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即刻、オリンピック再延期を決定せよ ご懸念の意味を考える (18)
[日本の政治]
2021年7月23日 19時52分の記事

6月24日、宮内庁の西村長官は、陛下にはオリンピック・パラリンピック開催と新型コロナウイルス感染拡大についてご懸念があると拝察すると、発言しました。丁度一ヶ月前です。このような『ご懸念』に接したのは私は初めてです。申し上げるまでもなく、これは日本の政治において最大のことと考えます。そして、その最大であることは、現下のオリンピック・パラリンピック開催に関わる政治問題だけではなく、今後10年から20年の日本の歴史にとって最大ということと考えます。

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このご懸念は、以下の記事のように西村宮内庁長官の発言を通じてなされています。


宮内庁の西村泰彦長官は24日の定例記者会見で、天皇陛下が新型コロナウイルス感染状況を大変心配されているとした上で、「国民の間に不安の声がある中で、ご自身が名誉総裁を務めるオリンピック、パラリンピックの開催が感染拡大につながらないか懸念されていると拝察している」と述べた。

「天皇陛下、コロナ感染拡大を懸念 五輪開催で宮内庁長官」(2021年6月24日 時事通信)


西村長官が陛下の了解のもと、このような発言をしていることは明らかと考えます。少なくともそう考えるのがもっとも妥当で、陛下は、新型コロナウイルス感染症(国民の命)とオリンピック・パラリンピック開催(政治問題)に強いご懸念があるわけです。そして時系列的には、この西村長官の発言が、6月22日に陛下に対するスガ氏によってなされた五輪開催についての内奏へのご返答であることも明らかと考えます。
恐らく、今回の『ご懸念』は、それまでにスガ氏などに伝えられてきていたのに、スガ氏らが無視をするからこのような形のものになったと考えます。ですので、今回の事態は日本の政治にとって大変な問題が生じていることを示しているものと考えます。
ただ、教養のない当のスガ氏本人とその周りは、まだその大変さにまったく気がついていないことと考えます。丸川氏なども自分でどのような問題を起こしているかまったく気がついていません。実におめでたいことなのですが、いずれにせよ、このことは永久に残ります。それほど重いことなのです。

「天皇陛下に菅総理から『内奏』 五輪報告か」(2021年6月22日 日本テレビ)

陛下は、もちろんその重さをご存じのことと拝察します。だからこそ、今回のようなことは、相当なことがない限りなされないことであり、宮内庁長官の『拝察』という『ご発信』になっているわけです。そして、この『ご発信』は今後の日本にとって極めて大きな意味を必然的に持ちます。だからこそ、言うまでもなく、私たちは、その意味を考えることをしなければなりません。
それは、保守として当然そうしなくてはなりませんが、さらに民主主義社会の一員としてそうしなくてはならないのです。それが陛下のご懸念のご本意と拝察しています。

なぜ、ご懸念を発せられたのか?
ご懸念を発せられたその理由は端的に二つと考えます。
一つは新型コロナウイルス感染症の感染拡大による国民の命、人びとの命に関わることへのご懸念です。昨年から天皇皇后両陛下が公にお姿を見せられるとき、必ずマスクをされてお出になられています。両陛下を真剣に見つめるのなら、必然、新型コロナウイルスが大きな問題であるというご認識をお持ちになっていることが普通にわかるはずです。
ですので、ワクチンに関しても、天皇陛下をはじめ、上皇陛下、上皇后陛下をはじめ天皇家の御方々はしっかりとなされています。
そうなると、新型コロナウイルスはウソだとか、カゼだとか、マスクはするな、ワクチンするなという人びとは一体何なのでしょうか? はっきりと言えることは、天皇陛下のご意向を無視する人びとなのですが、実にそういう輩が保守と自称する人びと(本当は単なる右翼なのですが)にいるわけです。その輩を私はずっと問題視してきたのです。

自公政権最大の失政
ご懸念のもう一つの理由は、国民において、現下の新型コロナウイルス感染状況でのオリンピック・パラリンピック強硬開催への反対が半数を超えていることです。そのような世論調査結果がずっと出ていますし、本ブログで取り上げたように都議会選挙でもその傾向が顕著に表れています。これは大問題なのです。
なぜなら、天皇陛下はオリンピック・パラリンピックの名誉総裁だからです。国民の半数以上が今年の開催に反対しているのに、オリ・パラの名誉総裁としてその反対を押し切って大会を開催すれば、これは憲法第一条にある国民統合の象徴としての天皇という位置づけが完全に揺らぐことになります。だから、ご懸念を発せられているわけです。
やはり来年に再延期して、国民の大半が『平和の祭典・オリンピック』の開催を歓迎した上で、オリンピック名誉総裁の陛下が開会宣言をされることが、日本の政治においてベストであることは言うまでもないことなのです。
しかし、今年の強行開催によって陛下に関わることで国民を分断状態にしたのは、一重にスガ自民党政権の失政によるものです。完全に政治の失敗、それも歴史的な失政なのです。だから、歴史的な『ご懸念』となったわけです。これが無能のために生じたのか、それとも故意なのか? このことが今後、吟味されますが、いずれにせよ、大変な問題であるわけです。
そして、このような民主主義における天皇の地位に関わる大変な問題が政権によってつくられてしまったので、やむを得ずご懸念を発っせられたものと考えますが、それは日本国の憲法上、民主主義にあって当然のことと考えます。なぜなら、スガ自公政権のやっていることは、民意を無視し、日本国民を分断する非民主的蛮行であり、また民主主義政体における天皇の地位を毀損するものだからです。

ですので、とにかく今年の強行開催を中止し、来年へと再延期をすべきなのです。だから、私はそうずっと主張してきました。
陛下のご懸念の意味は基本的にこの二つと考えますが、あともう一つ、平和の問題があるものと拝察します。平和と戦争の問題に関わる重大事があるものと拝察します。このことは、これから起きてくることであると分析していますが、本ブログでもこれまで何度も取り上げてきています。だからこそ、何が何でも平和をつくり出していかなければなりません。



最終編集日時:2021年7月23日 19時58分

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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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