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世間的な勘違い
[日本の政治]
2024年10月21日 23時46分の記事

今回の衆院選挙戦で石破自民党の劣勢が伝えられていますが、先の自民党総裁選で、総裁に石破氏以外で有力候補者であった小泉(子)氏やタカイチが選ばれていたら、自民党は現状、もっと悲惨な状態になっていたことでしょう。その理由は、まず小泉(子)氏は能力不足。それ以上は言う必要はないでしょう。一方、タカイチはアベ政治の象徴である裏金政治家を全員公認し、アベ政治を強行する姿勢を鮮明にしていたでしょうから、現在の石破体制よりはるかに強い逆風に直面していたことでしょう。

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そういうタカイチの本質を示すように、以下の日刊ゲンダイでは、タカイチの自民の裏金政治家=アベ派政治家への応援行脚について報じられています。ただ、だからといって、そのタカイチの応援が『功を奏す』かは、普通に疑問でしょう。タカイチは自民党員の中ではそれなりの支持があるのかもしれませんが、それも石破さんと二分する程度。
それが、一般においてなら、タカイチのへの支持はほとんど期待できるレベルではないでしょう。ポイントはアベ政治について時代の要請はすでに終わっていることです。アベ政治への時代の要請があったとしても、それは2015年くらいに終わっています。その後は、モリカケ問題をはじめとして、アベ政治はウソと不正にまみれた。
であるのに、これからの時代にそういうものを引き合いに出しても、時代の波にはなれません。むしろ、大半の国民はそういうアベ政治にうんざりしている。だから、裏金政治家=アベ派政治家に甘いと思われてしまった石破新体制は、現状、苦しい立場に追い込まれているわけです。

・ 『高市早苗「自民裏金議員」応援行脚の狙い…永田町では「なぜわざわざ行くの?」と物議 』(2024年10月17日 日刊ゲンダイ)


また、今後、タカイチが『タカイチ派』をつくって、アベ政治の看板を掛け替えても、タカイチはいつまでも『アベ政治』ということから脱却できないでしょう。それは、結局、アベ政治の残党が過去の栄光の『我が世の春』の快感が抜けずに、夢を見ているにすぎないレベルであるからです。そして、そういう『快感』から自民党や国政を引っかき回すことはやることでしょう。そうやって終わっていく。その動きに時代の要請がなければ、それは波になることはない。


○ 石破新体制の支持率がさがっている原因は裏金政治=アベ政治への国民の批判
石破新政権の支持率がさがっているのは、裏金問題などアベ政治についての国民の批判が根強くあるからです。であるのに、以下の記事のように、その根本であるアベ政治の残党が、その石破体制の倒閣に動くというのですから、どこまで傲慢なのだろうとは普通に思います。
そして、こういう人たちが政治を行なっても、国民のためになる政治が行なわれることは200%ありません。これは断言しておきます。

・ 『首相の裏金議員対応に「選挙後、直ちに倒閣運動だ」 旧安倍派から怨嗟の声相次ぐ 』(2024年10月7日 西日本新聞)

・ 『「選挙が終わったら石破おろしだ」萩生田光一氏ら “非公認” 組が激昂「裏金議員」がたくらむ衆院選後の “倒閣” 運動 』(2024年10月9日 FLASH)


そういうアベ政治の残党の動きは、以下のハギュウダの選挙区でも顕著で、タカイチが応援し、さらにアベ昭恵氏がハギュウダの応援に入っていると以下の日刊ゲンダイの記事は伝えてます。まさにアベ政治が集結しています。

・ 『“裏金非公認”萩生田光一候補は「女性頼み」の選挙戦…高市早苗氏、昭恵夫人ら猛烈ヨイショ 』(2024年10月18日 日刊ゲンダイ)


○ 世間的にある勘違い
以下のスポニチの記事もアベ昭恵氏が裏金政治家の応援行脚を行なっていることを伝えています。無論、アベ政治の残党からしたらこれは当然のことでしょう。
しかし、この記事で面白いのは、このアベ昭恵氏の裏金政治家への応援行脚についてネットの反応です。以下のようにあります。



ネット上には、昭恵さんの“裏金議員”応援行脚に「安倍さんは裏金やめさせようとしてたのでは?なんで応援」「安倍派を応援するのは分かるけど、裏金を肯定するのはどうかと思う」「これじゃあ裏金応援隊じゃん」など疑問の声のほか、「仲間を応援する姿勢に頭が下がります」「政治家の妻の鏡」「亡き夫の仲間を応援する姿に頭が下がります」「仲間を応援するのは当然、頑張ってください」「これぞ政治家の妻」という声も上がっている。

・ 『安倍昭恵さん “裏金議員”応援行脚にネット「安倍さんは裏金やめさせようと…」「これぞ政治家の妻」 』(2024年10月20日 スポニチ)




