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パレスチナ・イスラエル情勢についていかに考えるか その11
[日本の政治]
2023年10月31日 23時55分の記事

本ブログ『パレスチナ・イスラエル情勢についていかに考えるか その10』(2023年10月30日)の続きです。

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10月中旬の記事を振り返って観ましょう。
下記ロイターの記事には、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)が、イスラエルのガザ避難勧告は、民間人の強制移送に当たり、国際法に違反する可能性があるとの見解を示したと報じています。

・ 『イスラエルのガザ避難勧告、国際法違反の可能性=国連 』(2023年10月17日 ロイター)


イスラエルはガザ地区を包囲し、食料も、水や電気などのインフラをストップさせていました。まさに映画『トータル・リコール』の世界ですが、普通にイスラエルのやっていることは、国際法違反どころか『人道に反する罪』でしかありません。まったくひどい。

・ 『電気も水も止まったガザ、医療崩壊の危機 人道回廊の設置が焦点 』(2023年10月12日 朝日新聞)


是非、以下の読売新聞と毎日新聞の記事をご覧いただきたいと思います。長くはないのですぐに読める記事です。この二つ記事には、イスラエルによるガザ避難勧告によって、南部に避難しても、その避難先での極めて劣悪な状況が報じられています。

・ 『病院は廊下まで負傷者、ガザ避難民「どうしたら生き残れるか」…パン購入に4時間待ち 』(2023年10月20日 読売新聞)

・ 『「ガザに戻った方がまし」 避難先でも続く空爆、市民の日常 』(2023年10月20日 毎日新聞)


読売新聞の記事に書かれていることを以下に抜粋します。


主婦ラナ・ガラバウワイさん(38)は、イスラエル軍から避難するよう電話を受け、家族や近所の親戚ら15人で避難してきた。子ども2人を抱え、妊娠もしている。ガザ南北を走る幹線道サラハッディーン通りを8キロ歩いたところで、羊を載せるトラックが通りかかり、荷台に乗せてもらった。避難中、後ろを走っていたトラックは空爆を受け、数十人が死亡した。
 2部屋の小さな家を借りたが、15人では狭すぎる。床に縮こまり、重なり合うようにして眠る。水が出ないため、トイレの水も流せない。ガラバウワイさんは「想像を絶する生活が続いている。どうしたら生き残れるか」と嘆いた。

・ 『病院は廊下まで負傷者、ガザ避難民「どうしたら生き残れるか」…パン購入に4時間待ち 』(2023年10月20日 読売新聞)



少しこの状況を想像して考えてみてください。100万人の人々が避難して、その避難先には水がなく、トイレも使い物にならなければ、どれだけ劣悪な環境になるかを。汚物だらけになる。その上に満足な食料も飲料水もない。年齢が若ければ耐える体力があるかもしれませんが、高齢者では命に関わる状況です。否、これだけの劣悪な環境では年齢に関係なく命に関わる状況です。これは、軍隊が武器で殺すことではなくても、立派な殺人、虐殺です。

・ 『ガザ避難民、100万人超に 国連「未曽有の大惨事」 』(2023年10月16日 AFP)


毎日新聞の記事に書かれていることを以下に抜粋します。


だが南部の状況は「最悪だった」。1家族用の家に4家族、30人が住み、アシュラフさん一家は、1部屋に10人がすし詰めとなって過ごした。マットレスや毛布はなく、夜は床に横になるしかない。

 イスラエル軍の空爆は南部でも続いていた。赤ん坊は泣き、子供たちはおびえて眠ることができない。電気やインターネットがないため、ニュースも見られない。どの地区が空爆を受けているかすら分からなかった。翌日、アシュラフさんは水や食料を探したが、街は人であふれており、全く入手できなかった。
 「どうせ空爆されるなら、戻った方がましだ」。アシュラフさんはそう決断し、再びタクシーでガザ市に戻った。自宅周辺は空爆が激しく、現在は別の友人宅に間借りしている。インターネットは時々つながるが、状況は日々悪化している。ハマスがガザを支配した2007年以降、イスラエル軍は何度もガザを空爆しているが「今回は回数が最も多く、爆弾の威力も強い」と感じている。

・ 『「ガザに戻った方がまし」 避難先でも続く空爆、市民の日常 』(2023年10月20日 毎日新聞)




この二つの記事を読むと心の底からのイスラエルに対して怒りを覚えます。現在のイスラエルはかつてナチスがユダヤ人に対して行なったこととほぼ同じことをしている。これは絶対に許されない。
上記の読売と毎日の記事には、パレスチナ人が避難中に空爆されていることや避難先でも空爆が続いていることが報じられています。要するにイスラエルが避難しろと言っているのに、その避難中や避難先でもイスラエルが攻撃しているということなのです。これほどひどいのかイスラエル人というのは?
そして、以下の共同通信の記事では、イスラエル軍が航空機で『ガザ北部の住民に避難を求めるビラをまき、避難しない場合はテロ組織の仲間だとみなす可能性があると警告した』と報じられています。
ちょっと待ってください。イスラエルはガザ北部から住民に避難しろと言っておいて、その避難中及び避難先で空爆を繰り返し、ガザ北部に戻ってくる人々もいるわけです。そう言う中で、ガザ北部から避難していないものはテロリストとして攻撃対象にすると言っているわけです。これでは完全な虐殺を目的としている行為ではないですか。北部から住民に避難しろと言って、人道主義に見せかけて虐殺を非公式に宣言し、それを肯定しているだけです。こんなことが許されるのか?

