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ここに来て大いに問われる世襲政治家の問題
[日本の政治]
2023年6月5日 16時33分の記事

6月5日朝のテレビ朝日『モーニングショー』では、キシダ親子公邸忘年会問題に関係して、政治家などの世襲問題について議論をしていました。内容はとても良いものでした。ご存じのように日本の政治では、権力・ポストの世襲がひどすぎます。大変な高率で世襲政治家、世襲議員が存在し、政界において非常に大きな存在となり、この世襲は絶対権力化する勢いで、それはまさに特権階級化、既得権益化を意味します。民主主義に寄生する特権階級となり、99.9%の主権者国民との財力・権力の格差・乖離が激しくなる一方です。そして、現状の世襲政治家による議員職、閣僚など行政ポストの寡占状況によって、99.9%の主権者国民が議員や閣僚になることが難しくなっているという、平等が侵害される特権階級化が生じ、民主主義が否定される事態に至っています。特権階級化した世襲政治家には、99.9%の主権者国民の生活や感覚がわからず、日本社会における本当の問題についても理解できないのは、当たり前と考えます。それならば、当然、政治は国民の利益に反して暴走するのではないでしょうか?

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世の中が悪くなると、世襲政治家や自民党のような長年与党の世襲政治家が多い集団は、国民から責任が追及され、非難され、風当たりは強くなります。逆に景気が良く、社会も順調ならば、国民からの評価は上がり、繋がりを求められます。世襲政治家というのは、長く権力の座を占めているの存在なので、その責任と影響力は、普通の政治家より大きく評価されるので、このようなことになるわけです。
だから、経済や社会の先行きの見通しが悪ければ、政治権力を独占していると思われている世襲政治家(実際そうだと考えますが)の責任ということになっていくわけです。『社会、経済はこんなに悪くなっているのに、あのボンボンは何をやっているのか』ということになるわけです。
少子化問題は30年前からあり、改善が常にいわれてきました。しかし、世襲政治家が多い自民党政権では、状況はまったく変わりませんでした。1990年代最初の海部政権から連立を含めた自民党政権での総理大臣13名の内、9名が世襲政治家です。7割です。
自民党政権といえば結局、世襲政治家政権ということですが、その間、まったく少子化問題は改善されず、問題は悪化するばかりでした。それで、政治家3世のキシダが異次元の改革とか何とか言っていても、問題が解決すると考える方が愚かです。
以下の毎日新聞の記事では、『少子化対策ならば「子ども支援」より「結婚できない若者」支援』といっていますが、まさにその通りでしょう。このことについては本ブログ『移民を増やすとさらなる人口減少を招く 』(2023年1月11日)で書きました。少子化問題の最大の原因は端的に『新自由主義政策』にあります。自民党政権が長らく『骨太の政策』を推進してきて日本の社会・経済が大いに『骨細』になっていることと原因は同じなのです。無論、自民党はこの新自由主義政策を変えるつもりはないと考えます。

・ 『少子化対策ならば「子ども支援」より「結婚できない若者」支援 』(2023年5月30日 毎日新聞)

現状の社会・経済の問題をつくり出してきたのは、1955年以降、ほぼ一党独裁を続けてきた自民党政権に他なりません。その自民党政権時代につくり出された少子化問題を自民党が解決できると考える方が愚かなのです。
この少子化問題以外に、怒濤のごとく押し寄せる物価高、新自由主義のためにほとんど上がらない賃金、したがってどんどん苦しくなる生活。一方、マイナンバーカードで続出する問題と、そのマイナンバーカードを担当する世襲政治家である厚労大臣の加藤と担当大臣の河野。しかし、結局、そのマイナンバーカードの問題は真摯に対応されずに、国民の不安と疑念は放置され、であるのに政策はその世襲政治家によってゴリ押しされていく。
また、キシダによって明らかな軍国化が進められ、増税が言われる。それを進めるキシダは世襲3世、防衛大臣派の浜田も世襲、財務大臣も言うまでもなく世襲。
世襲政治家によってゴリ押しされ、しかし、成果をまったく出していない世襲政治。日本は民主主義国であるのに特権階級化した世襲政治家によるゴリ押し政治が横行しています。まったく、日本の政治は世襲政治家によって占められ、99.9%の主権者国民が主体とはなっていません。

