2015年10月30日 23時21分 |
ソーシャル・インクルージョン(社会的包摂)に対する政権の対応が焦点 |
安倍政権の政策的目玉である「1億総活躍国民会議」に民間議員として参加しているタレントの菊池桃子さんが、「1億総活躍」というネーミングが分かりづらいので、「ソーシャル・インクルージョン(社会的包摂)」の新名称を提案したことが報道されています(「菊池桃子が国民会議で安倍首相に1億総活躍論提言」2015年10月30日 日刊スポーツ) 。「1億総活」という言葉に対して人によっては「国家総動員法」や「一億総玉砕」を連想させるので、それに比べれば、はるかに良いネーミングですし、ソーシャル・インクルージョンという言葉に内包される概念も大変よいものです。しかし、これは果たして採用されるのでしょうか。 |
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2015年10月29日 20時34分 |
中東情勢の大きな分岐点――問われる安倍政権の外交 |
先日、「シリア情勢の変化の兆し」について書きましたが、もう一つ中東情勢の大きな変化の分岐点も通過したと考えられます。この両者は間違いなく関係をしているでしょう。そして、このことは今年1月の安倍首相中東訪問時の外交や日本外交の方針が大きく問われていることを意味しています。 |
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2015年10月28日 22時51分 |
南沙諸島での米艦航行について報道等で指摘されていないポイント |
南沙諸島での米艦航行について報道などで指摘されていない今後を考える上でのポイントがいくつかあります。 |
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2015年10月27日 23時3分 |
ホロコーストに関するネタニヤフ首相の発言の背景にある事情 |
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相のホロコーストに関する発言が世界的に物議を醸し、批判されています。 10月20日にエルサレムで開かれた「世界シオニスト会議」で、ネタニヤフ首相は、ヒトラーは、当初、ユダヤ人を欧州から「追放」するという考えであったので、ナチス・ドイツによるユダヤ人大量虐殺(ホロコースト)は、もともとはヒトラーの考えではなく、当時のイスラム教の宗教指導者・大ムフティーだったパレスチナ人が、ヒトラーに進言したため生じたと発言しました。 この発言に対して、イスラエル内外で批判が生じており、イスラエルの歴史家からも「ヒトラーと宗教指導者が会談する前からユダヤ人の虐殺は始まっていた」(2015年10月22日 NHK)と発言は事実を歪曲していると指摘されており、イスラエルの野党でも批判が生じています。国連も激しく批判しており「全くの論外」(同前)と切り捨てています。以下リンクのCNNでも論調の批判的トーンは高いものになっています。 この発言は「歴書の歪曲」や「歴史を歪める発言」という表現で批判されていますが、悪しき歴史修正主義と言えるものです。このような発言は、世界に無用な対立を生じさせ、憎悪を激化させ、大きな混乱を招きます。ホロコーストが強い憎悪をベースにした蛮行とするなら、このネタニヤフ首相の発言の背景もまた同じものではないでしょうか。 ネタニヤフ首相「パレスチナ人がホロコースト進言」(2015年10月22日 NHK) Israeli PM Benjamin Netanyahu criticized for saying Holocaust was mufti's idea, not Hitler's(2015年10月22日 CNN/「ベンヤミン・ネタニヤフ・イスラエル首相のホロコーストはヒトラーの考えではなく大ムフティー(イスラム法学者)のものとする発言に批判」【筆者訳】) ネタニヤフ首相は、発言の翌日の21日、ベルリンを訪問しメルケル独首相と会談しています。この会談の後の共同記者会見で、イスラエルの新聞「ハアレツ」の記者が、このネタニヤフ首相の発言に対するドイツのメルケル首相の見解について質問をし、メルケル首相は「私たちは、自らの歴史観を変えるいかなる理由も存在しない。私たちはドイツ国家として、ホロコーストに対する責任を全うする」(2015年10月23日 The Huffington Post)と述べています。 メルケル首相の発言は非常に良いものです。 ネタニヤフ首相がこのような発言をするのは、明らかに現在衝突が散発するパレスチナ問題が背景にあります。そして、同時にドイツ訪問をする前日にナチスドイツ時代のホロコーストについて発言することには、明らかにドイツというファクターがそこにあります。またホロコーストについては、この70年もの間、ずっと問題として取り扱われているにもかかわらず、この種の発言を今、するということの最大のポイントは、実は歴史ではなく“現在”にあります。それでは、“なぜ今なのか”ということでですが、その背景は以下のようになります。 |
