世界恐慌は日本のせい | |
[日本の政治] | |
2016年5月29日 23時17分の記事 | |
先日の伊勢志摩サミットにおいて、議長国である日本の安倍首相が「世界経済はリーマン・ショック前に似ている」(2016年5月28日 毎日新聞) との景気認識を示し、それに対応するための財政政策の強化を呼びかけたことに、批判的な論調が海外メディアなどから出ていますが、至極当然でしょう。 「<伊勢志摩サミット>「リーマン級」に批判相次ぐ」(2016年5月28日 毎日新聞)
以前、本ブログ「金融問題における二つの視点」(2016年1月12日) で世界的な株価などの暴落の危険性があると書きました。既に半年前です。ブルームバーグのFRBウォッチャーである山広さんなどは2年以上前からこのような危険性を指摘しているわけです。 1月にこのことについて書いたのは、そのような懸念があるときに、GPIFの株式運用比率を上げることを安倍政権が実行したことは問題であるという趣旨です。そもそもそのような懸念があり、それも株価が高値圏にあるときに始めているのですから、それは損をすることが約束されているようなものです。既にGPIFの損失は国会での議論となっている大問題ですが、この株式運用比率の拡大は明らかに大きな判断ミスですし、既に責任問題であると考えます。日経平均も一時の高値圏から4,000円、5,000円と大きく落ちているわけです。 このような株価などの動きは当然、1年前でも予測の範囲内です。それを今さら云々という話ではないでしょう。それに安倍政権自らの失策でGPIFの損失が一体いくらになっているのかわからない状況です。そして、政権として既にこの変動への対処は完全に遅きに逸しているのです。 そのようなことを今回のサミットで安倍首相は言っているのですから、責任回避とともに全くお気楽な発言であると考えます。そして、お気楽と考えるのは、この発言にもう一つのポイントがあるからです。 世界の首脳が集結するサミットで、現状はリーマンショック前夜であると言ってしまえば明らかにそれはパニックを誘引する可能性が大きくなります。このような危険性があることをこのような緊張感なく発言するところに大きな問題点があります。各国の中央銀行総裁や蔵相のコメントが株価や為替相場に影響することは、常識中の常識ですが、それを世界的に株価などが急落する前夜であると世界の主要国のトップが言えば、それは大変な事態になるのは明らかです。 もし、週明けから世界的な暴落がはじまれば、それはこのサミットで安倍首相が音頭をとったことが引き金になったと世界的な評価になるのは必定でしょう。これは日本にとって非常に大きな汚点になります。認識としてあっても言ってはならないことで、表現の仕方はいくらでもあったでしょう。政権の誰もこのことに疑念を持たなかったことに非常な危機的状況を見ます。 しかし、一方で、反対に大暴落が起きなければ、認識が間違っていて、日本はオオカミ少年ということになります。これもまた日本にとっては汚点になります。大暴落が起きなかったのは、サミットで対処ができた言うことには実はなりません。それは、この記事にあるとおり各国の状況や主張はそれぞれ異なっているからです。IMFまでがリーマンショック前夜ではないと言っているのですから、大暴落が起きなくて当然と言えるわけです。 実のところ、どちらに転んでも極めて日本にとって大きな汚点になるのが今回のサミットの結果なのです。 財政出動に関しても、安倍政権はかけ声だけで、中味は緊張感やリスクを度外視している惨憺たる内容ですが、これらの状況を見ると明らかに官邸が迷走していると考えます。広告代理店的な政策運営で世界においても切り抜けられると勘違いしているのではないかと考えますし、また政策を吟味する人間がいないのではないかと考えます。安倍政権の政策は常に二律背反であることが特徴ですが、その本質は考えることができないで、一致した見通しを立てられないと言うことです。これまでは状況が味方してきましたが、これからは非常にこの政策運営は危険ですし、官邸が迷走していると考えられるので、これ以上、この状態を続けると日本にとっては非常に危険な主因になるものと考えます。 | |
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