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現在の実相?
[日本の政治]
2019年8月9日 10時55分の記事

昨日の本ブログ「現在の実相?」(2019年8月8日)の続きです。

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構造の問題
しかし、このヤフーのニューストピックスを観ていると、日本が置かれている世界的な構造転換の実相を如実に示しているのがよくわかります。


19年上期の経常黒字 10.4兆円写真NEW
羽田新ルート はらむリスク写真NEW
羽田新飛行ルート 正式決定へ
SBグループ 純利益1兆円超
関係悪化 日韓の就活にも影響


「羽田新飛行ルート」というのは、米軍の撤退と朝鮮戦争の終焉を意味します。このことは拙著『この国を縛り続ける金融・戦争・契約の正体』(2015年 ビジネス社)などですでに6年以上前から言っていることです。
また、日韓対立となっているホワイト国から韓国を外すという日本政府(安倍政権)の措置も、朝鮮戦争が休戦でも継続している内は起こりえないことなのです。なぜなら、今回の日本の措置は朝鮮戦争で北朝鮮に対峙する日韓の産業基盤を破戒することになるからです。産業基盤というのは、軍事の基礎となるものです。
実は今回の日本の対韓措置は明確に朝鮮戦争が終わったことを示しているのですが、6月30日、トランプ大統領が板門店で軍事境界線を越えた次の日から一連の対韓措置が始まったことは明らかに象徴的でしょう。ただし、日本政府(安倍政権)は朝鮮戦争が終わることを前向きに捉えてこの措置をしているわけではないと考えます。
その理由の一つは、上述のように朝鮮戦争(冷戦)の構造に自民党(安倍政権)や経済界の基盤があると考えるからです。まさに戦後体制、55年体制というのは冷戦構造、朝鮮戦争の構造にその本質があるわけです。その中で中心となってきた自民党や経済界は、この構造に基盤があるのは当然なのです。これらのことはすでにザ・フナイの連載などで述べてきました。
だから、朝鮮戦争の終焉、南北融和の反対の方向にずっと安倍政権は動いてきたわけです。そして、韓国をホワイト国から外すことなどが可能となった翌日からその一連の措置を開始し、朝鮮戦争が終結しないように韓国に揺さぶりをかけ、一方で米国を東アジアに留めることを目的としたと考えます。それは日韓の対立が米国の安全保障上の問題として米国が判断し、東アジアに留まる理由となると考えているものと考えます。ただ、今やそれが米国は米国の安全保障に影響がないと判断しているものと考えます。

明と暗
もう一つの理由は、南北が統一することによって、朝鮮半島が大きく成長するので、そのことを阻止したいと考えているためと考えます。南北の統一が進むと確実に大きな経済となっていきます。最初の1年、2年は混乱はあるでしょうが、その後は確実に伸びていくでしょう。このことはすでに講演会などでは昨年から述べています。以下の日刊ゲンダイの記事では投資家のジム・ロジャース氏が朝鮮半島の興隆を予測していると書かれています。すでに同氏の考えは4月の段階でハンギョレが報じています。

「安倍首相は嘲笑 朝鮮半島経済の爆発力“投資の神様”太鼓判」(2019年8月9日 日刊ゲンダイ)

「ジム・ロジャーズ氏『統一韓国は機会の地…日本に行った若者は韓国に戻るべき』」(2019年4月23日 ハンギョレ)

ジム・ロジャース氏は昨年末くらいから同主旨のことを言っています。彼の考えに同意できないことも多々ありますが、朝鮮半島についての読みは正しいと考えます。
また以下のようにおよそ10年前から南北統一でGDPはドイツ、フランス、日本を抜くと中央日報は報じています。

「『南北統一でGDPはフランス・ドイツ・日本を抜く』」(2009年9月22日 中央日報)