・ 『イスラエル軍「攻撃強化」 ハマス、人質解放準備主張 』(2023年10月22日 共同通信)


これがパレスチナ国家は絶対に認めないと言っているネタニヤフのイスラエルがやっていることなのです。
このネタニヤフは、2015年10月20日、ナチス・ドイツによるユダヤ人大量虐殺(ホロコースト)は、もともとはヒトラーの考えではなく、当時のイスラム教の宗教指導者・大ムフティーだったパレスチナ人が、ヒトラーに進言したため生じたと発言し、その後、この発言に対して、イスラエル内外で批判が生じ、イスラエルの歴史家からも『ヒトラーと宗教指導者が会談する前からユダヤ人の虐殺は始まっていた』(2015年10月22日 NHK)と報じられています。このことは本ブログ『ホロコーストに関するネタニヤフ首相の発言の背景にある事情 』(2015年10月27日)で取り上げました。
このネタニヤフ発言から考えれば、当然、ホロコーストの仕返しにパレスチナ人を同じ目に遭わすという考えになっていてもおかしくはないと考えます。そうなると、パレスチナ人の大量虐殺がイスラエルによって今後なされれる可能性は非常に高い。21世紀になって、ユダヤ人によるホロコースト。はっきり言えば、すでにパレスチナ人への虐殺は始まっています。
さらに言えば、ネタニヤフは、ナチスによるホロコーストは当時のイスラム教の宗教指導者・大ムフティーのために生じたと考えているわけですから、ネタニヤフがホロコーストの報復をイスラム全体に向けている可能性は非常に高いと考えます。このネタニヤフ・イスラエルの反イスラム感情は、中東全体に向けられ、特にイランとの戦争が視野に入っていると考えます。本ブログで掲載してきたイランのParsTodayやサウジアラビアのアラブニュースが報じてきた、10月7日以前の数ヶ月間におけるパレスチナ人へのイスラエルによる虐殺の本質は、そのための挑発と考えています。
以下の記事では、戦争屋バイデン(ハリス)の米国が、国連安保理にガザ情勢についてパレスチナ自治区ガザ情勢を巡りイスラム組織ハマスを非難し、イランをけん制する決議案を提示したと報じていますが、これは、ネタニヤフ・イスラエルの反イスラム感情が、中東全体に向けられ、特にイランとの戦争が視野に入っていることの証左と考えます。
当然、このことは今後の中東大戦(第三次世界大戦)に繋がっていきます。8年前からザ・フナイで書いてきた中東情勢と第三次世界大戦はロシア・ウクライナ情勢を経て、今や分析通りに現実味が極めて高まり、終末的な大変な状況に私たちは直面しています。これが本ブログ『パレスチナ・イスラエル情勢についていかに考えるか その8 』(2023年10月26日)で私が指摘した『一つの戦争』なのです。

・ 『米、ガザ情勢で決議案を配布 国連安保理、18日に拒否権行使 』(2023年10月22日 共同通信)


現在の中東は、時を超えて、ネタニヤフのイスラエルという中東の新たなナチスが生まれたと言っても過言ではない状況と考えます。ナチス・ドイツのホロコーストによって、大量虐殺されたユダヤ人が、同じことを21世紀になってパレスチナの人々に対して平然と行なっていることは、歴史の皮肉を超える惨事で、そこには明らかな『歴史の闇』を感じさせます。その歴史の闇に世界史の真実があるのでしょう。


このようなパレスチナに対するイスラエルの姿勢を以下の記事のように、国連の専門家がイスラエル当局は基本的人権を圧殺し、抵抗勢力を鎮圧するために大規模な投獄を行っているとしてパレスチナをイスラエルによる『野外刑務所』と表現しています。『人権理事会の報告書によれば、1967年以来、12歳の子どもを含めた80万人以上のパレスチナ人が逮捕・拘留されている』というのには、さすがに驚きます。

・ 『イスラエルの占領がパレスチナを「屋外刑務所」に変えた、と国連専門家が指摘 』(2023年7月11日)


『パレスチナ・イスラエル情勢についていかに考えるか その12』(2023年11月1日)へ続く。

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内容は今まで見たことのない国際情勢と世界史の分析で、2024年の世界情勢の根本要因が書かれています。この本とザ・フナイの連載をトータルで読むと、ロシア・ウクライナ情勢、パレスチナ・イスラエル情勢及び中東情勢、東アジア情勢など現在の世界情勢の本質が見えてきます。もちろん、日本国内の情勢も見えてきます。内外情勢は決して別々ではない。
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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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