この文の『など疑問の声のほか』以後はアベ応援団の擁護であるのは明らかですが、前半部分の『これじゃあ裏金応援隊じゃん』というのは当然でしょう。ですので、アベ応援団も無論、裏金応援隊なのです。
さて、私が注目したのは『安倍さんは裏金やめさせようとしてたのでは?なんで応援』という反応です。
この反応には、実は世間的な勘違いがあると考えます。
そもそも、主にアベ派でなされた裏金問題とは、アベ派の政治資金パーティーで、派閥所属政治家がパーティー券を『ノルマ以上』に派閥に上納した分は、派閥がキックバックし、そのことを政治資金収支報告書に記載せず、公表しなかったことにあります。
問題なのはそういう不正が簡単にできてしまうことですが、このことによって、世間には公表されない裏の『政治資金』が生まれていたわけです。これは当然『裏金』です。その裏の政治資金が、どのように使われたかもはっきりしない。当然、裏金だから使途の確たる証拠もない。それは、その裏金が選挙買収などに使われている可能性があるということです。要するに公表されない時点から、裏から裏に流れるお金になっているということです。そして、当然、その資金は税金の対象ではないものになっているわけです。要するに脱税の可能性。
裏金を使って選挙買収などの金権選挙をさせないために、政治資金収支報告書で国民に政治資金の動きを透明化させるということが、国民と民主主義政治への政治家の義務であるのです。民主主義国である日本ではそうなっている。
したがって、今回の裏金問題とは、国民と民主主義政治への裏切りですので、巨額の裏金をつくり出した政治家は、本来ならことが発覚したときに『辞職』しなければならない。
しかし、そうはならず、結局は『赤信号、みんなで渡ればこわくない』で、ここまで来てしまい、ほとんどは責任をとっていない。むしろ裏金政治家が『ひらきなおってしまっている』というのが現状でしょう。そして、言うまでもなく、そう言う人たちは、反省がないのでまた同じことをやる。


○ この裏金問題のもう一つのポイント
実は、このアベ派を舞台にした『裏金問題』には、ポイントがもうひとつあります。
それは何か?
それは、派閥の政治資金パーティーで所属政治家が集めたお金がノルマを超えた際は、そのノルマ超過分を派閥からその政治家に『還流、キックバック』させることをアベ氏が止めたことです。
だから、上記の『安倍さんは裏金やめさせようとしてたのでは?なんで応援』ということになるのです。
しかし、美談として言われているアベ氏が裏金を止めたということには、当然、世間の勘違いがあるのです。だから、アベ昭恵氏が裏金政治家の選挙の応援に駆け付けるのです。
アベ氏が、派閥からノルマ超過分をその政治家に『還流、キックバック』させることを止めたことの本質は、そうすることによって、ノルマ超過分もすべて派閥のお金になるということです。
そして、この裏金問題の最大のポイントである『派閥という装置において公開されないお金が簡単につくられる』という派閥の事務局の処理によって、そのキックバックしないノルマ超過分のお金も見えないお金にすれば、当然、アベ派には膨大な『裏金』が生まれるのです。
では、そのお金を誰が差配するか? それは言うまでもなく、誰あろう派閥の絶対的な『トップ』であるアベ氏本人なのです。
ですから、このアベ氏の派閥からノルマ超過分をその政治家に『還流、キックバック』させることを止めたという動きは、派閥所属政治家にはお金を戻さず、すべてを自分で差配しようとしたアベ氏のドケチな施策としか私には見えません。次の総理を狙う施策だったのではないかと考えます。派閥所属政治家にキックバックをやめるということは、単にアベ氏の利益になる方向のものと言うこと以外に私は考えられません。
ですから、アベ氏が射殺されてから、アベ派幹部による集団指導体制になった同派が、集団指導体制のうち『誰か一人』にアベ氏に集められていたお金を差配させることは許されませんから、キックバックを再開するのは当然の成り行きに過ぎないと、私はそう考えます。
そして、アベ派幹部による集団指導体制になった同派が、『裏金』としてキックバックを再開するということは、何を意味するのか?
それは、キックバックがなかったアベ体制のにおいて、派閥所属政治家のノルマ超過分の資金も、結局は『裏金』としてアベ氏の裏資金となっていたことを如実に示す、そう私は考えます。要するに裏金としてアベ氏に集中していた資金を、アベ氏亡き後は裏金として派閥所属政治家に戻したということと考えます。
派閥という装置においての会計処理では、裏金をつくり出すのは容易なのです。それが今回の裏金問題の主要因。
そういう、アベ氏がトップであったときの体制が、アベ氏の射殺によって、そのお金の扱いがポイントになった。そして、アベ派幹部による集団指導体制は、それまでアベ体制で派閥の裏金となっていた派閥所属政治家のノルマ超過分の資金を、各政治家に裏金のまま還流する決定をしたという、とてもわかりやすい動きに過ぎないと私は考えます。