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2015年10月26日 23時50分 |
守成は創業より難し |
『貞観政要』という書物があります。これは中国の古来からある帝王学の教科書と呼ばれるものですが、日本でも源頼朝や北条政子、そして徳川家康が愛読したと言われています。 この本で有名な言葉として出てくるのが、「創業と守成いずれが難きや」というものです。どちらも大変であることは間違いないのですが、ポイントはどちらについてもしっかりと踏また体制や思考を整えなくてはならないということでしょう。しかし、創業は勢いで行ける部分もあり、また動きもわかりやすく、陽性のものです。政治などでは特に前時代の問題点をひっくり返す形が多くなるので、人々の共感を得やすくもあるでしょう。 一方で、守成は平時を長く保つことを成して行かなくてはならず、問題は発生する前に処理するので目立たず、見た目は派手さや面白みもなく人々の関心を惹きにくいものです。ただ、政治というのは人々の生活を長く平和で安寧なものにしていかなくてはならないので、政治の本質的な部分はこちらの方であると考えます。 |
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2015年10月23日 9時16分 |
シリア情勢における変化の兆し |
10月20日、以下の記事のように、シリアのアサド大統領がロシアを極秘に訪問し、プーチン大統領と会談したことが報じられました。 シリア大統領、ロシア訪問 プーチン氏と極秘裏会談(2015年10月22日 朝日新聞) 極秘とはいえ、2011年以来、内戦状態が続いているシリアからアサド大統領が国外へ出たということは、大きな情勢の変化として考えるべきでしょう。今後の趨勢はよく見守る必要がありますが、この記事を見る限り、情勢の変化を考える上でのポイントは以下のふたつあります。 |
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2015年10月21日 5時47分 |
皇后陛下のお誕生日に際して、心からお慶びを申し上げます |
皇后陛下のお誕生日に際して、心からお慶びを申し上げます。 皇后陛下お誕生日に際してのお言葉を拝読いたしましたが、皇后陛下の平和と国民をお想いになるお気持ちにあふれた大変に素晴らしいものであったと心から存じます。 その中でも以下のお言葉が大変に印象的でした。 平和な今の時代を生きる人々が,戦時に思いを致すことは決して容易なことではないと思いますが,今年は私の周辺でも,次世代,またその次の世代の人々が,各種の催しや展示場を訪れ,真剣に戦争や平和につき考えようと努めていることを心強く思っています。 昨今、わが国の若い世代である「次世代、またその次の世代の人々」が、真剣に戦争や平和について考えていることを心嬉しく、また心強くお想いになられていることが鮮明に伝わってきます。 政治の基本、そして安寧な社会の基本は、まず平和を求める心がしっかり社会を支える人々の間にあることこそが、最重要で最優先のことです。 日本の大半の人々は、既に戦争を知らない世代です。それは戦争を知らない“幸運な世代”なのです。その幸運な世代は、戦争について実感を伴ってはっきりとした認識はできません。それは当然のことなのですし、それは幸運なるがゆえの陥穽でしょう。 しかし、一方で、その陥穽は時として、その悲惨さを軽視し、無謀な幻想を生み、現実感を失い夢想するようになります。そして、それは与えられた幸運を手放すことになります。 戦争の悲惨さを常に考えるのは平和ボケではない、そのことを軽視することこそが平和ボケなのだ、とそう私は思います。幸運な世代だからこそ陥りやすい陥穽があることは、しっかりと認識をしなくてはならないと今、心から思います。 天皇皇后両陛下が、先日の茨城水害にお見舞いに現地にいらっしゃったお姿がテレビで放映されていました。そのお姿に、親しみと感謝の念を率直に感じますと共に、そのお姿から感じる国民へのお心を、今回のお誕生日に際してのお言葉からもひしひしと感じます。 皇后陛下が、末永くお元気でいらっしゃることを心よりお祈りいたします。 改めて、皇后陛下のお誕生日に際して、心からお慶び申し上げます。 |
