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〔助太刀兵法30〕 室の津奇譚(終章)(無料公開)
[【時代小説発掘】]
2013年10月13日 12時1分の記事


【時代小説発掘】
〔助太刀兵法30〕 室の津奇譚(終章)
花本龍之介 



(時代小説発掘というコーナーができた経緯)


梗概
 室の津名物のおちょろ舟で、月見と酒をたっぷり飛十郎と楽しんだ新兵衛は、次の日の朝思いがけない騒ぎに驚ろかされる。臨時に雇った槍持ちの権次が、とんでもない失敗をしでかしたからだ。本陣の薩摩藩の侍たちが、これを知れば無理難題を押し付けるのは目に見えている。新兵衛が前後策を考えているうちに、権助が本陣に乗り込んでしまう。後を追って新兵衛が駆けつけた時には、権助は無残な姿に変わっていた。罠に落ちた新兵衛は、伊集院たちと果し合いをする羽目になる。それを知ってやってきた飛十郎は、助太刀をかって出るが、はたして友の命を救うことが出来るのか? 美しい室の津の港を舞台に、またもや飛十郎の居合剣がうなりを上げる。  


 

【プロフィール】:
尾道市生まれ。第41回池内祥三文学奨励賞受賞。居合道・教士七段。
現在、熱海に居住している。



これまでの作品:
[助太刀兵法1]鎌倉しらす茶屋  
[助太刀兵法2]人助けの剣
[助太刀兵法3]白波心中
[助太刀兵法4]おとよの仇討 
[助太刀兵法5〕神隠しの湯
〔助太刀兵法6〕秘剣虎走り
〔助太刀兵法7〕象斬り正宗 
〔助太刀兵法8〕討ち入り象屋敷 
〔助太刀兵法9〕夜桜お七
〔助太刀兵法10〕夜桜お七 (2)
〔助太刀兵法11〕柳生天狗抄 (1)
〔助太刀兵法12〕柳生天狗抄 (2)
〈助太刀兵法13〉柳生天狗抄(終章)
〈助太刀兵法14〉山の辺道中
〈助太刀兵法15〉山の辺道中(2)
〈助太刀兵法16〉十五夜石舞台
〈助太刀兵法17〉五夜石舞台 (2)
〔助太刀兵法18〕大江戸人形始末)
〔助太刀兵法19〕大江戸人形始末(2)
〔助太刀兵法20〕大江戸人形始末(3)
〈助太刀兵法21〉尾道かんざし燈籠
〈助太刀兵法22〉尾道かんざし燈籠(2)
〔助太刀兵法23〕尾道かんざし燈籠 (3)
〔助太刀兵法24〕尾道かんざし燈籠 (4)  
〔助太刀兵法25〕 尾道かんざし燈籠(5)
〔助太刀兵法26〕尾道かんざし燈籠(6)
〔助太刀兵法27〕尾道かんざし燈籠(終章)
〔助太刀兵法28〕室の津綺譚
〔助太刀兵法29〕室の津奇譚(2)


猿ごろし




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【時代小説発掘】
〔助太刀兵法30〕 室の津奇譚(終章)
花本龍之介 



