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なぜ橋下は強引な解釈をするのか?
[日本の政治]
2022年8月8日 23時45分の記事

8月8日、日テレ『ミヤネヤ』にチャンネルをまわしたら橋下徹が出ていました。そこで橋下は、韓国のカルト団体についての名称変更問題で、前川喜平さんが名称変更申請に対して反対に動いてきたことについて、それは『違法』だと騒いでいました。その橋本の主張の趣旨については以下の記事と同じものです。橋下は、名称変更は役所の『認証』なので、申請に不備がなければ、役所は黙って認証すべきで、そのようにしなかった前川さんは『法律違反』ということを、騒いでいるわけです。でも、この主張、非常に一方的な解釈で、橋下のように言い切ることは、非常に問題があると考えます。

・ 『橋下徹氏、旧統一教会の名称変更問題を証言した前川喜平氏に疑問「正義の味方みたいになっているけど違法です」』(2022年8月7日 スポーツ報知)

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新型コロナウィルスに関わる持続化給付金詐欺事件が多発した問題で、申請の『簡略化』が詐欺を横行させたという指摘があります。まさに、橋下の論を聞いていると、そういう簡略化を行政全般でもっとやれと言っているように思えて仕方がありません。そういう簡略化は性善説に基づいて行なわれていて、一方では実態がそうではないから、詐欺事件や問題が発生するわけです。何でも行政を簡略化、機械化すれば良いというわけではないのです。むしろ、そうすることの弊害の方が大きいと考えます。

・ 『総務副大臣の元スタッフ「自民党の立場で抜け道知っている」と詐欺指南か 逮捕前「やるメリットない」と否定』(2022年3月22日 東海テレビ)

・ 『【給付金詐欺】多発する原因は手続きの簡略化?再発防止へ行政に求められること』(2022年6月19日 ミモレ)


話を戻すと、橋下は韓国のカルト団体の申請を受理しないと判断をしたことは『法律違反』と騒いでいるわけですが、しかし、この名称変更問題、実は焦点となっている宗教法人法第28条を観ると、前川さんの言動は肯定されるのです。下線部がポイントです。


(規則の変更の認証)
第二十八条 所轄庁は、前条の規定による認証の申請を受理した場合においては、その受理の日を附記した書面でその旨を当該宗教法人に通知した後、当該申請に係る事案が左に掲げる要件を備えているかどうかを審査し、第十四条第一項の規定に準じ当該規則の変更の認証に関する決定をしなければならない。
一 その変更しようとする事項がこの法律その他の法令の規定に適合していること。
二 その変更の手続が第二十六条の規定に従つてなされていること。
2 第十四条第二項から第五項までの規定は、前項の規定による認証に関する決定の場合に準用する。この場合において、同条第四項中「認証した旨を附記した規則」とあるのは、「認証した旨を附記した変更しようとする事項を示す書類」と読み替えるものとする。



まず『所轄庁は、前条の規定による認証の申請を受理した場合においては』というのは、所轄庁が『受理しない』ことも行政側の選択肢としてあることを明記していると私は読みますし、そう言う解釈は成立すると考えます。ですから、文科省側は前川さん以降、ずっと『受理してこなかった』わけで、それは『合法』なのです。
少なくとも橋下のように『法律違反』と言い切ることはできないのは、この28条の出だしからみて、そうであると考えます。橋下はちゃんと条文を読んだのかと思います。それとも読めないのかと思います。いずれにせよ、『法律違反』と言い切ることができないのに、言い切っていることに、社会的な言論としてはとても大きな問題があると考えます。一種のブラフ(ハッタリ、こけおどし)です。

・ 『前川喜平氏「下村さんの意思が働いていたのは100%間違いない」旧統一教会の名称変更受理に言及』(2022年8月5日 日刊スポーツ)


