資本の論理 | |
[日本の政治] | |
2017年2月1日 0時0分の記事 | |
『日刊ゲンダイ』が、今国会で安倍政権が提出する「残業時間上限法案」について「どこが“働き方改革”なのか」と批判し、非常に良い記事を書いています。 「どこが“働き方改革”なのか 「残業100時間OK」の異常法案 」(2017年1月31日 日刊ゲンダイ)
記事によると、現在、「労基法36条に基づいて労使が『36協定』を結び、さらに特別条項をつければ、事実上、24時間働かせてもOKとなっている」(同上)というように、年6回(半年)は時間外労働が制限なく延長できるということになっています。 このような現状において、「『働き方改革』を看板に掲げる安倍首相は、残業時間に上限を設ける法案を提出する予定だが、これがとんでもない基準なのだ」(同上)と同紙は以下のように問題点を指摘しています。 「年間で月平均60時間まで」としているが、繁忙期は「100時間」まで認め、さらに「2カ月連続80時間」もOKとしているのだ。(同上) 過労死ラインが月100時間なので、明らかに、労働者にとっては過酷な状態を法的に可能とさせるという状況になっているわけです。 しかし、輪をかけてすごいのは、安倍政権は現在、労働時間ではなく成果に対して賃金を払う「『脱時間給制度』、いわゆる『残業代ゼロ法案』も同時に成立させる方針」(同上)ということです。つまり、どんなに働いても『成果がないよ』と言われたら労働時間に見合った報酬は約束されないという労働環境を安倍政権は作ろうとしているということです。どんなに有名な企業にいようと、そうでなからろうと、一労働者は小さな存在ですから、個人でこのような国策の労働環境に挑んだら、むしり取られるだけむしられるという状況になります。しっかりと団結していかないと大変な時代になるということが、現政権によって明らかに行われています。 この上に移民をドンドン入れて今や100万人を突破、前年比19%増となっていますから賃金の下方硬直性はどんどん進行します。その上で税金が増え、オリンピックのようなもので地方税は上がり、社会保険料は上がっていくというだけで明らかに家計の可処分所得は減ります。さらにアベノミクスでインフレ政策をしているのですから、火に油を注ぐ状況で、はっきり言えば滅茶苦茶、信じられない愚策中の愚策が何の批判もなく進行しています。これで景気が良くなると考えること事態おかしいのは火を見るより明らかなことです。消費支出が10ヶ月連続で前年比マイナスを記録するのは必然、当たり前のことなのです。 もちろん、このような状況で、日本経済が成長することなどあり得ませんが、実際、東芝、NECと有名企業の収益は軒並み悪化、家電業界は既に昔の勢いはありません。これが安倍政権による『成長戦略』や骨太の何とかが行われてきた結果がなのです。日経平均が高止まりしていますが、公的資金で買い支えているだけで、実態など反映はしていません。そして、このような公的資金で買い支えたツケはまた国民に回されていくという明らかな負のスパイラルが既に生じていると考えます。だから税や社会保障費負担が増え、年金支給などが減っていると考えます。しかし、これもまだ序の口でしょう。それで、安倍政権は米国との交渉は上手くいかず、他も駄目。安倍政権である限り日本の将来は明るくなることはまずないでしょう。 「外国人労働者が初の100万人超え、前年比19%増−厚労省調査」(2017年1月31日 ブルームバーグ) 「消費支出、10か月連続で前年比マイナス」(2017年1月31日 読売新聞) 「年金と日銀 株に19兆円 本紙試算 公的資金で つり上げ」(2017年1月28日 しんぶん赤旗) このようになるのは、グローバル資本主義、資本の論理に対して手放しで疑うことを日本が知らないからで、またこのグローバル資本主義、資本の論理に安倍政権が則って政策を行っているからです。つまりこのポイントが安倍政権の本質と言うことです。彼は保守主義ではなく、グローバル資本主義者・新自由主義者なのです。 資本の論理と書いて、上記に赤旗のリンクをつければ共産主義者と思われてしまうかもしれませんが、私はそのようなことはありません。ただ、このままグローバル資本主義や新自由主義の政策を続ければ間違いなく社会は荒廃していくと言うことなのです。そして、いずれトランプ政権の米国のような反応をするようになります。トランプ政権の米国の本質は、グローバル資本主義や新自由主義で寛容さと余裕を失った米国の実態なのです。 難民や困った人々へ手をさしのべるのはすべきことだと思います。弱者への配慮、弱者の社会的包摂は社会の根幹となることです。このことを第一にしないと社会は成り立ちません。したがって、現状のトランプ政権への反対の機運は正しいものと考えます。しかし、立ち止まって難民をつくり出す構造・根源を考える必要が確実にあります。難民をつくり出しているのは戦争であり、軍事力を背景にした圧政です。それを根絶しない限り難民がなくなることはありません。そして、このような状況の原因は軍事産業であり、武器輸出のビジネスなのです。戦争の構造の根幹とはこのビジネス、資本の論理にあるのです。 安倍政権になり武器輸出を事実上解禁し、南スーダン問題では武器輸出の姿勢に対してオバマ前政権のパワー国連大使から批判されています。フィリピンのドゥテルテ大統領は安倍首相との会見でミサイル輸出を持ち出され、第三次世界大戦を見たくないので断ったと報じられました(日本政府は否定していますが)。 この武器輸出は150年以上前から世界中で行われているグローバル資本の最先端・最悪のビジネスです。まさに戦争や武器輸出は資本の論理でなされるものなのです。そして、特筆すべきは、このことは実に上述した働き方や移民問題と同根のお話しなのです。全てが資本の論理のなせる技なのです。その論理に一般の人の99%は、実は関係がないのです。関係があるとすれば、その論理の犠牲となるということなのです。 そういうことを今のマスコミは批判しているのかと思います。実際には、このことに加担しているのではないか、そう思います。正義の味方を気取って、本当は問題を悪化させているのではないかと思います。世界から平和を失わせ、人々の安寧な生活を失わせる装置にマスコミがなっているのではないかと自問すべきでしょう。少なくとも安倍政権はその装置になっています。自由貿易には、国際間で武器やそれに関わるものが自由にやり取りできるということも含まれるのです。そして、それが資本の論理なのです。このポイントにおいて安倍政権と日本のマスコミは非常に親和性が高いのです。 「Duterte: I rejected Japan missile offer 」(2017年1月17日 Philippine Star) | |
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