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《日本の政治》新型コロナウイルス対策に観る日本の劣化 (2)
[日本の政治]
2021年9月10日 0時43分の記事

「《日本の政治》新型コロナウイルス対策に観る日本の劣化 (1)」(2021年9月9日)へ続く。

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◎ ワクチンは切り札??
スガ氏の記者会見を観ていて、『ワクチンは切り札』という言葉が踊っていると率直に思いました。以下の記事でもそう書かれています。
しかし、それならどうしてワクチンの供給の遅れなどが生じたのか? 明らかにそういう不手際があったわけです。それにワクチンが切り札というのなら、そもそもワクチンの開発・製造の自立性を喪失したという自公政権の最大の失政が、本当なら最大級にクローズアップされるべきことです。スガ氏もこの約10年、中心人物として政権に関わっているわけで、その無能無策は明らかに万死に値するものです。

「(3)「やはりワクチンは切り札」」(2021年9月9日 産経新聞)

以前言われていた、国産ワクチンはどうしたのでしょうか? シオノギはどうなったのでしょうか? 武田薬品が製造するからと言ってノババックスという選択は、国産ワクチン断念ということに過ぎないのではないかと考えます。自公政権で国産ワクチンと言うことをしっかりと育てて来ていませんから、いきなり現状のようなパンデミックに遭遇しても、到底対応できないと言うことです。そのことを今回のノババックスのワクチン購入で最終的に証明したと言うことです。
今回のノババックスのワクチン購入は、アベ・スガ時代とこの20年の自公政権の失敗と無能を決定づけたものなのです。

「ノババックス製ワクチン、来年1億5000万回分供給へ 武田薬品が国内生産」(2021年9月7日 化学工業日報)

また、本ブログ「《コロナ問題》モデルナのワクチンの接種は即刻停止すべき その2」(2021年8月31日)で取り上げたように、モデルナのワクチンで金属アレルギーについて取り上げました。
以下の記事のように、その後も死亡事例は報告されていますが、厚労省の専門家部会の見解は因果関係は評価できないというものになっています。
このことは普通に考えて、因果関係があるかもしれないし、ないかもしれないということであって、危険性がまったく無いと言うことではないわけです。実際、危険性がないと政府は言い切れないものと考えます。だから、因果関係は評価できないという見解になっているわけです。
それなら、すぐにモデルナのワクチンの接種を中止すべきなのです。危険性がないと実証できていないのですから。
しかし、それなのにどうして、スガ政権はこのモデルナのワクチンを止めなかったのか? それはワクチンがスガ政権にとっての切り札だからです。それしか防疫対策はやっていませんから、そのワクチン接種が止まれば、政権維持に支障が出る、だから止めることはしなかったということと考えます。
実は、この9月9日の記者会見でのスガ氏の発言である『ワクチンは切り札』という言葉が、逆にこの政治的思惑を雄弁に物語っていると考えます。ワクチンが切り札という意味は、防疫対策にとってとスガ政権にとってと二つの意味があるということなのです。
そうなるとこのスガ氏の権力維持のために命を落とした方がいるということになります。このことは、今後、徹底的に検証される必要があります。

「異物混入疑いワクチン、接種後さらに1人死亡 因果関係は不明」(2021年9月6日 朝日新聞)

◎ ワクチンを切り札にするための施策ということが実相
この会見ではワクチンと検査ということが言われ、その方向性は評価しますが、はっきり言って検査に関してはまったく不十分だと考えます。
中国と台湾は、ワクチンが普及する前の昨年から、新型コロナウイルス防疫対策で成果を上げて、世界で唯一と言える経済成長も果たしています。つまり、ワクチンを切り札にしなくても成果を上げている国があるということです。
この中国・台湾は、基本的にPCR検査の社会的検査と隔離、また極めて厳しい水際対策など、基本的には感染者の早期発見と隔離に重点をおいて、成果を上げたわけです。この中国・台湾の新型コロナウイルス対策は、新型コロナウイルスに対する呉越同舟、国共合作と考えます。
この中国と台湾のやり方が、伝染病・疫病に対する基本的な取り組み方と考えます。その上でワクチンを使用するというのが、もっとも効果的と考えます。
日本は、この中国・台湾の成功事例を一切行なわずに、なんと防疫政策ではない需要喚起政策であるGOTOトラベル・イートなどをして感染拡大を放置し、結局、感染爆発・オーバーシュート、医療崩壊、家庭崩壊までいってわけで、それでいてワクチンが切り札というのでは、明らかに本末転倒ではありませんか。あまりにも無責任であり、単なる我田引水に過ぎません。
この日本の施策の実相は、ワクチンが切り札なのではなく、ワクチンを切り札にするように仕向けているということに過ぎません。そうとしか見えません。
そして、今後もこのような事情はまったく同じで、ワクチンの抗体の持続期間と変異種のことを考えれば、感染防止と言うことを基本に据えないと、ワクチン接種の無限ループと言うことになってしまいます。
これまでのアベ・スガ自公政権・日本政府の施策の実相を考えると、ワクチンの必要性が高まるように感染拡大を容認してきたと見えてしまいます。これは明らかにおかしいのです。まず、目的を感染拡大防止の徹底にしなくてはならないのです。そして、このことは、今後を考える上でも確実に必要な視点になるのです。

◎ 本当の出口戦略は新型コロナウイルス終息
現状、ワクチン接種を前提とした行動制限の緩和が言われています。そして、これを出口戦略と言う向きがありますが、はっきり言ってこれは出口戦略ではありません。
本当の出口戦略は、あくまでも新型コロナウイルス終息への戦略だけなのです。
これまでずっと言われてきた『出口戦略』なるものは、単に緊急事態宣言解除のための基準緩和や行動制限緩和などに過ぎません。しかし、その結果、どのようなことが起きたでしょうか? 最終的に行き着いた先は、先月の感染爆発・オーバーシュート、医療崩壊、家庭崩壊なのです。
はっきり言って、アベ時代から一貫して出口戦略として新型コロナウイルス終息への戦略は語られておらず、行動制限緩和のことばかり、その典型がGOTOトラベル・イートやオリ・パラであったわけです。
繰り返しになりますが、結局それで緊急事態宣言のオンパレードとなり、先月は首都東京で感染爆発・オーバーシュート、医療崩壊、家庭崩壊となったわけです。どこが出口なのか? 最悪の事態に至ったというのがことの顛末ではありませんか。
よく考えて観れば、一回目の緊急事態宣言解除からずっとこの出口戦略、行動制限緩和、経済を回せと言ってきた結果、その犠牲者がすでに1万5000人以上になるわけです。これは明らかに失政であり、経済を回すということによって生じた犠牲なのです。許されるものではありません。これは経済界に大半の責任があるわけです。
中国・台湾は上述したように、しっかりと感染拡大を防止して、世界で唯一と言える経済成長を果たしているわけです。言うまでもなく、このやり方しかなかったのです。これが私たちにとっての正真正銘の『出口戦略』だったのです。
どうしてパンデミックにおいて、感染拡大に結びつく行動制限緩和が出口戦略と言われて、新型コロナウイルス終息戦略がまったく提示されてこなかったのか? この事自体が狂っていますが、このような感染拡大を促す出口戦略が、結局は上述のワクチンが切り札になる状況を作り出してるにすぎないのです。明らかにこのことは意識的に行なわれていると考えます。
そして、何よりも誤った『出口戦略』の議論がまかり通る日本というのは、その劣化がかなり末期的な状態と考えます。

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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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