このようなことはすでに常識のことなのです。南北両国が合わされば人口は7500万人以上になります。また北朝鮮の鉱物資源の豊富さは有名ですし、その他、未開拓の部分は多々あります。同時にユーラシアと地続きですから、朝鮮半島は欧州、中東、アジアと直結します。
日本は人口減少、上述のように新自由主義で経済・社会の屋台骨が壊れてしまっています。経済は強みを失い、貿易収支は大きく落ち込み、本ブログ「残された切り札は少ない」(2019年8月3日)で取り上げたように名だたる企業はリストラの嵐です。米国のプレゼンスは減少し、日本は海に浮ぶ孤島です。
すでに日本と朝鮮半島の明暗は明らかなのです。そして、今回の韓国に対するホワイト国除外では、日本が販路を失っていく結果になるでしょう。実相は泣きっ面になんとかなのです。そして、このように明暗がはっきりしていると、周辺国は明の方に重点を置くことになります。中国、ロシアはもちろんのこと、東南アジア、南アジアなどアジア全域、中東、そして欧州と一体化していくことになるわけです。まさにユーラシアの覚醒です。そして、そこから日本が除外されるということです。
安倍政権の外交政策では、中国とは関係が悪化しましたが、今はすこし修復しています。ロシアは全く改善されず、朝鮮半島とは全くダメです。米国はすでにプレゼンスがなくなりつつあります。日本は周辺国と全くと言って良いほど上手くいっていないのです。完全に安倍政権で日本は孤立し、経済は完全に落ち込んでいるわけです。中国も明の方を重視することになるでしょうし、台湾もザ・フナイ9月号で書きましたが、中国と方向性を同じくします。
すでに日本は相当の苦境に陥っています。それが安倍政権によってつくられ、この1ヶ月でさらに悪くなっているわけです。朝鮮戦争(冷戦)によって成り立つ日本の戦後政治経済構造が終わっていくときに、その戦後政治経済構造の申し子である安倍政権は、朝鮮半島の興隆、ユーラシアの興隆を阻止するために、朝鮮戦争・冷静の構造が終焉したことを利用して、韓国をホワイト国から除外する挙に出て、活路を見いだそうとしたと考えます。
しかし、それは明らかに玉砕コースです。いつも最後はこういう玉砕コースをとって、日本人とアジアの人々に問題をつくり出します。今回の韓国をホワイト国から外す措置は、アジアにおいて日本が問題ある存在となった決定的なことと考えます。この上に過去の戦争の問題があるわけです。
このような挙に出て、何らかの状況をつくろうとしているのでしょうが、それは不可能だろうと考えます。その掌にあったすべてを失うでしょう。

どうすべきか
実はザ・フナイの連載では2年以上前から日本の孤立化を予測してきました。今はその予測通り動いています。昨日今日に始まったことではないのです。
それでは、どうすべきだったのか、そしてどうすべきなのか? それは非常に明快で、日本は東アジアの交流と興隆を手助けするほかないのです。平和主義を貫き、善隣外交を行うほかないのです。180度方向転換をして南北朝鮮の和平を積極的にすすめ、同時にロシアとの平和条約を早急に締結するということをしなくてはなりません。これらのことも2年以上前から言っています。つまり、もう2年もロスをしていて、状況は非常に悪くなっているのです。
過去の贖罪と未来への関係づくりをしなくてはなりません。そうしなくてはならないと述べてきましたが、全くその反対を安倍政権は突っ走ってきました。これが実相なのです。
歴史的にいって、明治維新の結末が、1945年の破滅です。そして、その明治以来の悪しき余波がまだ続いているのです。それを終わらせる必要が確実にあります。

ポンペオの発言
以下の朝日新聞の記事にある通り、8月7日にポンペオ国務長官は数週間以内に北朝鮮との非核化協議を再開すると発表しました。上述してきたことを観れば、この発言の真意は明らかでしょう。日韓対立の仲介は、その用意はあったでしょうが、表向きはせずに、朝鮮半島の融和の方向に米国は動き始めたということです。上述のようにこの方向は朝鮮半島の興隆を意味し、そして、日本の今後の立場を決定します。今後、米国は日本と日本の周辺国との関係を取り持つことはないでしょう。これが米国の答えと考えます。

「米朝の非核化協議、数週間以内に再開と期待=ポンペオ国務長官」(2019年8月8日 朝日新聞)

ごまかしと逃げ
韓国をホワイト国から除外し日韓対立をつくり出している当事者である経産相が、会見で「半導体材料など3品目の韓国向け輸出について、国内企業から出ていた申請に許可を出したことを明らかにした」(2019年8月8日 朝日新聞)と報じられています。

