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様々
[日本の政治]
2016年7月31日 23時54分の記事

東京都知事選挙は小池氏の当選確実が早々とメディアにおいて打たれました。

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今回の選挙における確定的な票数は、現状、まだわかりませんが、選挙結果のポイントは、まず小池氏と増田氏の票差がどれだけあるか、そしてもう一つが小池・増田氏という与党系と、野党系である鳥越氏の票差がどれだけあるかと言うことと考えます。
そして、これらのポイントに共通する要因として自民党の分裂選挙という劇場型のシナリオです。これまで猪瀬氏、舛添氏と与党(自公)が後押ししてきた知事が2代に渡って不祥事のため辞任しましたので、都知事選挙前、明らかに与党にとっては劣勢でした。しかし、分裂選挙と言うことにより、この与党の都政に対する責任は消滅・回避され、今回の都知事選挙に与党系候補者が出馬できる環境が整いました。
しかし、普通に与党系候補者が出馬しても劣勢は変わりませんから、善と悪という二元論によってそのマイナスポイントを消滅させることができただろうと考えます。そのことから考えれば、当然、与党の本命は小池氏ということになります。浮動票を得た上で、さらに組織票を上乗せするという戦略になるわけです。したがって、必然的にこの劇場型二分論のシナリオが功を奏すれば、小池氏と増田氏の票差は開きます。
同時にこの劇場型二分論のシナリオは、通常、このような与党劣勢選挙においては野党に流れるはずの浮動票が、与党、特に小池氏に流れますから、よりこのシナリオは与党にとってプラスに働きます。
選挙戦終盤の今週に入って、与党系の分裂が印象づけられましたが、明らかにこれによって与党系に票が入る構図を強化したことになります。予想通りの展開ですが、与党としては念には念を入れたのでしょう。
票の動きや選挙戦略はこのようなものと分析します。そして、この選挙の実態が、今後の都政に影響をしていきます。そして、選挙は終わりましたが、それで都政に決着がついたわけではなく、むしろ本番はこれからです。新知事になってどのような施策が行われるかが最も重要なことです。
選挙戦前から、舛添問題や都議会自民党の問題を小池氏はかなり述べていました。これはとても良いことです。そして、このこと、特に都議会自民党やオリンピック利権に関して当然、メスを入れなくてはなりません。そして、それは行われるでしょう。ただそれはオリンピックをやるためということになるものと現状、考えます。
都政や都議会の闇を全て葬り去ったから、さあしっかりとオリンピックをやりましょうと宣言が出されるかもしれませんが、実際には何も変わっていないということもありうるかもしれません。トカゲのしっぽ切りが行われて、本体は全くの手つかずという可能性は、現状、どんなに少なく見積もっても50%あります。今回の選挙結果が示す今後で一番、あり得る可能性と現状、考えています。
どれだけ小池新知事が本当のことができるか、どこまで抜本的に改革ができるか、もしくは本気でやろうとしているかということが当然、問われていきます。そして、それは最初の1年で何ができるかが最も問われるでしょう。1年を過ぎれば、新知事の本質がわかるでしょう。都議会との関係をどう構築するかということを気にしていたら何もできないでしょう。そして、この都議会との関係という言葉が誰の口からでるかで、実相が判明していくものと考えます。

話は変わりますが、相模原で起きた大量殺傷事件は、様々な問題を浮き彫りにしています。弱者を包摂することを忘れた社会、ともに働くことを忘れた社会、欲望に溺れ、肥大化した自我・自己愛に溺れる社会、様々な要因があります。また、資本主義が終焉段階にある中での問題もあるでしょう。ただ、これは資本主義が終焉するから問題が発生したのではなく、終焉しつつある資本主義を延命させようとすることから生じているというのが実相でしょう。
資本主義の終焉についてはザ・フナイで詳しく書きましたが、エコノミストの水野和夫氏も述べています。彼の分析は秀逸ですが、この資本主義の一番の原因は、資本を拡大させるためのフロンティアがなくなったと言うことです。つまり、資本を拡大することが目的の資本主義が、資本を拡大させることがもはやできないのですから、当然、資本主義は終焉します。
その段階で、資本主義を延命させようとすれば何が起きるかと言えば、フロンティアではなく内部から富を吸い上げ、資本を拡大させると言うことです。それが端的に現れるのが人件費で、非正規雇用問題はまさにこのことの典型例です。しかし、このようなことが生ずれば社会は荒廃し、縮小していきます。
そして、このようにすれば、弱者を大量生産し、その弱者は怨嗟や怒り、恨みを抱え、自らより弱いものに矛先を向けていきます。このような心理は何も今に始まったことではなくナチスや、戦前の日本、米国のKKKと実は同じことを繰り返しているに過ぎません。ただ、それが資本主義の限界を迎え、同時にそれを延命させようとしたときに、そのような心理と人々を大量に、そしてシステマチックにつくり出しているということです。
したがって、今回の相模原の事件は特異ですが、その潜在性は極めて大きなものがあると考えます。そして、もう一つ言えることは、単独では自分より弱いものにしか刃を向けることができませんが、これが一度集団になると今度は黄金持ちや多少力あるものに向かいます。ナチスの時も同じです。今、「私は勝ち組」とか「私はセレブ」と言ってはばからない人は、そのターゲットになりやすいでしょう。弱者を包摂しないと、実は最終的に自分にその害が及ぶと言うことです。

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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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