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日本に反論の余地はない
[日本の政治]
2017年2月2日 14時32分の記事

トランプ米大統領が日本の為替政策を批判し、そのことに対して菅官房長官が反論、安倍首相も反論すると報道されています。しかし、その反論が妥当なものなのか非常に疑問です。なぜなら、安倍政権の国内政策とこの為替政策批判への反論が矛盾するからです。

「菅官房長官、為替政策批判『全く当たらない』」(2017年1月31日 TBS News i)

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本ブログ「資本の論理」(2017年2月1日)で申し上げたように、これまで安倍政権で行われてきた労働環境の悪化させる方策や税負担・社会保障費負担の増加が、国民の可処分所得を明らかに低下させ経済・景気が上向かない構造を、安倍政権はこれまで作り上げてきています。さらに今国会で安倍政権が法案提出している「働き方改革」で明らかな労働環境の悪化(賃金の抑制など)行えば明らかに事態は深刻化します。簡単に言えば一般庶民が困窮する政策をしていて、その上、金融緩和などでインフレ政策をしているのですから、国民の可処分所得は減り、必然、消費は低迷します。そうなれば当然、景気は上向くことはなく、経済は活性化しません。それでは企業活動は立ちゆかなくなるという構造を安倍政権は作り上げ、その結果が既に消費低迷という形で出ています。国内政策は失敗しています。

「消費支出、10か月連続で前年比マイナス」(2017年1月31日 読売新聞)

日本はGDPに占める輸出依存度が10%台前半と低い国です。米国も低いのですが、一方で韓国は40%台、ドイツは30%台となっていて、日本は米国とともに明らかに内需主導国なのです。したがって、内需を活性化させる経済政策が日本の場合、最優先されなければならないのは当然です。そういう意味で、内需活性化のために積極財政策や金融緩和政策が行われるのは当然、正しい政策になります。トランプ氏の今回の為替政策批判に対して菅官房長官がこれらの政策が国内的な視点で行われているというのは正しい反論なのです。

「菅官房長官、為替政策批判『全く当たらない』」(2017年1月31日 TBS News i)

しからばなぜ、上述したように内需を不活性化させる政策が行われるのかという疑問が、必然的に持ち上がります。これは明らかに矛盾していますし、これまで4年間、ずっとこのことを私は批判してきました。このように矛盾した政策をすれば結果はでないのは明らかですし、この国内的に見れば失敗を引き起こす政策を安倍政権はずっと行い続けているのです。菅官房長官の反論は一見正しく見えて、実は何もわかっていないか、内需以外の主眼がその金融緩和政策などにあることを如実に物語っているのです。それが論理的な帰結です。実際、この4年間、その矛盾した政策をし続けていて、結果が出ていないのですから、他に眼目がなければ普通はこのような矛盾は起こりえないことなのです。

したがって、この矛盾と今国会で問題になっている『働き方改革』は全く無関係なものではないのです。1月31日、参議院予算委員会で共産党の田村智子議員が安倍政権の労働政策の問題点をあぶり出す良い質問をしています。

「論戦ハイライト 安倍『働き方改革』 正体見えた 参院予算委 田村副委員長の質問 」(2017年1月31日 しんぶん赤旗)

私は共産党支持者でも共産主義者でもありませんが、やはりこの質問は評価せざるを得ません。この質問だけではなく、今回の国会で問題となっている内需振興を逆行させる『働き方改革』が、なぜ進められるかと言えば、そのメリットと考えられているものは、日本製品のコストを安くすることにしかありません。労働環境を悪くすることは内需にはデメリットですから、当然、それは外需、輸出に主眼が置かれているということになります。それ以外のポイントはありません。
このように考えると安倍政権は、これまで輸出振興のために、金融緩和をして円安誘導をして、一方で国民の労働環境を悪化させて人件費削減の政策をしているということになります。国民に無駄な犠牲を強いて輸出振興政策を進めているということです。安倍政権のポイントは外需を主眼としていますし、これまで異常なまでに外遊を重ね、トップセールスをアピールしてきています(ほとんど成果はありませんでしたが)。このような外需政策を内需主導国で行ってきているのですから、当然、失敗し、この矛盾と破綻が生じているのは既に明らかです。
つまり、トランプ大統領が批判しているポイントは全く正しく、日本が反論する余地はないのです。それは安倍政権のこれまでの政策をしっかりと見れば、特に外遊をみれば明らかです。今回の安倍首相訪米時に提案されると報道されている経済政策も、これまでと同様に日本企業の輸出振興策に過ぎません。これまで通りの政策を続けているにすぎないのです。

日本は内需主導国です。内需がしっかりとしているからこそ、そういう中で新しい産業が生まれ、経済が発展し、新しい可能性を生み出すことができます。輸出というのは産業の総合的な結びつきから生じるもので、一企業で果たすことができるものではなく、国内の総合力が生み出す果実によってのみ可能性が生まれます。即ち、国内基盤がしっかりしていなければ輸出での強みは維持できないということです。日本の輸出競争力を落としたければ日本の内需を破壊すれば良いという非常にわかりやすい構造なのですが、今の安倍政権の政策を踏襲すれば必ず日本の強みは消滅します。そして、自由貿易を標榜している安倍政権ですから、日本企業の強みが失われれば、必然的に内需が外資に浸食されることになります。そうなるとさらに内需は落ち込み、トランプ政権のように言う状況に直面します。

現状のように外需依存を目指して、一方で内需がガタガタになれば、外需を獲得するためには人件費抑制などの国民に犠牲を強いる消耗戦をすることになります。この消耗戦は確実に内需を破壊し、それは必然的に日本の輸出競争力を低下させます。実際、日本製品の競争力は落ち、日本企業の存在感は年々低下しています。それも安倍政権になってからそのことは顕著です。
日本製品が海外で売れてほしいと思いますし、日本製品が世界で評価されれば自分のことのように嬉しく思います。しかし、そのためには、日本人が我慢をすればよいのではなく、全くその逆なのです。今の構造は戦時中と同じで、日本企業(かつてなら日本軍)のために日本人は我慢を明らかにしいられています。Japanese Lastの政策なのですが、しかし、それはかつての大戦と同じく、滅びの道なのです。それが内需国である日本の意味なのです。

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1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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