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明らかな緊急事態
[日本の政治]
2020年7月26日 23時27分の記事

以下の7月25日のスプートニクでは、韓国で新規確認感染者が100名を超し、この数字は4月以来と報じられています。韓国でも感染の再拡大かと思って記事を読むと、なんと国内感染者は27名で、残りの86名は海外での感染者数です。韓国国内での感染は極めて少ないのです。

「韓国 4月以来はじめて新型コロナ感染者が100人超に」(2020年7月25日 スプートニク)

「コロナウイルス感染症-19国内発生状況(7月25日の定例ブリーフィング)」(2020年7月25日 韓国中央防疫対策本部)



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上記の25日発表の韓国中央防疫本部の資料を見れば、国内感染の内、人口約970万人で東京よりも人口密度が高いソウルの一日の新規確認感染者は11名です。このレベルが防疫が成功しているといえるレベルです。本当にアベ政権・日本政府は話になりません。
鹿児島県与論島で発生したクラスターでは34人の感染が確認されています。人口約5000人の与論島だけで、人口約970万人のソウルでの一日の感染確認者数を上回っているわけです。
この与論島の数を東京の人口と単純に比べると、東京の人口は2800倍ですから、その数は単純に東京で言えば95、200人になるわけです。この数を観れば、与論島の医療が崩壊して島外に患者が運ばれたのは当たり前であるのがよくわかります。与論島の町長が「高齢者が多い人口5000人ほどの島でこれだけの感染者が出たことは、割合からみて非常に恐ろしく危機感を持っている」(7月24日 NHK)と述べているのは、本心からそのように言っているとこの東京都との人口比で観た数を考えればわかるでしょう。
与論島は明らかに緊急事態なのです。それで、アベ政権・日本政府は一体何をしているのでしょうか?
与論町長は同島への来島を控えてくださいと訴えていますが、この一件から、アベ政権・日本政府は日本の離島への渡航を中止させなくてはならないのは明らかでしょう。なぜ、そのようにしないのでしょうか? お金のことばかり考えて命を大切にしないまさに思考停止、脳死しているからと言ってしまえばそれまでですが、今後、与論島と同じことが起きれば、その責任はアベ政権・日本政府であるのは明らかです。
そして、何よりも、与論島と同じことが起きてからでは遅いのです。地方は人間関係が濃密で、なおかつ都市のように用心をしていないので、一度、感染が発生すると一気に広まるわけです。それでいて医療が脆弱なのですから、地方ほど状況は深刻になるのです。それがわかっていて、GOTOキャンペーンでどんどん都市の人間を地方にばら撒いているわけですから、地方の人々がモルモットのように見えて仕方がありません。本当にひどい政府です。人のやることではありません。
与論島のように、離島でクラスターが発生して医療が崩壊しているところにおいて、GOTOキャンペーンの旅行者が海の事故、山の事故、交通事故、容体が急変するなどの突発的な事態に遭遇しても、医療が崩壊しているので、適切な処置を受けられないということは十分に想定できることです。果たしてそのようになったらどうするのでしょうか? そして、そのクラスターが都市からのGOTOキャンペーンによる旅行者からもたらされたとなれば、とんでもない悲劇を政府がつくり出したということになるわけです。もちろん、これは旅行者だけの問題ではなく、島民の問題でもあるわけで、このような大変な事態が想定できることを、治療法が確立されていない感染症が蔓延するパンデミック時に、GOTOキャンペーンという観光促進を政府が公金を使って行うということは、明らかにとんでもなく気が狂っています。もちろん、これはアベ政権・日本政府の責任問題です。
また、現状、東京などの都市圏もすでに緊急事態宣言を発令すべき時期はとっくに過ぎています。すでに都市もアベ政権・日本政府によってモルモットにされています。

「与論島で新たに5人感染 島内で計34人に」(2020年7月26日 朝日新聞)

「鹿児島 与論島 人口5000人の島でクラスター 緊迫続く コロナ」(2020年7月24日 NHK)

まさに現状は、日本の政治が機能していないという、政治の緊急事態でもあるのです。
実際、アベ政権・日本政府は感染拡大防止と経済の両立ができていません。それは韓国と比較をすれば一目瞭然です。その防疫ができていないアベ政権・日本政府が、今後は経済の足も引っ張るのです。
そもそも感染拡大と経済を、両立という形で対立概念にしているからいけないのです。このような対立概念にすれば、経済優先という形で感染拡大防止ということが疎かになるわけです。その疎かになった感染拡大防止が、コロナ相の西村が経済との両立というたびにドンドン深刻化してきたわけで、そのことにアベ政権・日本政府がまったく気がついていないわけです。本当に頭が悪い。あんなのをコロナ相にしておくのがそもそも間違いで、経済再生もできないのは目に見えています。
感染拡大防止があって初めて経済が成り立つ。その逆はありません。そしてどちらが優先するかも、実は明々白々なのです。それは、経済問題はお金という明確な特効薬があります。だから、現在のような事態には、お金をドンドン分配するしかないのです。それも業界ではなく個人単位で。しかし、新型コロナウイルスには特効薬・治療法もワクチンもないわけです。要するに感染拡大を防ぐしか明確な解決策が今のところないわけです。それなら、感染拡大防止、防疫が最優先課題であるのは明白なのです。こんな簡単なことがどうしてわからないのか、本当に不思議でなりません。バカな政府です。

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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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