次に、『その他の法令の規定に適合していること』の『その他の法令』が何をさすかです。これが法令全般とういうことなら、このカルト団体は数多の消費者問題などを起こして、その反社会性は十分言われているわけで、この団体の内容が変っていないのなら『その他の法令の規定に適合しているとは言えない』ということなります。ここで『その他の法令』を入れているのは、全般的な遵法性をも認証の要件として問うていると考えます。
この部分の解釈において、前川さんの判断は明らかに『合法』と言え、逆に受理をしないという判断をしなくてはならなかったとも言えます。少なくともこのような解釈は成り立つのです。
そうなると、前川さんは『違法行為』したと橋下が言い立てる姿というのは、単なる橋下の強引な解釈にすぎないと私は考えます。下手をすると『名誉毀損』なのではないかとも考えます。
橋下の主張は単なる一面的な解釈にすぎず、それを絶対的に正しいと言い張るのは、明らかに世論を誤誘導するものと考えます。これはものすごい問題です。法廷とは違い、一面的な解釈をただ言い立てれば良いというわけではないのです。
このような橋下のような言い方は、法廷ではそれなりに意味があるのかもしれませんが、私には相手の意見を聞かない、子どもの喧嘩の態度にしか見えません。
実際、この『ミヤネヤ』の放送中、紀藤弁護士が述べているときに、橋下はその発言にかぶせるように大声で持論をまくし立てていましたが、観ているものからすると、橋下は分が悪くなると、すぐにこのように相手の発言を遮るという乱暴な行為にしか見えません。いい加減、こういう人物を公共の電波で放送するのは、やめてほしいと考えます。観ているものからすると単に不愉快なだけで、よくこんなのをテレビに出し続けるなとも思います。話の内容がまったくないのに。
いずれにせよ、少なくとも、橋下のように断定して前川さんを断罪するのは明らかに拙速、一方的解釈に過ぎないと私は考えます。これだけで橋下への反証は十分と考えます。
このミヤネヤで紀藤正樹弁護士は『行政手続法は本来は審査基準を作らないといけないが、文化庁の宗務課は名称変更について基準をまったく作っていない』という指摘をしてしていましたが、非常に良い指摘だと考えます。
そういう基準がない中で、紀藤弁護士は名称変更について『我々はずっと変えないでくれと言っていたんです』と番組で述べています。その相手は無論、文科省と考えますが、民主主義制度において、被害者の弁護士(団)が、名称変更に異を唱えていたら、役所はそのことに留意する必要は当然あります。だから『受理』しないという文科省側の判断は、当然に法的にも合法と考えます。
むしろ、このような申立が無視されてしまったが故に、名称が変更され、被害が継続したということなのです。2015年当時、反社会的な行為を繰り返してきた韓国のカルト団体の名称変更について、下村氏は、名称変更の申請について「担当者から『受理しなければ(行政上の)不作為として法的に訴えられ、負ける可能性がある』と報告があった」(2022年8月4日 毎日新聞)と述べています。
しかし、これは、かってに行政がカルト団体の意向を忖度していることを示しているといこだけなのです。

・ 『下村博文氏「責任感じる」 旧統一教会の名称変更当時の文科相』(2022年8月4日 毎日新聞)


韓国のカルト団体の案件について、被害者側から『名称変更を認めないでくれ』という声があったにも関わらず、どうしてこのような『忖度』が生まれたのか、ということは極めて大きなポイントと考えます。
そうなったのは、政権の上層部からの政治的な指令があったのか、それとも韓国のカルト団体が開き直って『不作為だ、法律違反だ』と言い始めていたからではないかと考えます。後者だけか、両方かのどちらかでしょう。
この後者のロジックは、現在の橋下のロジックと同じと考えます。橋下の主張を聞いていると、そのポイントは韓国のカルト団体への批判の論点を、前川さんを攻撃することによってずらしているということに過ぎないと考えます。
問題は、なぜ、橋下はこういう強引な言い方をする必要があるのかということです。
可能性がある理由は二つあると考えます。一つ目は、単なるバカ。法律と行政を知らない。もう一つは、韓国のカルト団体と方向性を同じくしている可能性です。この二つをその可能性ある理由として考えます。実相はどうなのか? このどちらか一方か、両方ともか、それともまったく別の理由かは、私にはまったくわかりません。

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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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