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時代の転換点――バブルの時代の清算
[日本の政治]
2022年8月30日 10時5分の記事

昨日8月29日のTBS『ひるおび』では、19歳の女性が、バブル世代である50代前半の母親の人生がうらやましいとツィートしたことが大きな反響を呼んでいると取り上げていました。このことは、以下の8月24日のテレビ朝日の記事でも取り上げています。

・ 『「母親の人生がうらやましい」19歳女性の投稿に反響…“バブル時代”楽しかった?』(2022年8月24日 テレビ朝日)

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その19歳女性のツィートは以下のものです。


 ツイッターから:「母親の人生がうらやましい。好景気で就職先選び放題で、高級ディナーとかカラオケとか行きまくって。夏は花火、冬はスキーデートして、豪華な結婚式。新婚旅行はオーストラリア。都会に建てた一軒家。今も専業主婦で、趣味は韓ドラ鑑賞とピアノ」(2022年8月24日 テレビ朝日)



この感覚、わからないでもないなと思います。
私は1967年生まれのまさにバブル世代です。バブルの頃は大学生で、遊びまくっていたとは思いますが、一方で大学生なので収入はアルバイト、お金がありあまっていたわけではありません。ですので、今の大学生と大差はありません。就職活動は売り手市場で内定をいくつももらっていたりと、そのような『恩恵』は確かにありましたし、『21世紀は日本の時代』と誰もが疑わない楽観と傲慢の時代の気分の良さも味わっていたと思います。
しかし、バブルの恩恵をもっとも受けていたのは、私と同世代の女性とお金を持っていた私より上の世代の男性でしょう。
私と同世代の女性とは上記の19歳女性の母親の世代です。バブルの象徴として出てくる『ジュリアナ』のお立ち台で踊っているのが、この世代の女性と言うことでもわかるように、このバブル世代の女性は、まさにその時代の象徴的な存在、日本の女性の歴史の中で、最も優遇され、最も遊んだ存在でしょう。
『アッシー、メッシー』という言葉は、この世代の女性のためにあった言葉で、男性は貢ぐ存在、村上龍さんの『すべての男は消耗品である』という感覚があった時代でもあるのです。『バブルと寝た女』という映画があり、そういう言葉が流行りましたが、一方で『バブルと寝た男』という言葉は生まれない。それがこの時代を物語っているわけです。
その貢げる男性もお金を持っているからで、アルバイトでお金を稼ぐ程度の大学生は、バブルにおいてはまったく別世界の存在であったわけです。
こうみるとバブル世代の女性は、羨ましいと思われても仕方がないでしょう。

○ しかし、本当に今とはまったく違う時代なのか?
さて、この19歳女性のツィートとそれを取り上げる上記のテレビ朝日の記事では、このバブル時は今とはまったく違う時代という対比で語られています。ですから、19歳女性のバブル世代の母親への羨望ということになり、テレ朝の記事では『楽しい“バブル時代”…悲しい“今の時代”』と書かれているわけです。
確かにそう見えるでしょう。現在の若者は『衰退している日本しかみていない』という感覚があり、バブルの時は『21世紀は日本の時代』という感覚でした。
しかし、私はバブルの時代と現在がまったく反対の時代とは思っていません。実相はその逆で、現在の本当の姿は『バブルの時代のなれの果て』なのです。
バブルの時代とは『退廃の時代』であり、その本質は『消費の時代』です。
バブル以来のこの30年、実のところこの社会(大衆心理、パラダイム、時代の趨勢)の根底は大きく変っていない。生産の喜びを忘れ、消費の快楽に拘泥する日本であるのです。そして、そういう時代・社会は衰退する。だから、現在の若者が『衰退している日本しかみていない』ことになっていると考えます。
日本は、バブル以来の時代の趨勢から転換を成し遂げていない。そういう時代状況を社会的にいまだに自覚できていないから、迷走し、出口を見付けられないで、今に至っていると考えます。
バブル以降の日本の衰退の大きな要因については、私がこれまで指摘してきた、世界的なお金の流れというものなどがあると考えますが、そのお金の流れと同時に社会・時代の趨勢で衰退に向う方向性が厳然としてあるのです。むしろ、そのような大衆心理が利用されているとすら考えてもいます。
現在がバブルの時代のなれの果てですから、そのバブルの『消費の時代、退廃の時代』を今の若い人が憧れても、その行き着く先はさらなる『衰退』でしかないのは、自明の理です。
バブルの時代の問題としてあったのが『オウム問題、統一教会問題』です。この2つの問題の根底には『消費の時代、退廃の時代』の心理的、精神的な背景があると考えます。そして、『統一教会問題』が現在まで続くというところに、現在がバブルの時代のなれの果てということの明らかな証左と考えます。『統一教会問題』がずっと『消費者問題』として存在し続けたことは、関連する象徴的なことと考えます。
日本のさらなる衰退をもとめるのなら、このバブルの『消費の時代、退廃の時代』を続ければ良いわけです。

