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今だから改めてTPPについて考える?
[日本の政治]
2016年12月16日 23時58分の記事

TPPというのは実に不可解なものです。米国が離脱を鮮明にし、発効が絶望的になったと報道されているのに、国会では延々と何事もなかったようにこれまでと変わりなく首相以下政府側が答弁を続けています。そこに状況の変化への対応という思考は微塵も見られません。TPP=米国というのは、米国の離脱がほぼ確定的になって、それが明らかに違うものということがはっきりしています。では一体、TPPの実態は何なのか少し考えて見ようと思います。

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首相以下、TPPの意義として自由貿易の精神を守るとかその旗を世界に発信とか言っていますが、日本のことを考えたときそれは適切なのか、そもそもそのようなものなのか。もう一度、良く考えることは日本にとってやはり必要なことと考えます。
これまでTPPについては様々な場所で色々なことを申し上げてきました。そして、その核心は、一般的に言われているように通商問題ではなく、それは通貨であり、そして軍事であると申し上げてきました。詳しくは拙著『この国を縛り続ける金融・戦争・契約の正体』(2015年 ビジネス社)などをご覧頂ければと思います。一般的な通商問題はそれほど重要ではないでしょう。
実際、報道などでもTPPが安全保障問題とリンクするとよく言われています。なぜ、TPPは安全保障とリンクし、WTOはそう言われないのか? やはりおかしなことではないでしょうか? この違いにTPPの本質があるものと考えます。
極簡単にこのTPPを軍事面から見てみようと思います。これまでの米国が残留したままのTPPということを前提に考えると、もしそれがそのまま発効された場合、日本の農業は誰が見ても明らかなように壊滅的な状況に陥ります。日本もこのことに併せて農業を補助する政策をこのTPPを前提に進めてきましたが、それはむしろ補助と言うより農業従事者にとっての移行補助政策の意味が強いものと考えます。なぜなら、その政策が恒久的、もしくは長期的なものではなく、年数が限られての時限的なものであるからです。
そうなるとTPP発効後、どうなるかと言えば、日本の食料自給率は格段に落ちていきます。これが何を意味するかというと日本の防衛が単独では考えることができなくなると言うことです。これは現状でもそうですし、将来もそうですが、食糧自給率が低下すると言うことは軍事以前に「国」の安全保障は成り立たないと言うことです。TPPが日本の安全保障と関わるというのは、まさに日本と言うことを捨てての安全保障と言うことなのです。
TPPはリカードの比較優位説のごとく、域内それぞれの地域が特化していけば、全体としては整合性がとれるので、問題はないという発想になります。だからTPPで関税などをなくすことができる理由となるわけです。
したがって、TPPによって自立性を奪われた各国は、その防衛をどうするかということになります。一方で、TPPは中国包囲網と言ってはばかりませんでしたから、その軍事的要素が想定されているという非常に矛盾したことがこれまで、実は言われてきたわけです。そうなると、そこから出てくる構想はTPPで共同軍を造しかなくなるということです。これが本質的にTPPで言われる安全保障です。日本という概念はそこでは非常に希薄になるのです。関税自主権を放棄するのですから、主権である防衛を放棄してもそれは必然的であるのです。しかし、これは日本国民という概念の消滅も意味します。日本国民はTPP圏に放り出され、そこに政治的機能はありませんから、当然、民主主義というの言葉はなくなります。
このようにTPPは明らかにブロック経済です。それも民主主義をなくし、国民を保護もない市場に放り出して行くわけですから、自由貿易の精神を世界に発信と言えるようなしろものではありません。
このように、TPPにおける軍事的自立性はなくなります。食糧自給率の問題と同様、そもそもTPPに国家としての自立性は想定されていません。それは必然的に国家の否定と言うことなのです。これは軍事だけではなく通貨にも及びます。むしろ通貨の方が主です。
これが防衛面から見たTPPの明らかな性質で、防衛の専門家としてTPPに賛成するもしくは不問に付すというのはあり得ない思考であると考えます。
ブロック経済圏であるTPPでの安全保障が、単なる一地域となった日本にとって有利になるとは言えません。なぜなら、民主主義国家としての利益を護る自らの意思によって判断や決断ができなくなりるからです。それは不必要に戦争に巻き込まれていくことを意味します。そして、そのために日本人の財産が活用されると言うことなのです。上記比較優位説のごとく、日本は相対的な意味での地域でしかなくなり、TPP圏内の日本と言うことになるのです。
ただ、これからの時代、軍事の意味が変わるので、自国防衛だけを考える、もしくはブロック防衛という発想は意味をなさないということはここで書いておきます。時代は既に大きく変わっているのです。このことの詳細は『ザ・フナイ』での連載をお読みください。(本ブログ「今だから改めてTPPについて考える?」(2016年)へつづく)

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内容は今まで見たことのない国際情勢と世界史の分析で、2024年の世界情勢の根本要因が書かれています。この本とザ・フナイの連載をトータルで読むと、ロシア・ウクライナ情勢、パレスチナ・イスラエル情勢及び中東情勢、東アジア情勢など現在の世界情勢の本質が見えてきます。もちろん、日本国内の情勢も見えてきます。内外情勢は決して別々ではない。
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1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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