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2015年10月20日 11時7分 |
島尻大臣ポスター問題――政治家としての主張がカレンダーというレベル |
以前、政党の広報を担当していたので、こういう問題を目にすると、反射的にそのポスターに視線を向け、凝視してしまいます。 島尻大臣のポスター問題には様々な問題点があるでしょうが、法的要件についてここではおいておきます。 ニュースなどで伝えられているポスターを見ると、目につくのは、カレンダーもさることながら、政治活動用ポスターであるのに「政治的主張」が全くないというところです。これでは、法的な問題以前に、政治家として問題が大いにあるのではないかと思います。 このカレンダー付きのポスターを見ると、そのデザイン構図はアイドル気分という印象を受けます。そして政治的主張がありません。名前があって、写真があって、普通は政治的主張がある部分がカレンダーなのですから、政治家としての根幹である主張は「カレンダー」なのだろうと思いますし、それが島尻氏の政治家としてのレベルなのでしょう。まあ、これも悪くはないのかもしれませんが、“誰でも”言えるレベルです。ただ、真面目な政治家であれば恐らくは最も“主張”しないものでしょう。 一方、島尻氏のブログと思われるサイトを見ると、“政治的主張”がでかでかと書いてあります。その主張とは「台所から政治を変える!」です。ご本人からしたら“深い深い”意味があるのでしょうが、受け取る印象はこれが看板として掲げる政治的主張なのかと力が抜けてしまうレベルです。重い歴史を背負い、安全保障上の様々な問題点を抱える沖縄を担当する大臣として本当に適格なのかどうか、私には甚だ疑問に思います。独立論が絡む沖縄では恐らく不適格でしょう。このポスターなどを見る限りそう思います。そもそも政治的主張などあまり関係ない方なのではないかと思いますので、政治家として資質はないものと考えます。政治活動用のポスターに、政治的主張がなく、代わりにカレンダーがあるのですから、はっきり言って政治をなめているのだと思います。後援者もその程度なのでしょう。政治的主張ではなくカレンダーの方が良いと。そういうことなのでしょう。 |
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2015年10月10日 8時46分 |
第三次安倍政権発足後の世論調査に見る本質――勢いがない |
第三次安倍政権発足について、報道各社が世論調査を実施ました。内閣支持率は概ね40%台中盤から40%前後という数字です。新内閣発足時や内閣改造時の内閣支持率は、通常、ご祝儀的な数字が出やすいので、大抵の場合、内閣支持率は上昇します。実感としては、今回の数字はどちらかと言うと「伸びが薄いな」と言えるものです。 先の通常国会では、安保関連法が焦点になり、オリンピック関連問題や自民党議員の発言問題などがあり、内閣支持率が下がりました。その時から見れば、実際、支持率は伸びているのですが、本質は、先の通常国会での支持率の落ち込みが、今回の内閣改造時での支持率上昇に覆いかぶさっていると分析します。ご祝儀相場にしては、支持率上昇には明らかに勢いがないと見ます。 |
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2015年10月9日 6時33分 |
現在の与党・自民党と戦前の軍部に共通する陥穽 |
10月7日、第三次安倍政権の顔触れが発表されました。このことに付随して副大臣、政務官の人事や党の人事が動きます。今後、これらの人事が政権の趨勢を決していきますが、現状、第三次安倍政権の顔触れに対して“サプライズなし”との論評が目立ちます。「政高党低」、「一強状態」、総裁選も無投票で決まる現在の自民党において、改造内閣ではそもそもサプライズはないのでしょう。そして、この「サプライズなし」が、今後、どのような状況をつくり出していくか、一つのポイントであることは間違いないでしょう。 そのことを考える上で重要な記事が、先日、載りました。 |
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