○ アベ応援団による印象操作と考える
しかし、アベ氏は裏金を止めたという美談にしたジャーナリストが多数出てきて、一方でこのアベ氏の『美談』をジャーナリズムが何一つ批判しない状況になったのは、明らかにおかしい。だから『安倍さんは裏金やめさせようとしてたのでは?なんで応援』という反応になるのです。
そして、アベ応援団がこのアベ氏の美談を作り上げたのではないかと考えます。
以下の2つの記事は、元NHKの岩田明子のものですが、この記事に書かれていることでは、裏金は問題だから、アベ氏がキックバックの不記載をやめろと指示したということは言えないと考えます。岩田明子の強みであるアベ氏の『証言』がこのレベルなのであれば、今後、新たな証言はあり得ません。ですから、状況から考えれば、上述のようにアベ氏が派閥所属政治家に対してキックバックをやめさせたことの本質は、派閥所属政治家のノルマ超過分の資金を同派の裏金=アベ氏の裏資金にしたということである、ということと私は考えます。
この岩田明子の『証言』はアベ氏を擁護し、神格化する単なる印象操作と考えます。それも稚拙な。

・ 『安倍元首相は激怒、会計責任者に「ただちに直せ」自民パー券疑惑、岩田明子氏が緊急取材「裏金」は細田派時代の悪習だった 』(2023年12月12日 ZAKZAK)

・ 『岩田明子氏「安倍元総理はキックバック・不記載を知り叱責した」「松野官房長官は岸田総理に“早い対処”を進言していた。そこで膿を出し切っていれば展開違った」 』(2023年12月15日 ABEMA)


○ 石破新体制が行き詰まれば、国政は不安定化し、戦前への回帰のアベ政治が復活する――そして日本は終わる
このような日本のジャーナリズムのお寒い状況では、当たり前のようにまたアベ政治が復活します。そのことが、上記で取り上げた『“裏金非公認”萩生田光一候補は「女性頼み」の選挙戦…高市早苗氏、昭恵夫人ら猛烈ヨイショ 』(2024年10月18日 日刊ゲンダイ)にはっきりと出ていると考えます。
そういう状況において、正直に言えば、今の野党には、国民を無視する腐敗したアベ政治を浄化させることはできません。維新はアベ政治ととても密着していました。立民はあまりにも非力で、無能。その他の野党はあまりにも力がなさすぎる。
そう考えれば、アベ政治を完全ではないが浄化できるのは、自民党で野党であった石破新体制でしかないのです。であるのに、このまま石破新体制が撃沈し、一方でアベ政治の残党がもとに戻れば、当然、アベ政治の回帰がはじまります。そのとき、その動きを止めることができる勢力は日本にはありません。また、マスコミにテコ入れが入る。
つまり、石破新体制を倒すことは、すなわちアベ政治の復活を意味します。
そなると結局は、タカイチではアベ政治への不信が根強い状況を乗り切れないので、石破体制にしてかろうじて乗りきり、その後、石破新体制を破壊して、アベ政治の復活を果たすと言うことになります。もちろん、これは日本にとっては極めて大きな禍根になります。必ず日本を滅ぼすことになるでしょう。
現在の世界的に戦争の可能性が出ている中で、日本の政治が不安定になり、さらに戦前への回帰を志向する『アベ政治』が復活すれば、それはわが国にとって未曾有の最悪の状態となっていきます。社会を見渡すと、そういう危機感があまりにもないことには、私は心底、驚いています。
これまで私は、日本のために、アベ政治を批判し、野党擁護的なことを申し上げてきました。しかし、今は日本のために、そんなことはいっていられないと考えています。というより、実は今もそれは変わっていないのです。アベ政治を批判し、日本で最大の野党であった石破体制を擁護しているのです。それは何よりも、それが日本のためになると考えているからです。

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○ 『世界で最初に飢えるのは日本 食の安全保障をどう守るか』

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○ 『CIA日本が次の標的だ―ポスト冷戦の経済諜報戦』


◎ 拙著です

○ 『この国を縛り続ける金融・戦争・契約の正体』



内容は今まで見たことのない国際情勢と世界史の分析で、2024年の世界情勢の根本要因が書かれています。この本とザ・フナイの連載をトータルで読むと、ロシア・ウクライナ情勢、パレスチナ・イスラエル情勢及び中東情勢、東アジア情勢など現在の世界情勢の本質が見えてきます。もちろん、日本国内の情勢も見えてきます。内外情勢は決して別々ではない。
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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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