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キシダ総裁選不出馬
[日本の政治]
2024年8月14日 23時53分の記事

キシダが自民党総裁選不出馬を表明しました。


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キシダについては、散々書いてきましたが、基本的に賞賛すべきことがありません。なぜか? それは、キシダが、本質的に国民に寄り添うことをしない最悪の政治家だったからです。それも弱い者、苦しんでいる者に寄り添わない。そのようなことが、キシダが被災地になかなか行かない姿にはっきりと現われています。また、新型コロナウィルスに対しても同じで、キシダ政権で最も犠牲者が出ています。

このキシダの国民に寄り添わない姿勢は、8月5日の日経平均史上最大の大暴落となったと考えます。
この日、確かに世界的に株安にはなっています。そのような状況を『世界同時株安』と他人事のように書いているアホのような記事が散見されました。
しかし、日本時間8月6日午前0時50分頃の世界の株価を観ると、日経平均が12.4%落ちたのに比べて、ダウ、DAX、FTSEなどは総じて2%前後、シンガポール、マレーシア、インドネシアが4%前後、そして台湾と韓国が8%台となっています。
要するに世界同時株安ではなく、日本発の世界同時株安なのです。
その原因をつくったのが、ウエダ日銀の拙速な金利引き上げなどの金融引き締め政策です。
アベ政治で日本経済はバブル経済となったのです。それも国民の賃金をまったく上げようとせずに株価は4倍にもなる極悪非道の政策で、それをアベノバブル、アベのカジノミクスと呼びました。
しかし、そういうバブル経済になっているときに、拙速な金融引き締め政策をすれば、1980・90年代のバブルを破裂させた『総量規制』と同じになるので、とにかく長い時間をかけて状況に対処していかなければならないのです。そうしないと日本経済は甚大なダメージを受けますし、何よりも国民、特に弱い立場の国民が大きな苦しみを負うのです。平和と国民の安寧は破壊されてしまいます。
であるのに、拙速に日銀が政策金利引き上げなどの金融引き締め政策を行なったので、一気に大暴落になったわけです。私はずっと拙速な金融引き締め政策はすべきではないと書いてきました。
しかし、日銀ウエダは拙速にその金融引き締め政策を行なったわけです。そして、大暴落。以下の記事のように、その政策に対する連携をキシダは強調しているわけです。7月31日に。それから5日後に日経平均大暴落が生じたのです。まさにキシダの国民に寄り添わない姿勢が、この大暴落を引き起こしたのです。

・ 『【速報】日銀利上げで岸田首相が政府日銀の連携強調 成長型経済移行へ「機動的な政策運営を今後もやっていきたい」 』(2024年7月31日 FNN)


8月5日が世界同時株安なんていう論調は、単なるキシダ政権・日銀擁護の論調にすぎません。国民の安寧に軸足をもったものではない。
また、以下の記事は、立民の米山氏が8月5日の日経平均の大暴落は『日銀の利上げのせいとは考えづらく』と述べていることを伝えています。米山氏は『今迄がアベノミクスでバブル』と言っているので、その見解は正しいですが、日銀の金融引き締め政策をあまりにも過小評価しすぎています。

・ 『米山隆一氏 令和のブラックマンデーに「今迄がアベノミクスでバブル」「日銀の利上げのせいとは考えづらく」 』(2024年8月5日 よろず〜ニュース)


米山氏は大暴落について『日銀の利上げのせいだという方もいますが、僅か0・25%の利上げにその様な効果があるとは考えづらく』と述べていますが、しかし、そのわずかな0.25%が大きな影響を及ぼすのです。
実際、日銀は金利上昇だけではなく、国債買い入れ減額などと金融引き締め政策を矢継ぎ早に出しています。それでは、これまでバブルが膨らむ方向で来たのに、トレンドが変わるとなれば、売りが売りを呼ぶ。さらにそのことで追い込まれる人が出てくるので、恐慌となる。だから、史上最悪の下げ幅を記録するわけです。

・ 『日銀、国債の買い入れ減額の方針 金融正常化へ一歩 利上げは見送り 』(2024年6月14日 朝日新聞)


政治の世界ではたった『0・25%』が大きな影響を及ぼすのです。それも国民の生活に。そういうことへの配慮がないのは正直、政治家失格です。旧民主党政権で消費税を5%から10%へと100%増税するということは、はっきり言ってクレイジーなのです。
いずれにせよ、この米山氏の『日銀の利上げのせいとは考えづらく』にはとても恐ろしさを感じましたし、これでは政権担当能力は無いなと思い、とても落胆しました。
老子の言葉に『治大国者若烹小鮮』(大国を治むるは小鮮〔しょうせん〕を烹るがごとくす)というものがあります。この意味は『漢字ペディア』には以下のようにあります。


