垣間見える深層はさらに複雑に | |
[日本の政治] | |
2017年2月21日 21時37分の記事 | |
昨日から今日にかけて、マレーシアで発生した金正男氏とみられる方の事件についての新たな情報が、いくつか出ています。ただ、依然、情報は錯綜の感があります。
まず、クアラルンプール国際空港の監視カメラが捉えた金正男氏とみられる方の映像がテレビで流されました。映像では金氏とみられる方の背後から逮捕された女性が金氏とみられる方の顔に手を当てていることがわかります。このことは本ブログ「日本の関与?」(2017年2月20日)で取り上げましたが、そこで取り上げたことと違和感がないものです。 ここが犯行場面と考えるのは自然ですが、死因も、また殺害されたとみられる方の本人確認も正式にはない状況では、犯行場面とは断定できないのが現状でしょう。テレビ報道で流されたこの監視カメラの映像では、金氏とみられる方の姿がずっと追われているわけではありません。途中が省略されているのか、それともカメラに死角があって映っていない部分があるのかは不明です。カメラに死角があった場合、『現状』ではこの犯行場面が決定的とはやはり言えません。 また、この監視カメラ映像を見ると金氏とみられる方にボディーガードがついていません。テレビで流された映像で、犯行場面と思われるシーンから空港の医療施設に行くまで一切、そのような存在は出てきません。空港のセキュリティだけです。 ただ、この事件が極めて早く報道され、その情報源が韓国当局ということから、韓国とは限りませんが、あの空港の雑踏の中に諜報関係の人(もしくは人々)がいてもおかしくはないと考えます。そう考えるのが、現状、自然でしょう。やはりあの中の誰かが見ていたというのが自然です。 もう一つのニュースは、金正男氏の息子がマレーシア入りして死体の確認をするという情報が出されました。ただ、現状、この情報は錯綜しています。 しかし、一方で、仮に金正男氏の息子が確認したとしても実際の所、これが決め手になるかどうかは疑問です。それは以下のようなニュースがあるからです。 「金正男氏を死に追いやった韓国誌『暴露スクープ』の中身」(2017年2月16日 ニューズウィーク日本版) この記事には2012年に金正男氏が亡命しようと韓国に打診をしていたということを韓国の有力週刊誌・週刊京郷が報じたというものです。そこに金正男氏との繋がりとして出てくるのは朴槿恵氏です。2012年に朴槿恵氏は大統領に当選するわけですが、その選挙の直前にこの亡命について暴露されたと、このニューズウィークの記事には書かれています。そして、記事は、金正男氏は欧米に亡命を希望したがかなわず、韓国側も亡命をあきらめたと続いていきます。 この記事から一つだけはっきりしているのは、韓国当局と金正男氏にはしっかりとしたコネクションがあると言うことです。亡命はしていないが、一時は身元を引き受けようと韓国当局は動いていたわけです。そして、韓国側のコネクションには朴槿恵大統領という名前が報道ベースであると言うことです。 ここでいくつかのことが浮上します。まず第一に、韓国当局の関係者(諜報員)が今回の事件でクアラルンプール国際空港にいてもおかしくはないということです。したがって、この事件の第一報を韓国当局が行うのは当然と言えます。そうなると、今回の事件において韓国当局は保護に失敗したか、見ていただけで手を出さなかったかということにもなります。そして逆に、空港にいたということは、この事件に関与していたという排除できない可能性(シナリオ)も当然、現状では考えられます。 また、これまで金正男氏は中国の保護を受けていたと言うことですから、韓国と金正男氏の関係が構築され、亡命の手配までしていたと言うことなら、当然、中国と韓国のこの件に関するコネクションもあると言うことです。 そして、3つ目は、このような金正男氏と韓国とのコネクションがはっきりとあるとなると、金正男氏の息子が遺体の確認をしても、その証言は、本人確認としては説得力を失う可能性があるということです。 こういう状況では、殺害の実行が仮に北朝鮮としてもおびき出されたというシナリオも可能性としては出てきます。上記のニューズウィークで紹介されたスクープ記事は事件の二日前の11日に出されています。 または、殺害されたとされる方の身元がはっきりしない現状では、今回の事件が偽装の可能性も当然、考えるべきシナリオにあります。 これらはあくまでも現状でのものですが、そういうシナリオも現在の東アジアの国際情勢においては当然、考慮すべき状況であるのは間違いないと考えます。現状、実際に垣間見える深層は非常に複雑と考えます。 「垣間見える深層はさらに複雑に?」(2017年2月22日)へ続く。 | |
このブログへのチップ 0pts. [チップとは] [このブログのチップを見る] [チップをあげる] |
このブログの評価 ★★★★★ [このブログの評価を見る] [この記事を評価する] |
◆この記事へのコメント | |
コメントはありません。 | |
◆この記事へのトラックバック | |
トラックバックはありません。 トラックバックURL https://kuruten.jp/blog/tb/katagiri/376164 |