○ 日本の黄金時代は『昭和30年代』
現在の若者で、『日本の黄金時代』はバブル時代と思っている人が多いと思います。でも、それは違うと考えます。バブル時代とは『衰退、没落のはじまり』にすぎません。
私が考える日本の黄金時代は『昭和30年代』です。この時代があるから、その後の時代の日本の成長があり、バブルの絶頂となって、時代は消費の時代、退廃の時代へ反転し、没落していくのです。
ということは、この日本の黄金時代である『昭和30年代』は生産の時代なのです。そういう生産の時代においては、生産者に眼を向けます。だらか、生産者の立場をあげろと左翼運動が活発になるわけです。それでいい。そうやるから人間が報われるのです。人間が報われるから、人が輝くのです。
しかし、それは今とはまったく反対であるわけです。現在は、労働組合(『連合』)が生産者の立場の向上を言わなくなってしまっています。それはそうです。『バブルと寝た女』の世代であるヨシノが会長の労働組合では、それは『消費の時代、退廃の時代』の発想しかできませんから、さらに労働者の環境は悪くなります。
そして、必然、日本の社会・経済はさらに衰退していきます。このご時世に『バブルと寝た女』の世代の女性をトップにすれば、そのトップが社会が求めている方向に逆行し、日本社会がさらに衰退、迷走することは当たり前なのです。このことにも、現在がバブルの時代のなれの果てであることがよく現われています。
バブル以降の消費・退廃の時代は、消費者としての立場に焦点をあてます。だから、現在においてもSNSでは、豪華な食事の写真をアップして、それをひけらかすわけです。自らの『消費』をアピールして自分を肯定、自分の地位、ステイタスとするわけです。それは虚栄・虚飾とも言います。
ですから、冒頭のテレ朝の記事にも現在の若者の本音が以下のように書かれているのです。


一方で、投稿者は、バブル時代にはSNSがなかったことも、うらやましさの一つだと話します。

 ツイート投稿者:「(SNSの普及で)人と比べる機会が増えたことが、一番嫌だなと思う。スマホとか持っていないときは、テレビの中だけで、賢い人がいるとか、かわいい人がいるとかで済んでいた。(SNSを知らなければ)比べずに、自分の物差しで、好きに生きていたんじゃないかな」



バブルの時代にはSNSはありませんでしたが、その代わりジュリアナのお立ち台で競い合って踊っていたのです。自慢話を延々としていたのです。ブランド品に身をつつんでいたのです。『ブランド』というのは消費によって自分を肯定、自分のステイタス・地位を主張することであり、『ブランド』そのものがその主張のための媒体なのです。つまり、当時はSNSはありませんでしたが、ブランド品という媒体があったということです。
そして、『統一教会の消費者問題』も実はこのブランド品と同じなのです。

○ これからは『黄金の昭和30年代』の研究が必要
私は昭和42年生まれなので、昭和30年代を体験したわけでありません。しかし、その時代の映像や写真を観ると、やはりとても良い時代だなと率直に思います。別に東京オリンピックがあったからそう思うのではなく、この時代の人々の顔や雰囲気が、とにかく希望に満ちあふれ、生気と活気が満ちあふれているからそう思うのです。
そして、このような希望の時代の後に日本の大きな成長があったというのはやはり頷けます。
この時代は、自分の頭で考えて、それを一生懸命ぶつけていた時代のようにもおもいます。だから相手を受け入れられ、共感もできる。この時代の人々には信頼感があります。男女の間にも信頼感がありますし、何より女性が輝いています。そう感じる理由は、現在の女性が『自由』を失ったからでしょう。
この時代の本質をまだ上手く言葉で表現できませんが、この時代の映像などを観て、音楽を聴いて、その空気感を取り込むだけで、現在の若い人々の将来に大きく貢献すると考えます。これは若い世代だけではなく、日本の将来にも大きく貢献すると確信します。
すなわち、日本はバブル以降の時代の『消費・退廃の時代』清算をし、『生産の時代』に移行しなければならないということです。平和と安寧を手に入れるためには。
この『黄金の昭和30年代』の典型的な歌は、吉永小百合さんと橋幸夫さんの『いつでも夢を』(昭和37年〔1962年〕)でしょう。『歌は世につれ、世は歌につれ』といいますが、この曲はとてもこの時代の雰囲気を伝えてくれています。以下リンクのYouTubeの映像は、お二人が歌っている昭和43年(1968年)ころのものですが、『黄金の昭和30年代』の空気・雰囲気が色濃く出ています。吉永小百合さんと橋幸夫さんのお顔の表情を観れば、そこにこの時代の雰囲気・希望があることがわかります。そして、そこには『日本』というものがあるように思います。
この時代のこの雰囲気・希望がどうして生まれるのか、この時代と現在との違いをしっかりと見ていくことが、これからは何より大事でしょう。

・ 『いつでも夢を 橋幸夫/吉永小百合』(YouTube)
私は昭和42年生まれで 30年代は生きていないが 私にとってこの歌が典型的なこの時代のもの


坂本九さんの『上を向いて歩こう』『見上げてごらん夜の星を』も良いと思います。
現在の若い人が本当に日本の将来を憂いて、考えているのなら、何よりもこの『黄金の昭和30年代』に注目すべきだと考えます。

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プロフィール
片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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