一 百姓の意地

 藤森新兵衛は、眠ったまま躰がいやに熱いことに気が付いた。胸に手を当てると、肌が汗で濡れている。
――これは、いかん。このぶんでは肌着を取り替えねばならぬ……
 中間の仲蔵を呼んで、挟み箱の着替えを持ってこさせようと思った時、遠くのほうから雷が鳴るような音がして、それが早い速度で自分にむかって近ずいてきたところで、新兵衛は目を開けた。敷き蒲団からのり出すような形で、新兵衛はうつ伏せになっていた。上掛けも箱枕も、部屋の隅に飛んでいる。
「新兵衛さま、お目覚めになっておられますか」
 遠雷だと思ったのは、廊下を駆けてくる柏木宮内の足音だったようだ。
「失礼いたしますぞ。ごめん」
 声と共に障子が引き開けられるのと、新兵衛がくるりと寝返りをうって躰を起こしたのが同時であった。
「どういたした。朝から騒々しいではないか」
「とんでもないことが、出来(しゅったい)いたしました」
 日頃は落着き払っている宮内が、青い顔をして肩で息をしている。
「権次めが、槍を忘れましてございます」
 寝起きのうえ、ひどい二日酔いである。話の筋が、よくのみ込めない。新兵衛は目の奥に痛みを感じて、親指と人差し指を瞼の上に置いて揉みはじめた。
「槍とは、誰の槍のことだ」
「これは、したり。もちろん新兵衛さまの槍でございます」
「……それがしの、槍?」
「槍持ちのくせに、主人の大切な槍を本陣を忘れてくるとは、まことにけしからぬことで」
 宮内は、苦り切った顔をした。
「あの槍を、本陣に忘れてきただと」
 ぱっと立ち上がると、新兵衛は廊下へ飛び出した。
「権次は、どこにいる」
 寺によくある造りで、長い廊下のむこうが広縁になっていて、その先が庭になっている。
「お会いになりたいと思いまして、庭先に控えさせてございます」
 庭園には築山と池があって、大きな庭石が点在している。その瓢箪形の池の傍で、権次はうなだれて両手を土についていた。
「人というものは、誰しも間違いをおかすものだ。怒らぬから、仔細を申せ」
 気持を押さえて出来うるかぎり穏かに言ってはいるが、膝に置いた新兵衛の両拳が細かく震えている。
「こやつ。最初は、うっかりして槍を忘れたから、ちょっくら本陣へいって持ってくるべえ。などと、のん気に申しておりましたので、それがいかに主人の名を汚す大事であるかを、いい聞かせましたところ、青菜に塩のこのていたらくでございます」
「権次の鬢(びん)が乱れ頬のあたりが青いが、まさか乱暴をいたしたのではあるまいな」 地面についた手に上に、ぽたぽた泪を落としている権次を、気がかりそうに新兵衛を見た。
「権次めは、相部屋の仲蔵に槍を忘れてきたことを話したらしく、騒ぎを聞いて駆けつけたときには、かなり殴られていたようでございます」
「いかようなことがあろうが、乱暴してはならぬ。痛くはないか権次、手当てはしたのか」
 新兵衛のいたわりの声に、権次は泣き声をあげて土に額を押し当てた。
「も、申しわけねえ。いくら本陣を引き払うのに、関札をひっこ抜いたり、幔幕をひっぱずすのに忙しくしてたとはいえ、槍持ちが主人の槍を忘れちゃあ言いわけならねえ大しくじりだ。おらも宮前村の権次といわれたひとかどの男だ。お願げえしますだ。どうか切腹させてくだせえ」
「たわけたことを申すな。切腹は武士の作法だ。きさまのような百姓が腹を切るとは、それこそ片腹痛いわ。打ち首ならともかく、切腹させろとは聞いたこともないぞ」
 宮内が、横目で新兵衛の顔色をうかがいながら、苦々しげに言った。
「権次、死なせろとは心得ちがいだぞ。たしかに藤森家にとっては、かけがえのない家宝の槍であるが。されど、たかが鍛冶師が造った武具にすぎぬ。人ひとりの命には、かえられぬぞ」
 新兵衛は、宮内を手で制しながら、さとすように言った。
「どうか旦那さま、おらを打ち首にして、その首と引きかえに家宝の槍を取り戻してくだせえ」
「む、それはよい思案かもしれませぬぞ新兵衛さま。権次めの首を持参すれば、さすがの薩摩の横紙破りどもも、素直に槍を引き渡すに違いありませぬぞ」
 宮内がいいことを思い付いたとばかりに、新兵衛のほうへ膝を進める。
「なにをいうか宮内。たった今、命にはかえられぬと言ったばかりではないか。それに悪いほうにばかり、考えることはあるまい。これ権次、槍はどこに置いた」
「へい。玄関を入ってすぐの、控えの間の長押(なげし)に掛けておきました」
「おお。あそこなら、もしかすると忙しさに取りまぎれて、島津の侍たちも気がつかなかったかもしれぬ。
よし、それがしが、これから行って確かめてみよう」
 意気込んで言った新兵衛を、宮内は気の毒げな顔をして見た。
