時給1000円目標は『民主が本家』 | |
[日本の政治] | |
2015年11月28日 23時53分の記事 | |
民主党の枝野幹事長が、11月25日、最低賃金の全国平均を1000円(時給)とする目標を安倍首相が表明したことについて、本家は民主党だと述べたと報道されています。それはそうでしょう。民主党はそもそも労働組合を背景にした政党ですから当然といえば当然です。しかし、この3年間、この労働者政党という側面を軽視してきたのも事実でしょう。だからこそ根無し草のように、立ち位置がはっきりしない存在になったのです。ただ、このような発言が出てきたことは良い流れと考えます。自らのアイデンティティをしっかりと踏まえることは日本の政治にとってもプラスになることです。 「時給1000円目標は『民主が本家』…枝野氏」(2015年11月26日 読売新聞)
2012年12月16日の衆議院総選挙で自民党が政権に返り咲きましたが、その翌日から労働者のケアをしっかりとすべきだと申し上げてきました。それは、選挙の結果、政府がマクロ経済政策をとることが決定的になったからです。つまり、マクロ経済政策においては労働者の給与が上がること、つまり国民の可処分所得が上がることが肝になるからです。市場にお金をどんどん出す政策をするわけですから、国民一人一人にお金が回らなくては意味がありませんし、景気も良くなるはずがありません。スタグフレーションになる可能性が出てきます。市場でお金の流れが滞り国民一人一人にお金が回らなくなるのがデフレですから、脱デフレとしてはここがポイントなのです。 しかし、安倍政権のこのことに対する対応は実は、結構、遅かったのです。政権が発足して4ヶ月くらいかかっています。本当は政権が発足して翌日からすべきなのは当然ですが、動かなかったわけです。 そして、実際、この3年間、労働者の給与を上げろと掛け声は大きいですが、税制をドラスティックに変えるなど政策的な方向性は打ち出せていません。むしろ、派遣法の問題など労働者の環境は悪くなる方向に動いてるのが実情です。これで景気が良くなると考えるほうがおかしいでしょう。 自民党にはこの労働者の分野での施策は本質的にできないでしょう。上記記事に、「自民党の石破政調会長(当時)が10年10月の衆院予算委員会で、企業側の負担増を念頭に『アンチビジネス的政策はやめてもらいたい』」(2015年11月26日 読売新聞)と述べたとあります。この発言は自民党が野党時代のものですが、自民党は本質的に社会の全体を考えているわけではないので、このような発言になるのでしょう。恐らく、自民党では国民の可処分所得が上がる政策をこれからとることは不可能せはないかと考えます。池田首相の時に、所得倍増が目標にされ、その時は見事、高度成長を果たしました。しかし、現状、企業が儲かってから、国民へのおこぼれが発生するというトリクルダウンを本気で考えていますから、実質、成長軌道を作ることはムリだろうと考えます。 トリクルダウンはローマ法王が厳しく批判していますが、ほとんど資本家を儲けさせるだけのレトリックです。まず、国民の可処分所得が上がるようにして、はじめて次の成長の方向性が出てきます。 いずれにせよ、3年前からしっかりと労働政策や可処分所得への対策を政権が打っていれば、今頃、支持率は左うちわであったはずです。どんなに外交で成果が上がらなくとも、気にしなくとも大丈夫なレベルであったでしょう。政策実現が疑問視されたり、批判が続出している「1億総活躍社会」などと言わずとも、国民は活躍し、政権は安泰であったでしょう。 そういう意味で、安倍政権のこの3年間、来年の参議院選挙時であれば4年間の政策の検証がテーマとなるのが、現状の政治の本質的な状況でしょう。米国でも4年に一度、政権の政策の検証が必ず行われますから、当然、既に検証期に入っていると考えるべきです。政策的に新しい方向を示したり、目標を出して良いのは、2012年の政権発足時であって、現状は、まず3年前に掲げた目標が達成できたかどうか、そして、国民の生活がどう改善されたかを検証した後、未来へ向けて考えるべき時でしょう。このようなステップを避けては通れません。 現在の日本においてはこの労働者の問題を改善することが、ポイントです。与党はそれができないでいます。民主党も本来やるべきことをしてこなかったわけです。だから労働者の環境は悪くなり、そして、日本の経済は、上向いていはいません。この労働者についての政策をどこが真剣にやるかが、実は日本の政治においてポイントであり、しっかりと出来たところが、次の時代のイニシアティブを握ります。 | |
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