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核兵器禁止を訴えて将来の核兵器保有を正当化する
[日本の政治]
2023年5月28日 8時38分の記事

以下の共同通信の記事では、キシダが9月の国連総会で兵器用核禁止へ友好国会合開催の調整に入ったと報じられています。これは明らかに将来の核兵器保有を正当化するための布石と考えます。その根拠は何か?

・ 『兵器用核禁止へ友好国会合 首相、9月国連総会で調整 』(2023年9月27日 共同通信)

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それはとても簡単で、この記事の以下の部分にあります。


核兵器用の高純度プルトニウムを生成できる高速増殖炉を建設中の中国の動向を警戒。核開発競争を誘発しかねないとの懸念を示し、核軍縮の重要性を訴える狙いだ。




キシダのロジックは、中国が高速増殖炉を建設中で、このことが核開発競争を誘発しかねないから、兵器用核禁止へ友好国会合開催の調整に入ったということなわけです。しかし、これは、将来的に中国が高速増殖炉を建設したときに、中国が核開発競争を誘発したから日本も核保有しますと変質するための前段階に過ぎないのです。
そもそも、この記事で言われている『核開発競争』とは中国とどこの国のことを言っているのでしょうか? 当然、キシダは日本の首相ですから日中間のことでしょう。それなら、中国が高速増殖炉を建設すれば、日本はそれに対抗して核保有をすると宣言するでしょう。それがキシダのロジックに過ぎません。実際、日本も高速増殖炉『常陽』の再稼働に動いているのですから、普通に『核開発競争』に入っているのではないでしょうか?
もしこの記事で、兵器用核禁止へ友好国会合開催の理由として『中国の高速増殖炉建設と核開発競争』ということが言われておらず、純粋に『兵器用核禁止へ友好国会合開催の調整』ということが言われていたら、将来の日本の核保有ということを私は言いません。
しかし、この記事にあるようにキシダが中国ということを持ち出したことは、単に中国をだしに使って将来の核保有を正当化するための布石に過ぎないのです。ですので、このようなロジックを織り込んで、本ブログ『日本は核兵器保有に明らかに動いている――被爆地を愚弄したキシダの欺瞞 』(2023年5月24日)では、『中国はすでに核兵器保有国ですから、その中国が高速増殖炉をつくることに対抗して日本が核兵器保有に走るという論理は通用しません』と書いておいたのです。
であるのに、その予測通りのロジックを使うというのも、何ともわかりやすい限りです。
日本の核兵器保有についてはザ・フナイ2018年9月号では以下のように書きました。


日本のプルトニウム保有は、内外に四十七トン、核弾頭にすると上記東京新聞の記事で五〇〇〇発分以上、日経の記事では約六〇〇〇発分であるわけです。




すでに5年も前に日本の新聞ですら日本のプルトニウム保有は核弾頭にして5000〜6000発分と報じているのです。この数字の意味はというと、単純に比較できない部分はありますが、『Estimated Global Nuclear Warhead Inventories, 2022 』によると、2022年の各国の核兵器保有数はロシア 5977、米国 5428、中国 350、フランス 290、イギリス 225、パキスタン 165、インド 160、北朝鮮 20なのです。
日本は5000〜6000発分ですから、それはキッシンジャーが5年後に日本が核兵器大国になると言いますよ(このことは5月24日の本ブログで取り上げました)。むしろ、この日本の核のお話しはこのザ・フナイ2018年9月号で取り上げたように、その当時から明白な世界の不安材料なのです。ですから、『核開発競争を誘発』しているのは、すでに中国と言うより日本の方なのです。
日本の大量核兵器保有は言ってみれば世界の常識で、日本国民はその常識を知らない、もしくは知らされていないだけなのです。だから、現在、平気な顔して狂ったように非常識な危ない方向にばかり動くのです。このツケは将来本当に恐ろしいほど大きいですよ。

・ 『Henry Kissinger explains how to avoid world war three 』(2023年5月17日 Economist)

・ 本ブログ『日本は核兵器保有に明らかに動いている――被爆地を愚弄したキシダの欺瞞 』(2023年5月24日)


話しを上記の共同通信の記事にもどしますと、記事には以下のようにあります。


先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)で核保有国の米英仏を含め「核兵器のない世界」実現への関与を確認したことを受け、首相の核軍縮外交の具体的な一歩と位置付けたい考えだ。原爆の惨禍を訴えたサミットの成果を継続し、逆風下の核軍縮機運を高められるかどうかが問われる。




しかし、広島G7戦争サミットでの核兵器についての実相は、核廃絶を訴えるサーロー節子さんに核抑止として自国の核兵器は許し、対立する国の核兵器を非難するのは許されないと批判されているのです。5月24日のブログに以下のように書きました。


サーローさんは『自国の核兵器は許し対立する国の核兵器を非難するのは許されない』と実際述べています。つまり、G7戦争サミットでは、そこに参加した国の核兵器保有は問題ないといって、一方でロシアや中国の核兵器は許さないといっていたのです。これがこのG7戦争サミットやキシダの本質なのです。これでは話にならないし、ロシア・中国が承服するはずもなく、逆に不信感は増すだけで、G7と日本(キシダ)が世界を戦争に追い込んでいるにすぎないのです。したがって、この人たちから出てくる『平和』はまったく実がないものなのです。




要するに『逆風下の核軍縮機運』の元凶は『お前だろキシダ』と言うことでしかないのです。
サーロー節子さんなどにキシダの欺瞞が非難されて、それでも将来の日本の核兵器保有実現のために、9月の国連総会で兵器用核禁止へ友好国会合開催の調整に入ったということと考えます。



最終編集日時:2023年5月28日 20時43分

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1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
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