「みどもも、それに気ずき、新兵衛さまが目覚める前にと、先ほどこの寺の小坊主を走らせて、控えの間の槍を見に行かせたばかりでございます」
「やはり、なかったか槍は」
 新兵衛は、ごくりと喉を鳴らした。
「あれば、権次めの過失はなかったことにして、出立の用意をいたしております」
 腕組みをした新兵衛は、泣きながら地面にうっ伏している権次を、しばらく眺めていた。
「宮内、これより衣服をあらためて本陣に乗り込み、島津のご家来衆と談判してまいる。案ずることはない。すんなりと槍を返してくれるかもしれぬ。そのほうたちは騒がず、ここで静かに待っていてくれ」
 新兵衛が立ち上がったとたん、庭に座っていた権次が何を考えたか、寺の門にむかって走り出した。
「まて、権次! 早まったことをするな。そのほうが行ったとて、槍は返してくれぬぞ」 呼びかける新兵衛の声にも、聞く耳を持たぬように権次は門を出ると、まっしぐらに本陣の方角にむかって駆けていった。
「やつらの狙いは、この藤森新兵衛だ。権次を止めろ!」
 叫びながら庭へ飛び降りようとする新兵衛を、宮内は後から強い力で抱き止めた。
「お待ちなされ。槍を忘れたのは、権次の手落ちでござる。いくら百姓とて、おのれの過失の責めを負う気持ちはあるはず。男の意地を立てようとする権次を、止めることはなりませぬ」
「離せ。宮内」
「いいえ、離しませぬ」
 ふたりが揉みあっているところへ、仲蔵が方丈のほうから歩いてくるのが見えた。
「これ仲蔵、なにをしている。早よう新兵衛さまを止めぬか」
「へい、すぐに」
 すぐさま駆け寄った仲蔵が、前から新兵衛の腰を押さえる。中間は荷物をかついで供をするのが仕事だから力は強い。いくら神道無念流の達者でも、刀が無ければどうにもならない。
「む、む……。わかった。もう権次は追わぬから、離してくれ」
「新兵衛さまの、おためと思ってお止めいたしました。無礼のほどは、おゆるしを」
 宮内と仲蔵が手を離すと、新兵衛は広縁の上に崩れるように膝をついた。
「そのほうらの気持は、ようわかった。ふたりとも下がってくれ。少し、ひとりになりたい」
 仲蔵をうながすと、宮内は気がかりそうに立ち去った。
 朝日が差し込んでいる。それが池の表面の、ちりめん皺のような漣(さざなみ)に、きらきらと反射して動いていた。住職の手入れがいいのか、塵(ちり)ひとつ落ちていない寺の庭は清潔であった。
 小鳥の囀りの声を耳にして、新兵衛は顔を上げた。抜けるように青い空に、白馬が駆けている形の雲がゆっくりと流れていく。
「殿は、今頃なにをなさっているだろうか。陣屋のお庭から、あの雲をご覧になられているかもしれない」
 雲の姿から、乗馬が好きな主君・板倉摂津守の顔を、新兵衛は思い浮かべていた。
「権次がいくら頭を下げようが、あの薩摩の先のり役どもは、けっして槍は返さぬだろう」
 独り言をいいながら、新兵衛の頭脳はめまぐるしく回転していた。
――江戸城の松の大廊下あたりで行き会った摂津守に、勝ちほこった顔の島津斎興が声をかける……
 新兵衛の脳裏に、その光景がありありと浮かんだ。
――これは、板倉どの。貴殿は、よいご家来をお持ちになりましたな。室の津の本陣で、先のり侍の藤森とやらが百姓を槍持ちに雇い入れ、あげくにその者が槍を置き忘れおった。は、はは、いやご心配なさるな。幸いその槍は、余の家臣がおあずかりしておる。わが屋敷に、いつでも取りにこられい……
 長袴をさばいて歩きかけた斎興が、にんまりと笑って振り返る。
――それにしても、武士の表道具たる槍を本陣に忘れるとは。武士道も地に落ちたとはこのこと。二万石の小大名とはいえ、情けないことでござる。摂津守どの、ご家来のしつけを、もそっとなさるがよい。あは、ははは……
 行きかう諸大名の好奇の視線の中で、手ひどくたしなめられた摂津守が、くやしげに長袴の膝を掴む指まで新兵衛の目に浮かぶ。
「これ、宮内! 着がえを持ってまいれ。権次では、らちが明かぬ」
 声を聞いて、宮内が次の間から姿をあらわす。
「これほどお頼みしても、新兵衛さまは本陣へむかわれますか」
「そうだ。考えてもみろ、宮内。権次があやまるのを見て、薩摩侍どもはなんと思う。このような下賤な者を、わびに差しむけるとは無礼千万と、怒りの火に油をそそぐようなものだ。やはり、ここは主人のそれがしが出むいて、礼をつくして頼んでみるしかないぞ」「そうでございますな。気がつきませんでした」
 宮内は、溜め息をついて言った。
「やつらのことだ。悪くすれば、権次を無礼討ちにするかもしれぬ。そうなれば、権次は死に損ということになるぞ。急げ、早く用意をいたせ」
 もどかしげに細帯をといて、汗に濡れた寝巻を脱ぎながら新兵衛は部屋へ入っていった。