このような政治、社会、経済情勢において、キシダ親子の特権階級意識丸出しの写真が世に出たということであるわけです。
本ブログ『先週の足立区議選挙の結果はある意味当然ではないだろうか 』(2023年5月27日)で引用した5月27日の毎日新聞の記事に掲載されていた先の足立区議選挙において自民党区議が有権者から言われた不満の声は以下のものでした。


選挙期間中、「物価高騰の中、自民の景気対策はこれで良いのか」「税金が高く将来が不安。生活が苦しい」といった不満の声を何度も聞いたという。

・ 『7人落選の衝撃、言葉失う自民区議 衆院選に影響も 東京・足立区 』(2023年5月27日 毎日新聞)



これが世間の声なのです。そして、そのようなときに、キシダは自身が映っている年末の忘年会の写真について、私的な場所で撮影していて『公的なスペースで不適切な行為はないと思う』と述べて、問題なしと言ってしまったわけです。キシダは、政策において結果を出しておらず、国民生活は苦しくなる一方なのに、特権意識丸出しの写真が世に出て、それを『問題なし』と言い切ってしまったわけです。この発言を聞いていて、これでは多くの国民との意識の差・ギャップが広がるばかりだと正直思いました。多くの国民はこのキシダは『自分たちの気持をわかってくれない』ときっと思ったことでしょう。やはり、世襲政治家の意識、特権階級意識丸出しの意識が、このようなギャップを多くの国民との間に生み出すのだなと改めて思いました。

・ 『首相 公邸でみずから写った忘年会写真 “私的な場所で撮影” 』(2023年6月2日 NHK)


今朝のモーニングショーでは、この世襲問題などについて、元テレビ朝日記者で政治評論家の細川隆三氏が出演していました。同氏の父親は政治評論家の細川隆一郎氏、大叔父は政治評論家の細川隆元氏、妹は政治ジャーナリストの細川珠生氏で、まさに政治評論家一家のお生まれです。政治評論家に世襲ということがあてはまるかどうかはわかりませんが、ここまで来ると『家業』というレベルと考えますし、人脈は代々引きつがれたものがあるのではないかと考えます。
ただ、この番組での細川氏の評論を聞いていると、ちょっとムキになって世襲政治家などを擁護しているのではないかと思う部分があったと感じます。そして、その発言は、かなり無理があったと感じましたし、そこに公理・万民の利益を感じず、世襲政治家などの擁護だけではなく、単に自己弁護になってしまっていると私には聞こえました。
この番組の午前9時19分頃に、細川氏は、以下のような発言をしていました。


二世の政治家の方ですけどね、ボクは何人も知ってて、よく話しをするのですけども、彼らが言うのは、七光りだろうがね、十四光りだろうがね、使えるものは使おうよ。それでいいじゃん。ボクも含めてね。スタート地点からもそうだし、今もそうだし。使えるものは使えばいいじゃないか。だけど、その分ね、がんばんなきゃダメだよな、って、いつも話しているんです。政治家の場合は、がんばるというのは、国のため、国民のために働くということでしょ。




この発言を聞いていて、生きてきた境遇が同じ世襲同士は意見も合うし、関係性ができやすく、またかたまり安く、そうやって必然的に特権階級ができていくのだろうと率直に思いました。そして、そのようなサークルに入っていることも一種のステータスと感じる部分があるのではないかと考えます。そういう特権意識が細川氏の言葉ににじみ出てきていると私は感じました。
現状の世襲問題のポイントは、一重に公権力の世襲化が特権階級化し、権力の私物化が起きているということです。キシダ親子問題の核心はまさにそこにあります。これは、裏返せば、この世襲政治と多くの主権者国民との意識や立場・環境に大きな乖離・格差が生じていることを意味します。このことが公邸での写真問題に現われ、キシダの息子を秘書官に抜擢したことにも現われているのです。権力の私物化。だから、結局は更迭せざるを得なかったわけです。
これからは、世襲政治家や2代目、3代目は大きな壁にぶつかると考えます。これからは世襲や2代目、3代目ということが不利益になっていくのではないかと考えます。

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プロフィール
片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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