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現状認識できないときは滅ぶのみ
[日本の政治]
2016年4月28日 23時56分の記事

麻生財務大臣が、今回の熊本地震は大震災ではないと4月26日の衆議院財務金融委員会で答弁したと報じられています。答弁の言い回しは「今の段階で」(大震災として)「対応するつもりはない」というもので、政治的な発言という側面はあるのかもしれませんが、現状に対する認識としては、大震災ではないからそれに準じて対応をしないと言っているのですから、おかしいのは言うまでもないことでしょう。既に起きてしまったことが、今は大震災ではなく、いつか大震災になると言うことはおかしいでしょう。熊本地震に対してこれと同様な発言は官房長官もしています。

「熊本地震、今の段階で大震災として対応するつもりない=麻生財務相」(2016年4月26日 ロイター)

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政府は、激甚災害として今回の熊本地震による災害を、遅まきながら指定しました。これは熊本地震によって大災害が発生したということです。また、政府は熊本地震の被災者への措置として今回の地震を「特定非常災害」に28日の閣議で指定しています。特定非常災害に指定されたのは、阪神・淡路大震災、新潟中越地震、東日本大震災ですから、今回の熊本地震が大震災であるのは間違いないでしょう。一方で政府はそのような認識を既に示しているわけです。閣僚の発言を見る限り既に迷走している状況と言えます。
大震災として認定することが、来年4月の消費税増税実施の判断に関わるから財務大臣としてはそう表現できないと言うことなのでしょうか。そのような判断と推測しますが、このような思考の方向性ができたのは、安倍首相がリーマンショック級の金融危機があるか、大震災級の災害があれば増税の判断はしないという趣旨のことを年始来述べているからでしょう。しかし、そもそもこの選択の条件は馬鹿げたものです。
消費税がそもそも無害という認識があるのかもしれませんが、間違いなく大きな問題をはらんでいます。このことは本ブログで何度も指摘してきました。
実際、消費税を5%から8%にあげただけで消費の落ち込みはひどい状況になっていてどうしようもない状況にあります。このことは事前に予測できたことです。これは現在も続き以下の記事のように先月の実質消費支出が前年同月比で5.3%落ちています。さらに昨年の3月の実質消費支出は前年同月比10.6%マイナスですので、一昨年から比べたら大変な落ち込みをしています。既に実質消費支出はスパイラル的に落ち込んでいます。

「3月の実質消費支出5.3%減 市場予想超すマイナス幅」(2016年4月28日 日本経済新聞)

この上に、非正規雇用を増やす政策をし、なおかつ労働環境を政策として悪化させていますから、所得は確実に減り、可処分所得が確実に減っています。したがって、金融緩和や積極財政政策をやっても経済環境はどうにもならないわけです。完全に経済政策が失敗しているわけで、今後、このスパイラルは確実に続きますし、消費税を10%に増税すれば、クルーグマン教授が言うように日本経済は確実に壊滅するでしょう。
今や本当に人々に直接お金を配るくらいしか経済を立て直すことができない状況ですが、そのような政策をしないと言うことなら、消費税は5%もしくは3%へ減税、また非正規雇用をなくす政策や労働環境を改善し所得が増える法制度、税制などを早急にしなければならない状況です。
つまり、消費税を来年増税すれば、リーマンショック級、または大震災級の大ショックが日本を確実に襲うことになりますので、そもそも上記のような消費税増税の判断の条件は馬鹿げているのです。
もう既に8%への消費税増税で経済はガタガタになっていますが、政府や日銀の景気判断は、そのことを認めているようには思えません。政治的な判断があるのでしょうが、現状を認めているわけでないのは明らかなので、これでは適切な政策は何時になっても取られることはないでしょう。
このことは熊本地震に対する対応も同じですし、昨日、取り上げた原発についても同様です。外国人はこれが日本の一番の悪いところと思っているでしょうが、私もそう思います。このような思考は、破滅的な状況なるまで続きます。それは状況に対する判断が優先されるのではなく、個人的な保身の論理にその根拠があるからです。終戦末期も全く同じで、最後は一億総玉砕と言い、宮城を占拠するという暴挙になっていきます。
このように政府の認識と現実とにギャップがあるときは、現状認識力の低下だけではなく、その他に利害の問題がある場合があります。かつて、先の大戦で、昭和19年初頭くらいから、敗戦の認識がある一方で、そのことを見越して資産の海外逃避が行われたと言われています。丁度、それ以降、日本人の犠牲はものすごく増えていくのですが、このようなことが現在も行われている可能性は考えておくべきでしょう。犠牲になるのは国民で、国民が犠牲になっても良いと考える人々がいるのです。これと同じようなことが行われる可能性はあり、それは戦前・戦中と同じような人々が政治を行っていることを意味するからです。
消費税増税は民主党政権の時に民自公の連合でなされましたが、それが行われたのは東日本大震災で日本が苦しんでいる真っ最中に進められています。そもそも、このような状況で進められていますので、日本国民がどのような状態かということも、またこの増税によってどのような状態になるかということも、政府にも、政治家にも関係はないのでしょう。そこにある判断は良くて財政状況でしょうが、日本国民の状態が悪化すれば、その財政状況を改善させることは当然、できなくなります。これは子どもでもわかることです。つまり、このことを本当に判断しているのは、日本国民とは関係のない人たちであるわけです。消費税についての議論はそれほどまで頓珍漢な議論をしていますし、そのことがわかっていない与野党とも政治家が多すぎると考えます。
上記、日本経済新聞の記事では、3月の消費の落ち込みが市場の予想を超えたと書かれていますが、市場なるものはそもそも判断できるのかと考えます。市場は何を予想しているのかとも思いますし、結局は何もわかっていないと言うことなのだろうと考えます。

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1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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