ブレーキという名のアクセル パート2 | |
[日本の政治] | |
2016年6月20日 23時50分の記事 | |
公明党の山口代表が、憲法改正について「首相といえども憲法順守義務が課せられているので政府側から改正の内容の発議、意見を出すことはできない」(2016年6月20日 時事通信)と指摘し、憲法改正に意欲を示す安倍首相に自制を促す狙いがあるとみられると報じられています。 「山口公明代表『政府は改憲発議できぬ』=安倍首相に自制促す狙いか」(2016年6月20日 時事通信)
この山口代表の指摘は、極めて良いものでまっとうなものです。しかし、第二次安倍政権が発足した2012年暮れ以来、連立与党内における公明党の発言、特に安保関連についての言動の実効性、影響力は、残念ながら全く実績がありません。党是と反対と思われることに関して易々と認めてきたと多くの人の印象があるもの考えます。 行政府の長である首相はもちろん憲法遵守義務があり、改正の発議、意見を出すことはできないのは当然のことですが、それならなぜ違憲の声が非常に強い集団的自衛権行使を認める安保法制に公明党が賛成したのかは、全く理解ができません。この件では事実上の憲法改正というか、憲法を蔑ろにしたわけですから、本当なら公明党はこの時にその安保法制に対する断固とした行動をとらなければ、今回の発言とは整合性はとれないものと考えます。恐らく、同じ組織内や支援者の中でもそう考えている人は結構、多いのではないかと考えます。 また、安倍首相が、首相としてではなく、自民党総裁として憲法改正問題を言ってしまえばこの山口代表の言葉は意味をなしませんし、それに対して公明党は何もアクションは起こさないでしょう。それはこの3年あまりの期間の実績が示すとおりと考えます。 今回の山口代表の発言は、組織内・支援者の引き締め、もしくはつなぎ止めのために行ったものと考えます。選挙が終われば、恐らく何事もなかったように行動するのではないかと必然的な予想ができます。 この公明党の対内的な問題とともに、もう一つ考えられることは、連立与党としての広報戦略です。安倍体制下の自民党はタカ派的、もしくは暴走していると捉える向きが最近、多くのなっていますから、連立与党の一方の公明党からこのようなメッセージが出されるとバランスをとることができます。中和と言うことですが、このような戦略をあえて出さざるを得ないほど、実は連立与党に対する風当たりが強くなっているとも考えられます。いずれにせよ、このようなバランスをとると言うことは連立与党においては、よくとられる広報戦略ですし、また連立政権だからこそやりやすいと言うこともあります。今回の山口公明党代表の発言は、この線にそったものと考えますが、それは即ちやはり選挙が終わればどこ吹く風、今までと同じ経過をたどると言うことと考えます。ブレーキという名のアクセルです。このことは以前にも本ブログ「ブレーキという名のアクセル」(2016年3月29日)でも書きました。 今や自立的に単独政権を担える政党は日本には存在しません。むしろ、政党が分散していることを利用して政治が行われることが当たり前になっています。それは政権与党も同じです。むしろ、一つの勢力がいくつもの政党を支配しているという実態があるものと考えます。これは大変に問題がある状況です。いずれにせよ、国の政権運営にしろ、その反対にしろ、現状、すべては野合であるわけで、このことに関して批判できるとこはひとつもないでしょう。むしろ、そのような政治状況における広報戦略がどんなものになるかは良く考えるべきでしょう。 また、広報戦略と言えば、自らの欠点や失敗、汚点を隠すために、むしろ同じ論点で相手を攻撃するという広報戦略も今やあると考えます。よく安倍首相の言葉にこの要素を私は見いだしますが、これもありきたりな広報戦略です。ただ、実質は広報戦略というより、それ以下の子どもでもよくやることとも考えます。古典的と言えば古典的です。 現状、政権の発言をみていると野党批判の論点は実は自らの汚点隠しなのではないかと考えます。そのように考えると本質が見えると考えますが、このようなポイントに焦点を合わせ、選挙戦を見つめるとまた今までには気づかなかった政治の本質が見えるものと考えます。 | |
このブログへのチップ 0pts. [チップとは] [このブログのチップを見る] [チップをあげる] |
このブログの評価 ★★★★★ [このブログの評価を見る] [この記事を評価する] |
◆この記事へのコメント | |
コメントはありません。 | |
◆この記事へのトラックバック | |
トラックバックはありません。 トラックバックURL https://kuruten.jp/blog/tb/katagiri/355082 |