選挙の年だけの施策や発言にはご用心 | |
[日本の政治] | |
2016年1月8日 23時56分の記事 | |
国会論戦がスタートしていますが、低所得高齢者へ1人あたり一律3万円を臨時給付する平成27年度補正予算案に対する「バラマキ」との批判に、安倍首相は「1回限りの措置だ。バラマキとの批判は全く当たらない」(2016年1月7日 産経新聞)と反論したと報じられています。しかし、これは反論ではなく認めてしまったのではないかと思います。 「衆院代表質問 『3万円給付』で応酬 国会論戦スタート」(2016年1月7日 産経新聞)
今年は選挙の年ですから、その年において一回限りの給付金というのは、選挙目当てのバラマキであるのは明らかでしょう。低所得の高齢者へ給付金を出すことは悪いこととは思いません。しかし、なぜそれが1回限りなのかは全く理解に苦しむところです。この給付は来年の消費税増税に絡んでのことでしょうが、消費税増税は2017年度だけの話なのでしょうか。そうではないでしょうから、それならずっとつづける必要があるものというのが当然の帰結でしょう。そして、この消費税の影響は極めて大きいことは本ブログで何度も申し上げてきました。消費税を上げなければ日本経済の信用は得られないという理屈が語られていますが、米経済学者のクルーグマンに言わせれば消費税を10%にすれば日本経済は終わります。このような状況は信用を得る、得ないという問題以前のことであると考えます。消費税増税論者は本当に現実感がないなと思います。 「消費税について考える」(2015年11月22日) 「『消費税』関連の記事」 1回限りの給付金に哲学や政策的な前向きな意図があるとは考えられません。選挙の年においてこのようなものが出てくること自体が、選挙を意識した政策と判断します。 給与アップも1年限り? この給付金と同じように選挙イヤーの今年だけではないかと考えるのが、財界や日銀総裁が声高に言う給与のアップです。このことは安倍首相が財界などに働きかけたことではじまり、それは良いことと考えます。しかし、昨日に本ブログで指摘したとおり、今年の首相の年頭所感ではこの給与アップという文字は見当たりません。非常に重要なことであるのにそれがないのは、恐らく本質は昨年限りのことなのだろうと考えます。もちろん、政治においては給与のアップなど国民の可処分所得を上げる施策や制度の変更をしなくてはなりませんが、そのようなことはこれまで政策的になされているとは全く思えません。実際のところ、この給与アップというのは、本質は空虚で、これまでも「口だけ」なのですが、その「お口」も段々とトーンダウンしているように見えます。 「首相の年頭所感に見る違和感」(2016年1月7日) 大企業だけ給与がアップしても、そのしわ寄せが下請けなどに行けばかえって状況が悪くなります。現状、財界の方々が声を上げて給与アップを言っていることは良いことですが、それがわが国の一面的な話であるなら、かえって全体のもろさをさらに加速させる可能性が大いにあるものと考えます。大企業だけの給与アップが一種の無意味で幻想であるトリクルダウンを想定しているのなら、社会におけるマイナスはさらに大きくなります。本ブログで既に指摘しましたが、それが、これまでの日本ですし、世界が経験した趨勢なのです。 「『トリクルダウン』を否定する新自由主義者」(2016年1月5日) 可処分所得ということについて極めて単純に言えば、第二次安倍政権発足後、消費税はまず3%、来年に2%上がりますので、合計で5%です。インフレ政策で2%、単純に合計で7%の可処分所得のマイナスになります。3年前から所得が減っていないで横ばいならば、これから7%の給与上昇がなされてプラマイ0です。さまざまな税金が上がったり、給付金の問題がありますから、恐らく9%くらいでトントンでしょう。そうなると給与アップで消費が活発化すると言えるのは、単純に考えても3年前の水準から給与が10%増えないと無理と言うことになるでしょう。そして、労働人口の4割はボーナスなどがない非正規労働者になってしまっています。この方たちの消費が非常に重要ですが、それがプラスの方向に移行するのはさらなる所得上昇が必要なはずです。そして、その方向性を少なくとも中期的につづけなくてはなりません。 現在、財界で給与アップを言っている方たちが、このような大幅な上昇に対して腹をくくっているのか、私には疑問に思います。経団連が与党との関係が強いという指摘があり、そのことは本ブログでも取り上げましたが、そのような関係での財界の給与アップの相次ぐ発言は、選挙イヤーの今年だけの与党への空虚な応援演説ではないかと考えます。そうではないことを祈るのみですが、このようなことを差し引いてさまざまな発言を聞き、選挙を考え、政治を考えるべきだろうと考えます。そうすことが、国民にとっての最大の自己防衛策になるものと考えます。 「今年はテレビの報道には気をつけるべき」(2016年1月6日) | |
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