小魚は形が崩れやすいので、煮るときはかき回さないようにするが、大国を治める場合も、あまり人心をかき乱すようなことをせず、寛大な政治を行うほうがよいという教え。「小鮮」は小魚のこと。〈『老子』〉




この言葉のごとく、バブルになったら、それがはじけないように、拙速にかき回さないように長い時間をかけて対処しなければ国が崩れてしまうということなのです。そして、そうするのは国民のためのなのです。拙速な政治は国を乱し、国民の命を奪うのです。
この言葉は、先の大戦で終戦させるために命を削った鈴木貫太郎首相が好んで口ずさんでいたことです。だからこそ、先の大戦で日本は『一億総玉砕=全滅』となることなく、戦後の発展があり、今の私たちの存在となったのです。
この言葉は政治の基本です。
キシダにも日銀ウエダにも、また立民の米山氏にも、『若烹小鮮』(小鮮〔しょうせん〕を烹るがごとく)という国を治める基本をまったく感じません。それでは、史上最悪の大暴落は必然的に起きます。

以下のふたつのブルームバーグの記事には、大暴落と日銀の政策金利の関係が前提としてのことが書かれています。

・ 『日銀の政策正常化に早くも試練、市場急変動で追加利上げ観測が後退 伊藤純夫、野原良明 』(2024年8月6日 ブルームバーグ)

・ 『日銀ウオッチャーの利上げ見通し変わらず、市場が混乱でも−サーベイ 』(2024年8月7日 ブルームバーグ)


また、米国の元財務長官であるラリー・サマーズは、8月10日のブルームバーグの『サマーズ氏「がくぜん」、金融政策に大統領の発言権求める「愚か者」 』で、日銀ウエダを『初めて運転席に座るドライバー』と評し、以下のように述べています。


一方、日本銀行では金融政策正常化への道が市場の波乱によって険しさを増しているようだ。
  サマーズ氏は、特に新任のセントラルバンカーは初めて運転席に座るドライバーのように「ハンドルを切り過ぎる」傾向があると話す。日銀の場合は「あれほど長期にわたってゼロ金利政策を続けた後だから、もっと緩やかに政策をシフトできたのではないだろうか」と指摘。7日の内田真一副総裁によるコメントに言及し、「日銀は市場に対応している姿勢をあそこまできっぱりと見せる必要はなかった」とサマーズ氏は述べた。
  「オリンピックの言葉を借りれば、私なら日銀から『出来栄え点』を少し減点するだろう」とサマーズ氏は語った。




おわかりのとおり、ラリー・サマーズは、まさに『大国を治むるは小鮮〔しょうせん〕を烹るがごとくす』を言っているのです。まあ、当たり前のことを言っているにすぎません。日銀ウエダが当たり前でないだけなのです。
東欧系ユダヤ人のバックグラウンドを持ちLSE関係者のサマーズは、FRBの政策金利引き下げに慎重で、それには当然、意味があると考えます。そして、その意味は私がこれまで申し上げてきたことと考えます。そう言う意味で彼はその筋の人と解します。もちろん、彼が上記のように言うのは、そのために言っていると考えるのが自然です。
私がキシダや日銀ウエダの政策について、サマーズと同じように言ってきたのは、そうすることが平和と国民の安寧のためだからです。特に弱い立場の国民、弱い人々のためになると考えたからです。
日銀ウエダのように『初めて運転席に座るドライバー』のように力んでいきなり暴走する無能が、社会と国を一番に壊し、なによりも国民を不幸にするのです。


○ キシダ以外になってもキシダ以上なのかどうかは疑問
キシダは、自民党総裁選に出馬しないことを表明、自動的に9月以降の首相はキシダ以外になります。しかし、誰に変わっても、果たしてキシダ以上になるかどうかと言えば、現状ではそうではないと考えます。
キシダ以上というラインにいるのは、石破さんと林氏の2人だけでしょう。ただ、キシダと同等なのか、それともどれだけ上にいくのかは未知数です。加藤勝信氏はアベ政治の再来となるだけで、むしろ悪くなると考えます。そして、その他は論外。その論外の人たちが自民党総裁になったとしたら、自民党は確実に終焉するでしょう。
石破さんはとても頭がいい方なので、期待はします。それは昔、チャンネル桜に出たときに申し上げた通りです。
ただ、外交防衛政策については考えは異なります。また、石破さんの悪いところはマニアックすぎるところです。これは頭が良い人の弊害です。首相になるのなら、大いに平凡で大道を行くようにしなければならないと考えます。上述した『大国を治むるは小鮮〔しょうせん〕を烹るがごとくす』なのです。そうしないと必ず誤ることになります。
石破さんは平和と人々の安寧ために大いに平凡であるべきです。とにかくご自分の頭の良さをひけらかすのだけはやめるべきです。そういう欲求に駆られるでしょうが、首相になってそんなことをして、一体何の意味があるのでしょうか。為政者のトップとして平和と人々の安寧を実現することを成し遂げて、はじめて頭が良いと見なされるのです。頭が良いと言うことはわかる人にはわかるものです。わからない人はわかるはずもないのです。ですので、このポイントでそもそも考えるべきではないのです。

