い大きな被害と問題をもたらした英国は、自らが国際分業の中に置かれた瞬間、それは自分たちにとってメリットがないと今回の結論を出したわけです。 自由貿易を擁護したイギリスの経済学者・デヴィッド・リカードが唱えた、各国が比較優位にある産品を重点的に輸出することで経済厚生が高まるとした「比較生産費説」をまさに現代のイギリス人が否定したと言うことです。この国際分業を唱えるリカードの理論によってどれだけの悲劇がこれまで繰り返され、多くの国々が自立の足がかりを奪われ今に至っているか、その本家本元がやっと気がついたと言うことです。一部の者の利益だけを拡張し、貧富の格差を広げるレッセフェール(自由放任)や自由貿易なるものが恩恵をもたらすなど幻想でしかないのですが、それが本家本元の人々が実証したと言うことが、今回の結果の本当の意味です。もちろん、この幻想の被害者は一般のイギリス人も含まれるのです。 言うまでもなく、このことは明治維新以降、イギリス及びその国際金融資本と縁が深い日本もまた例外ではないのです。イギリスのEU離脱は、地球の裏側で起きている関係がないものではなく、極めて関係があることなのです。そのシステムの中にずっと置かれ、そこに度重なる戦争など日本の近現代史があるのです。 このような結論をイギリス人が出しているのに、こちら日本ではこれからTPPをやりましょうと言っているわけです。それも率先して安倍政権が行っているわけです。もちろん、これは日本がたどってきた近現代史と無縁ではないのですが、農業はなくなっても良い、経済、社会の自立性がなくなっても良いとそう政権は訴えているわけです。イギリスでは「主権を取り戻せ!」という声が大勢を占めたのに、日本では「保守政権」と自称するものが主権を手放すと言っているわけです。イギリスでは独立と表現しているのに、日本では独立を放棄する政策を安倍政権が進めているわけです。考えが50年、100年遅れているわけです。安倍政権だけではないですが、日本には、この歴史の趨勢と経済の本質がわからない人が極めて多くいます。経世済民としての経済のことを考えれば、その反対を行うしかないのですが、国民の生活を中心に考えるのはおかしいという始末です。イギリスは実体験をして、その真実に気がついたのです。 このEU離脱問題で、残留派のジョー・コックス下院議員が銃撃されなくなったときイギリスのEU離脱の是非は不透明になったと考えましたが、結果は離脱になりました。あくまでも私見ですが、コックス下院議員は自由貿易の犠牲者として暗殺に近いものであったと考えます。とても痛ましく、また残忍な事件です。しかし、それでもこの事件で世論は動きませでした。率直に言って英国国民は成熟していると思います。このような怪事件というのは、歴史においても何度も出てくるのですが、構造はいつも同じで、今回もまた同じであったと分析します。そういうものを英国民は見抜いていると考えます。もちろん、EUでの自由貿易など様々なことについて実体験が揺るぎない考えをつくり出してもいるのでしょう。 今回のEU離脱の決定は、17世紀、18世から続いてきた英国発祥の資本主義、自由貿易、戦争の構造の終焉と考えます。今後、英国が経世済民に徹して、自らのお金を自らのために使うのなら、経済はそれほど悪いものにはならないでしょう。むしろ良くなる可能性もあると考えます。 | |
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