裸の王様? | |
[日本の政治] | |
2016年4月24日 23時48分の記事 | |
本ブログ「裸の王様?」(2016年4月22日)の続きです。
そんな状況を彷彿とさせる記事が以下のように出ています。 「日本のアベノミクスを世界のアベノミクスへ―安倍晋三首相」(2016年4月22日 財経新聞) 「日本のアベノミクスを世界のアベノミクスへ」というのは、さすがに驚きました。GDPは伸び悩み、一人あたりのGDPは世界で26位(2015年、USドル換算)で、米国の6割弱です。かつての勢いは全くありません。労働人口の4割は非正規雇用で、労働環境は悪化し、所得は伸びない、可処分所得は減り、消費は悪化の一途をたどっています。一方、企業は堅調かと言えば、シャープは台湾の企業に買われ、東芝はメタメタです。三菱自動車もひどい状況です。その他、経済における悪い数字は枚挙に暇がありませんが、今後、小売り、特に東京のデパートなどでも売り上げが確実にマイナスになっていくでしょう。 しかし、株価はなんとなく高い水準にあるようですが、実態との乖離を感じる人は非常に多いでしょう。 この安倍首相の発言が行われたのは、「B7東京サミット」というものですが、世界中の商工会議所や経済団体が集まった会議です。即ち皆、企業経営者です。そもそも、ここで大きな疑問なのですが、「アベノミクス」とは企業経営者のためのものなのでしょうか。国民のためのものではないのでしょうか? 国民のためのということが非常に希薄なのが非常にきになります。 雇用なき経済成長、購買力なき社会の出現、そして資本主義の終焉 また、労働人口の4割が非正規雇用で労働環境が悪く、所得が伸びず、必然的に可処分所得は減り消費が伸びず、GDPも伸び悩み、企業も業績が上がらない、しかし、株価だけが不思議と少し高いのが、アベノミクス3年の結果ですから、このようなものが、世界的に行われれば、どうなるのか? 考えれば、その結果が大変なことであるのがよくわかります。労働者に負担を押しつける正当な雇用なき経済成長があり、それは購買力なき世界(社会)の出現を意味します。そして、これは資本家が生産手段を独占して生産することの意味がなくなるということを意味します。買えないのに、つくっても売れるはずがないということです。今の日本と同じです。アベノミクスが世界に広まれば資本家も労働者も意味を喪失する、つまり資本主義の終焉と言うことになるのです。新自由主義者である安倍首相の経済政策の失敗はまさにこのことに原因がありますが、この行き着く世界は必然、このようになるのです。そして、このような世界が長く維持されることはありません。資本主義を終焉させるのは、共産主義でも、社会主義でもなく、資本主義(さらに純粋化した新自由主義)そのものなのです。これがわかっていないのです。だから、このような発言が疑問もなく出されるわけです。TPPを疑問もなく推進するのでしょう。しかし、笑われてしまうレベルのお話しです。 しかし、一方で世界は既にこのことを考え始めている。だから、米国でサンダースが出てくるわけです。ローマ法王がグローバル資本主義や新自由主義を批判し、弱者の社会的包摂を唱え、正当な賃金の支払いを唱えるわけです。 そのような世界において、今さら上記のようなアベノミクスの本質が明らかであるのに、世界のアベノミクスと言ってしまうのは明らかに稚拙でしょう。世界からそう確実に見られると考えます。このようだからTPPを血眼になって推進しようとするのでしょうが、日本がこれからの世界の動きから取り残される可能性は非常に高くなっているものと考えます。 しかし、成果を上げているとはお世辞にもいえないアベノミクスを世界のアベノミクスというように論理を展開させるところに、安倍首相のパーソナリティーの特徴を示すものがあるのではないかと考えます。これは非常に注目すべきことでしょう。また、政治家であるのに、世界において、社会において、国において企業の方しか見ないという偏った視点が明らかです。社会全体を見ていないのは明らかでしょう。安倍首相を支持している人も実のところ省みられていないのではないかと考えます。いずれにせよ、このような政治は非常に偏っていますので、畢竟、社会や国にゆがみを生じさせます。それがかなり深刻なレベルまで今後、達することと考えます。 誰も諫言しないのでしょうか? できないように思います。ただ、調子よくあわせる人は多いのでしょう。そういう人々を佞臣と呼びますが、佞臣に囲まれたときリーダーは裸の王様になるのです。そのことを上記の記事は非常に鮮明に表しているものと考えます。 | |
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