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パレスチナ・イスラエル情勢についていかに考えるか その17
[日本の政治]
2023年11月7日 19時20分の記事

本ブログ『パレスチナ・イスラエル情勢についていかに考えるか その16』(2023年11月5日)の続きです。

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以下の11月6日のCNNでは、ローマ法王フランシスコが『パレスチナとイスラエルでの深刻な状況における武器の使用をやめてください』というメッセージをX(旧ツィッター)で出していることを報じています。記事は以下のように短いものです。


ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇は5日、イスラエルとパレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスとの戦いで、神の名において、停戦するよう「懇願」した。
フランシスコ教皇はX(旧ツイッター)への投稿で、「私は、多くの多くの人々が命を落としたパレスチナとイスラエルの深刻な状況について考え続けています。神の名において、お願いだからやめてください。武器の使用をやめてください」と述べた。
フランシスコ教皇は、紛争の激化が必ず回避されるような道が追求されることを願うとも言い添えた。

・ 『ローマ教皇、イスラエルとハマスの紛争で停戦を「懇願」 』(2023年11月6日 CNN)




このCNNの記事では『イスラエルとパレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスとの戦い』と表現してますが、法王フランシスコは『パレスチナとイスラエルの深刻な状況』と表現しています。明らかにCNNの表現は正確ではありません。
実際、イスラエルは、『ハマスを攻撃する』と言って強力で圧倒的な軍事力をもってパレスチナの民間人を無差別に攻撃し、なぶり殺しにしています。こういう現実を『イスラエルとパレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスとの戦い』という表現は歪曲し、人々に現実を見えなくさせています。そして、法王フランシスコはそのような表現は使っていません。
法王フランシスコはX(旧ツィッター)で以下のようにメッセージを出しています。


I continue to think about the serious situation in Palestine and in Israel where many, many people have lost their lives. In God’s name, I beg you to stop: cease using weapons! I hope that avenues will be pursued so that an escalation of the conflict might be absolutely avoided.
(2023年11月5日)

私は、パレスチナとイスラエルで多くの人々が命を落としている深刻な状況について考え続けています。神の名において、どうか武器の使用をやめてください! 紛争の激化が絶対に回避されるよう、あらゆる手段が追求されることを望みます。

飜訳は『DeepL』による




法王フランシスコがパレスチナとイスラエルの和平を積極的に進めていることを、ザ・フナイでの連載第一回目(2015年10月号)から書いています。同誌2016年1月号では以下のように書きました。


これまで、法王フランシスコは、キリスト教他宗派や他宗教との対話を積極的に行ってきました。昨年の六月八日、法王はイスラエルとパレスチナの和平交渉を仲介するため、バチカンにパレスチナ自治政府のアッバス議長とイスラエルのペレス大統領を招き共に平和への祈りをささげています。このような紛争当事国の指導者の会談がバチカンで行われるのは初めてのことです。このパレスチナ問題も、第二次世界大戦後の世界における対立構図の一つですが、その調停にバチカンが動いたということです。そして、それから一年後の今年六月二十六日、バチカンはパレスチナ自治政府と正式な国家承認を含む包括協定に調印しています。米国やイスラエルはパレスチナを国家として認めていませんし、イスラエルはこの調印に反発していますが、昨年の和平交渉仲介から状況は一歩一歩変化しているのです。(ザ・フナイ2016年1月号 93頁)




バチカンはパレスチナを国家として承認しています。
日本は承認していませんが、2016年2月、上皇陛下(当時の天皇陛下)は訪日したアッバース・パレスチナ大統領と会見をされています。また、2019年10月22日に行なわれた今上陛下の即位礼正殿の儀に、アッバース・パレスチナ大統領は招かれ、参列されています。

・ 『アッバース・パレスチナ大統領の訪日 』(2016年2月8日 外務省)

・ 『陛下、アッバス議長と会見 中東和平「多くの人願う」 』(2016年2月15日 千葉日報)

・ 『天皇陛下 アッバス議長と面会…中東和平「世界の人願う」 』(2016年2月15日 毎日新聞)


ザ・フナイの連載第一回目(2015年10月号)では法王フランシスコとパレスチナ・イスラエルについて以下のように書きました。ちょっと長いですが、法王フランシスコは包括的に世界平和の実現の推進を行なってきましたので、パレスチナ・イスラエル関係以外のことも一緒に載せておきます。


今年に入り米国とキューバとの和解が一気に進みましたが、このことをお膳立てしたのも法王フランシスコと報道されています(2014年12月18日 AFP)。2014年6月には、イスラエルのペレス大統領とパレスチナ自治政府のアッバス議長をバチカンに招き、中東和平を願う「祈りの会」を行っています。その他、中東、アジア、南米を精力的に訪問し、多くの場合、紛争の火種となる所に足を運んでいます。昨年8月には韓国やフィリピンを訪問しています。
私はこの3年ほど、バチカンの動き、特に2013 年3月にローマ法王になった法王フランシスコの動きを注視してきましたが、その動きは国際情勢や地政学的情勢に対して極めて高度に、そして的確に働きかけ、平和の流れを作り出しています。そこには超一級のインテリジェンスがあり、実際に紛争の火種を消し、平和を作り出しています。その動きの中で、法王フランシスコは2013年11月26日に「グローバル資本主義への攻撃に着手するよう呼び掛け」(2013年11月27日「ウォール・ストリート・ジャーナル」日本語版)、また2014年9月には紛争が頻発する世界情勢を「第三次大戦という人もいるだろう」と表現し懸念を表明しています。さらに、「ローマ法王、スキャンダルまみれのバチカン銀行に大ナタ」(2014年7月10日「フィナンシャル・タイムズ」 )とお金の問題について大きな改革を行っています。現在の世界において法王フランシスコ、バチカンの動きは極めて重要なファクターとなっています。(ザ・フナイ2015年10月号 146頁)




