飴と鞭で哲学・ビジョンがない政治 | |
[日本の政治] | |
2015年12月18日 23時55分の記事 | |
高齢者に対する政府・与党の政策で以下のように二つのことが報じられています。一つは高齢者の低所得年金受給者などへの「臨時給付金」3万円の支給と、もう一つは高齢者の高額な療養費の負担増というものです。安倍政権お得意の二つの相反する方向性の政策が混在する手法です。しかし、どちらかが本音なのです。 「高額療養費見直し検討 70歳以上の負担増へ 政府」(2015年12月16日 朝日新聞) 「3万円給付了承 ばらまき批判、幹部押し切る」(2015年12月17日 毎日新聞) 「高齢者に3万円給付金 自民内でも批判続出『高齢者優遇だ』」(2015年12月17日 朝日新聞)
本音というのは、もちろん高齢者の高額療養費カットです。3万円給付というのはあくまでも臨時給付なので、選挙前の今の施策としては当然あり得る政策ですし、このことを自民党内から「高齢者優遇」と批判の声が出ているのは、「批判」ではなく「おはやし」なのです。ポイントは政府・与党は「高齢者優遇」をしているというメッセージが伝われば良いわけです。加えて、「尻込みして沈黙の自民党」も、言うときは言うのですよというメッセージが伝わればなおOKということでしょう。私はそう考えます。 TPPで農業者は完全に切られたのに、さまざまな保護策を期間限定で行いますということと、上記の問題は全く同じ構図・発想です。つまり高齢者は完全に政府・与党によって切られるということと私は考えます。それは、新自由主義者の彼らにとって高齢者はコストばかりで役立たずだからでしょう。これは農業に関しても同じです。だから、「攻めの農業」などという空虚な言葉が出てきます。 しかし、このような高齢者の問題は、農業の問題と同じく実は国や社会全体の問題です。誰もが年をとります。高齢者が冷遇されている社会は、そこに身を置く将来の高齢者にさまざまなマイナスの影響を与えます。将来への絶望を感じさせるかもしれませんし、今から消費を控えようとするかもしれません。このように現在の高齢者だけの問題ではないのです。 為政者が政治の原理ではなく市場原理という経済の原理で考えるという全くとんちんかんな思考・発想なので、このようなことが当たり前のように生じます。そして、そこで生じるのが「切り捨て」なのです。政治は切り捨てをできません。それはそのようなことをすれば、さらに政治にマイナスが生じるからです。企業において、切り捨てればそれで終わりというレベルではないのです。政治の原理とは経済の原理とは全く違うのものなのです。しかし、現状、そのはきちがいが当たり前のように生じています。これは政治の貧困です。 選挙前に高齢者にお金を出しているというメッセージを出せば、選挙にはプラスになるでしょう。しかし、それにのってしまうと話が違うということがあると、上記の3つの記事は言っていますし、これまでの現政権を見ても、このようなことはよくあることと私は思います。そして、これらの記事を見ると、現政権の高齢者問題についてのビジョンや哲学を全く感じさせません。そこには無定見とともに、何か非常に焦っている政権の姿をとても感じます。 | |
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