「経産相、輸出規制『第3弾』を示唆 韓国にクギ」(2019年8月8日 朝日新聞)

この会見で世耕氏は、韓国への措置は第三弾もあると述べていますが、一方で「我々の措置は禁輸ではなく、正当な取引には(輸出手続きの)恣意(しい)的な運用はせずに厳格な審査を踏まえて許可を出す」(同上)と述べています。明らかに後者の方が本質的にいいたいことと考えます。
そして、韓国への措置は安全保障上の問題と述べていますが、以下のように述べています。


武器転用の恐れがあるために国際的に厳しい輸出管理が求められる品目で短納期の発注が繰り返されるといった「不適切な事案」があれば、半導体関連3品目と同じく韓国向けの「包括許可」の対象から外すことなどを示唆した。(同上)


この発言では「輸出管理が求められる品目で短納期の発注が繰り返される」というのが、安全保障上の問題となりますが、これはまったく意味がないものでしょう。焦点は短納期で発注が繰り返されたことによって、どのような安全保障上の問題が起きたかということを言わなくてはならないわけです。これでは証明になっていません。実際、短納期で発注が繰り返されなくとも安全保障上の問題が生じる可能性がありますから、この短納期で発注が繰り返されることは本質的な問題ではないのです。これでは、単に経産相が勝手に安全保障上問題あると判断しただけということになります。本ブログ「根拠薄弱」(2019年8月2日)で今回の対韓措置は根拠薄弱と書きましたが、そのことから一歩も進んでいない状況と考えます。今回の対韓措置は韓国との関係を悪くする問題ですから、経産相には日本国民に対してしっかりとした説明の義務と措置に対する責任があるのは言うまでもありません。
また、今回の対韓措置は「禁輸措置」ではないと言っていることは、そこに逃げの方向性があると考えます。これがもう一つのポイントと考えます。
上述のポンペオ国務長官の北朝鮮との協議の表明は、この経産相の発言の前日で、ポンペオ国務長官の表明の意味は上述しました。そして、まさにその翌日にこの経産相のコメントがあるわけです。日本がつくり出した現状の日韓関係や日本の置かれた状況において、ポンペオ国務長官の言葉は、日本にとって非常に厳しいものなのです。本当は朝鮮半島の融和を喜ばなくてはならないのですが、そうならないように安倍政権はこれまで突っ走り、そしてその甲斐あって、ポンペオ国務長官の表明によって今や安倍政権は全く喜べなくなってしまったわけです。そう言う流れの中でのこの世耕経産相の言葉と考えるのが、もっとも正確で自然なものと考えます。

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◆この記事へのコメント(投稿順)
1. 大嶋啓市 2019年8月11日 14時37分 [返信する]
ザフナイの連載終了、お疲れ様でした。
読者としては、寂しいですが!
これからこのブログを時々読ませて頂きます!

 

2. 片桐勇治(政治評論家) 2019年8月11日 22時5分 [返信する]
大嶋啓市様
ありがとうございます! 心より感謝申し上げます。
9月中旬に勉強会をする予定にしておりますので、もしご興味がございましたら以下のアドレスまでご連絡ください。どうぞ今後ともよろしくお願いいたします!

yujikatagiri111@yahoo.co.jp

 


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くる天

◎ 必読の書

○ 『餓死した英霊たち』

○ 『世界で最初に飢えるのは日本 食の安全保障をどう守るか』

先の大戦も、現在も日本国民を大切にしない政治。この2冊がそのことを雄弁に物語ります。

○ 『CIA日本が次の標的だ―ポスト冷戦の経済諜報戦』


◎ 拙著です

○ 『この国を縛り続ける金融・戦争・契約の正体』



内容は今まで見たことのない国際情勢と世界史の分析で、2024年の世界情勢の根本要因が書かれています。この本とザ・フナイの連載をトータルで読むと、ロシア・ウクライナ情勢、パレスチナ・イスラエル情勢及び中東情勢、東アジア情勢など現在の世界情勢の本質が見えてきます。もちろん、日本国内の情勢も見えてきます。内外情勢は決して別々ではない。
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プロフィール
片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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