2013年に法王フランシスコが即位していなかったら世界は大変な事になっていたと常に思っています。そして、それと同じことは上皇陛下の御存在についても思っています。
実は上記の文の直前には、以下のように書いています。


2013年9月、シリアが大きく揺れました。米国とイスラエルがシリアに対して軍事介入をする姿勢を取り、ロシアと中国がそれに反対をし、イランは米国などの軍事介入が開始されれば、イスラエルへ報復措置をし、中東が大混乱になると米国へ警告しています。もし、この時、米国とイスラエルがシリアに対して攻撃を開始していたら、正に米ロを巻き込んだ中東大戦争へと発展するのは必至でした。そのような中で2013年9月26日にロシアのサンクトペテルブルクで開催された20カ国・地域首脳会議(G20)の会議中に、平和を呼びかけるローマ法王フランシスコの書簡が読み上げられ、この書簡が米国の検討していた対シリア空爆回避に寄与したと報道されています(2014年6月9日 時事通信)。(ザ・フナイ2015年10月号 145ー6頁)




このとき、シリア危機がエスカレートしなかったのは、この法王フランシスコの平和の書簡と、ロシアの黒海艦隊がポイントなるのです(黒海艦隊については本ブログ『パレスチナ・イスラエル情勢についていかに考えるか その7 』(2023年)で書きました)。そして、米国(オバマ政権、バイデンはウクライナ担当の副大統領)とイスラエルの動きが止まったわけです。
しかし、この時のことが、その後のウクライナのヤヌコビッチ親露政権転覆(2014年2月)とロシア・ウクライナ情勢に繋がっていくのです。英米とイスラエルにとっての障害をとりのくためです。本ページ右のオリバー・ストーンの映画『ウクライナ・オン・ファイアー』は、現在のバイデン政権で国務次官をしているヌーランドとこのウクライナでの政権転覆劇との関わりを言っているのです。
その障害とは黒海艦隊ですが、ロシア・ウクライナ情勢は中東情勢・中東大戦(第三次世界大戦)に直結する問題なのです。そして、このために、ドイツのメルケル首相などによってなされたミンスク2合意(2015年2月11日)があるのです。この合意では英米が外されましたが(当然)、そこには2013年9月のシリア危機における中東大戦(第三次世界大戦)にロシア・ウクライナ情勢が直結しているという『ひとつの戦争』という認識があるのです。だからこその『ミンスク合意』。
そして、だからこそこの合意締結直後にこの合意をリードしたメルケルの行動について、ザ・フナイ2017年12月号では以下のように書きました。尚、以下の文の冒頭の『二〇一四年』というのは間違いで『二〇一五年』です。


二〇一四年のミンスク合意締結直後、メルケル首相はバチカンに赴き、法王フランシスコに謁見し、その後すぐに来日し、天皇陛下に謁見しています。当時、ドイツではメルケル首相訪日のハイライトは天皇陛下に謁見することであると報じられています(二〇一五年三月九日 ドイチェ・ヴェレ〔DW〕)。(ザ・フナイ2017年12月号 132頁)




すべては中東大戦を含めた第三次世界大戦の抑止にポイントがあります(第三次世界大戦が起こされる理由もちゃんとあります)。その起点が2013年9月のシリア危機なのです。そして、現在はこの2013年9月のシリア危機とまったく同じ状況になっているのです。2013年のシリア危機からロシア・ウクライナ情勢に至って、ロシアの黒海艦隊が動けなくなって現在に至るのです。ですので、現状は第三次世界大戦の危険性が極めて高まっています。
このような中、法王フランシスコはイラン、パレスチナなどとの対話を行ない、また平和のメッセージを出しています。12月にはドバイに訪問するとあります。


・ 『教皇、イラン大統領と電話で会談 』(2023年11月6日 バチカン・ニュース)

・ 『教皇「子どもたちの未来を奪わないように」中東や他の紛争地域に 』(2023年11月5日 バチカン・ニュース)

・ 『教皇、パレスチナのアッバス大統領と電話会談 』(2023年11月3日 バチカン・ニュース)

・ 『教皇、12月にドバイ訪問、COP28を機会に 』(2023年11月3日 バチカン・ニュース)


(つづく)

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内容は今まで見たことのない国際情勢と世界史の分析で、2024年の世界情勢の根本要因が書かれています。この本とザ・フナイの連載をトータルで読むと、ロシア・ウクライナ情勢、パレスチナ・イスラエル情勢及び中東情勢、東アジア情勢など現在の世界情勢の本質が見えてきます。もちろん、日本国内の情勢も見えてきます。内外情勢は決して別々ではない。
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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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