いずれにせよ、自民党はキシダ政権のベースにある『今井ファクター』を次の政権から排除する必要はあるでしょう。それはアベ政治との決別という意味もあるわけです。そうやってはじめて自民党は変わったと言うことになるのです。まあ、自民党が今後分裂する可能性は十分にありますが。


○ 立民は変わらなくて良いのか?
立民イズミは『総理辞めても自民党が変わったわけではない』と言っていますが、それはその通りです。ただ、問題はむしろ立民がこのままで良いのかということの方が、少なくとも立民にとっては大きな問題と考えます。キシダの総裁選不出馬でも自民党が変わらないで得をするのは、この発言をしたイズミ本人でしょう。立民がこのままの体たらくで済むからです。しかし、これ以上、日本の政治において、立民イズミの体たらくを許容することは許されないものと考えます。

・ 『【速報】立憲・泉代表「総理辞めても自民党が変わったわけではない」 岸田総理の自民党総裁選不出馬表明受け 』(2024年8月14日 TBS)


先の都知事選挙で、一番ダメージを受けたのは立民であると考えます。かなり致命的ではなかったかと考えます。このことついては立民に加えて、連合もですね。
この選挙では、蓮舫氏が出馬しました。同氏は立民を離党しましたが、旧民主党時代からの顔であり、立民の顔であったわけです。
しかし、結果、その人物の票が伸びずに、3位になってしまった。同氏と立民の人々にとっては、この結果は衝撃的であったと考えます。
このような結果になったのは、時代的ポイントがやはりあります。このことはまた解説しますが、簡単に言うと、やはり蓮舫氏が時代遅れであること、そして女性偏重の時代がようやく終わりつつあることなどです。付け足すと右翼の時代も終わります。このふたつはナルシシズムの時代において同根なのです。
いずれにせよ、蓮舫氏のこの結果は、立民、旧民主党系の議員のレベルはこの程度か、ということを明確に示してしまったのです。立民の議員は、たいしたことはないと、多くの人が思ってしまったのです。
そうなると、蓮舫氏が離党していても、蓮舫氏の衝撃的な結果は、立民を直撃するのです。立民とは所詮その程度かと皆思うわけです。立民が一気に色あせてしまったのです。キシダ自民党が支持率を失っているときに、自らつまずいてしまったわけです。
このことに、より一層の拍車をかけたのが、連合・ヨシノが蓮舫氏を支持せず、コイケ支持を表明したことです。これで、蓮舫氏は一気に落ちてしまったわけです。
そして、その蓮舫氏の凋落は、立民の凋落を招き、そのことは最終的に立民の支持母体である連合の凋落を招いていくのです。
連合傘下の党である国民民主はすでに風前のともしびです。以下の『アクセスジャーナルch 』では、国民民主の党首・玉木氏の実弟の問題をずっと取り上げています。玉木氏本人は本当に大丈夫なのでしょうか?

・ 『アクセスジャーナルch 』


すでに、連合の力が及ぶ立民と国民民主は、その勢いを完全に落としてしまっています。このような状態を先の都知事選での連合・ヨシノの判断が招いてしまったわけです。
それでは、そういう連合を自民が相手にするでしょうか? 自民は最終的には相手にしない。こんなことはわかりきっていることです。
したがって、蓮舫ショックは、連合の衰退を意味します。蓮舫ショックは立民、国民、連合の瓦解なのです。そういうことを無能な連合・ヨシノは自ら招きましたが、そのことを理解はできない。その程度のレベルなのです。 
もちろん、このような無能は、日本の労働者の立場を非常に悪くします。まさに国民の敵とも言えるレベルなのです。
これが、現在の立民を取り巻く環境であって、自民党が新総裁となって、この立民の置かれている状況を、無能なイズミが良い方向に変えることはできないでしょう。まさにキシダが本日の記者会見で、自民党についていったように、イズミを変えることが立民を変えることの第一歩となるのです。
9月に自民党が新首相を立てて、即、解散総選挙となれば、立民は今のイズミでは勝てないことは子どもでもわかることです。

キシダは北朝鮮との関係を模索してきましたが、総裁選不出馬を表明したということは、ここでそれが終わるのかもしれません。今後、日本が東側のウクライナとして戦争に巻きこまれる、もしくは戦場になることは想定すべきと考えます。そういう徴候が他にもあるように考えます。

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2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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