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即刻、オリンピック再延期を決定せよ 小田原評定を続けるな (3)
[日本の政治]
2021年7月11日 23時56分の記事

昨日の本ブログ「即刻、オリンピック再延期を決定せよ 小田原評定を続けるな (2)」(2021年7月10日)では、批判が殺到し撤回されたコロナ相の西村発言を取り上げました。その西村発言は休業要請に応じない飲食店に対して取り引き金融機関から働きかけるよう求めるものですが、実は他にも内閣官房と国税庁が酒の販売業者の組合に『酒類販売業者におかれては、飲食店が要請に応じていないことを把握した場合には、当該飲食店との酒類の取引を停止するようお願いします』という文書を出しています。国税庁には酒類販売免許の権限がありますから、ここまで来るとスガ自公政権が非常に悪質な強権政治を行っていることがわかります。さらに、このことのもう一つの側面は、スガ自公政権が、防疫対策に失敗して、コロナ感染状況とオリパラ強行開催について非常に焦りを感じていることを示していることです。だから、見境なくここまでやるわけです。

「国税庁も『取引停止』求める…西村大臣が発言撤回」(2021年7月9日 テレビ朝日)

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自公政権と同じ穴のムジナの都知事のバブルおばさん小池氏は、以下の記事で書かれているように、お決まりのように西村発言、自民党のフォローをし、助け船を出しています。非常にわかりやすい。

「小池知事『思いは私も同じ』…西村大臣の『金融機関から働きかけて』発言 飲食店の酒類提供巡り」(2021年7月9日 東京新聞)

以下のアエラの記事には、西村は兵庫県の「地元では傲慢で知られる」(7月11日 アエラ)と書かれていますが、この傲慢さはかなり有名な話しです。ただ、観ていると、同氏は目上の者にはそういう傲慢さはみせません。あくまでも下のものだけ。通常、こういう上しか見ずに、下の人を見下す人を『ヒラメ』と言いますが、ある意味、典型的な『ヒラメ』と考えます。だから以下の記事でも「上から目線」と書かれるわけです。

「菅官邸に失政の責任押し付けられ、大炎上した西村大臣 『上から目線』と地元でも批難ゴウゴウ」(2021年7月11日 アエラ)

いずれにせよ、コロナ相の西村発言や国税庁・内閣官房の文書は許されるものではありません。明らかな職権乱用、陰湿な強権政治。感染対策について、この1年半以上の期間にアベ・スガ自公政権は、感染防止のルールと法的根拠を交通ルールと同じように作るべきだったのです。これは補償も含みますが、そういうことを一切やらずに、むしろ感染対策を緩める方向でずっとやってきたわけです。その典型がGOTOトラベル・イートなどですが、そういう感染対策と反対の方向のことを次から次へとやってきたアベ・スガ自公政権のツケが、今、はっきりと出ているのです。
そして、政権がものすごく焦っている。まさに甘い見通しと、デタラメなシナリオと説明で国民を欺き続けたツケが、政権にブーメランとして戻ってきて、自滅しているに過ぎないのです。自業自得。
ただ、飲食店などが、感染防止という社会的な責任を果たさなくて良いと言うことではありません。感染者を出してはいけないということが要求されていることは常に変わりません。

自公政権の防疫の失敗が現状の核心的な本質
現状のような感染状況になるのは、政権の防疫対策の怠慢と失敗に本質的な原因があるのです。昨日も書きましたが、アベ・スガ自公政権でPCR検査の社会的検査と隔離政策を行っていたら、中国・台湾のように感染状況を非常に低く抑えることができ、社会の安定と経済回復基調が作れ、旅行業界、飲食店や酒類販売などは現状ほど大変なことにはなっていなかったでしょう。
しかし、アベ・スガ自公政権はあーだこーだ言いながら、その決め手を全くやろうともしなかった。そして、そのツケが今になって政権を追い詰め、焦らせていて、その上、上述のようなトンデモナイ強権的なことをし始めるということになっているわけです。


新型コロナウイルスに対する対策は、3つしかありません。効果がある順に言うと、まずはワクチン。日本は小泉・竹中新自由主義路線から、ワクチンの自力開発・製造の能力を海外企業に明け渡し、まったくの自立性を失いましたが、いずれにせよ、このワクチンは新型コロナウイルス対策でもっとも効果的なものです。自立的な開発・製造能力があれば、ワクチンの普及は恐らく5ヶ月くらいは早かったと考えます。これはこの20年間の新自由主義・自公政権の明らかな失政のツケです。
2番目がPCR検査の社会的検査と隔離です。中国・台湾で行いコロナ禍の世界において唯一と言える経済成長を果たしています。ワクチンがないときは、このやり方が最も有効で、ワクチン開発後もワクチンと併用することによって、変異種の可能性を減らすことができ、終息傾向をつくり出すことができると考えます。今後も実はこのPCR検査の社会的検査と隔離は非常に重要と考えます。

「『なぜ台湾は成功したのか』 コロナ対策で日本との違いは」(2020年9月20日 共同通信)

3つ目は、緊急事態宣言などの行動制限です。1番目と2番目の方策のコンビネーションとこのやり方をミックスするしか方法はありません。これまでこれらのことについては、ずっと指摘してきました。
日本の場合、この3つ目の緊急事態宣言などの行動制限だけをずっとやってきて、しかし、なぜか新型コロナウイルスが終息していないのにそれを解除してしまうのです。その結果、どんどん感染が広がってしまって現状のように収拾がつかなくなっているわけです。まさに、アベ・スガ自公政権は何を考えているわけがわからないのですが、その上にGOTOトラベル・イートをやったわけです。今になって破綻するのは当たり前なのです。

緊急事態宣言時のオリンピック これで安心安全な大会は完全に崩れた
今回の緊急事態宣言の発令で、名実ともに安心安全なオリンピック大会ということは完全に崩れました。まさにパンデミックの状態でオリンピックを強行開催するというとんでもないことになったわけです。再延期ができるのに、そうしなかったわけです。そうしようともしなかった。
本日の午後6時からのNHK『ニュース 地球まるわかり』で、アフガニスタンの水泳パラリンピック選手の特集をしていました。彼のこれまでの歩み、想いを見るにつけ、心動かされるのですが、一方でどうしてこのような選手を安心・安全な大会でやらせてあげないのかと心から思いました。強行開催されるオリパラは、緊急事態宣言時に行われる、もはや安心安全な大会ではないのです。どうして、日本人は、このように一生懸命に生きる選手に、安心安全な大会を用意してあげようとしないのか? 日本人の軽薄さ、冷酷さを非常に感じます。
なぜ、選手のために日本人は再延期を叫ばないのか? 再延期ができない理由は何一つないのです。唯一ある理由はアベ・スガ自公政権でその交渉をしてこなかったというだけなのです。まさにこの再延期に日本人の真価が問われています。

(つづく)



最終編集日時:2021年7月15日 23時29分

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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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