二 槍持ちいじめ

 新兵衛があわただしく、熨斗目上下(のしめかみしも)と袴を身に付けていた頃―――。本陣の玄関先で、権次は土下座をしてうずくまっていた。
「こら、槍持ち。おはんの言うことば、よう聞きとれんかったぞ。もう一回、願いの筋ば申し立ててみんか!」
 式台の上で仁王立ちになっている、伊集院左近が大声で怒鳴った。刀を杖のように突いて、柄頭の上に両手を重ねて置いている。地獄の閻魔大王の左右に従っている赤鬼青鬼よろしく、二階堂と有村が式台に腰を掛けていた。
「へ、へい。槍を忘れたのは、この権次の落度でごぜえやす。藤森さまには、なんの責任(せめ)もねえ。ぜんぶ、おらが悪いんだ。なんだってするから、どうか槍を返してくだせえ」
 石畳に額をこすり付けるようにして、権次は頭を下げた。
「そうはいかんぞ権次。まず、おはんのような百姓を、わびにこさせた主人の性根が気にいらん。これは、ゆるせもはんぞ。のう二階堂?」
 にやにやしながら、伊集院は二階堂を見た。
「そうで、ごわんど。たかが五十石の軽輩者が、こげな男を武士の魂である槍を取りに寄こすとは、まっこと無礼きわまることでごわすぞ」
 二階堂が舌なめずりしながら、権次を睨みつけた。獣がつかまえた獲物をいたぶるような残忍な目付きである。
「ほう、おもしろか。なんでもするなら、おはん裸になって犬になれ。ふんどし一丁になって、くるくる廻って、わんと鳴け」
 有村義助が、尻馬に乗って権次をからかった。
「ようございますだ。犬でも猫でも、なんでもなりますだ。そんなことで槍を返してもらえるなら、お安い御用でごぜえやす」
「こら、儀助。おまんさあは、よけいな差し出口ばするな。この男なぞ、犬猫以下の生き物でごわんど。そげん者に犬になれといえば、喜んでやるにきまっとるではなか。だめだ、そげんことでは、ゆるすことは出来もはんぞ」
 伊集院が、大声で有村をたしなめた。着ている物を脱ぎ捨てて、犬の真似をしょうとした権次は、腹をすえたように三人を睨みあげた。
「じゃあ、薩摩のお侍がた。いったいどうしたら、おらに槍を返してくださるだ」
 伊集院は、血相を変えた権次を見て、いかにも楽しげに笑い声を上げた。
「は、はは。それを、おいどんらに問うのは、筋違いというものでごわんど。権次、わびに来たのは、おはんではないか。自分できめたら、よか」
 聞くなり権次は、どっかと大胡坐をかいた。
「ああ、そうかね。花も実もあるのが武士だと、思うとったが。薩摩の芋侍は、えろう違うということが、ようくわかっただ。藤森新兵衛さまのほうが、おめえたちより百倍も千倍もご立派なお侍だ」
 権次は、どこで手に入れたのか、真っ白な晒しの中から刺身包丁を抜き出すと、右膝に突き立てた。
「おう、腰抜け侍! 弱い者をいじめるしか、おめえたちは能がねえんだろう。おらは初めっから、腹を切るつもりで、ここへ乗り込んでるだ。どん百姓でも、おめえらと同じように赤い血が流れてるんだ。ようく見くされ」
「だ、だまれ。聞いておれば、おいどんらを薩摩の芋侍だと。もう、ゆるすことは、なりもはんど」
「腰抜け侍とは、ようも言うた。かんべんならんど、手討ちじゃ」
 式台から飛び降りた三人が、権次を取り囲む。それを見た権次が膝から包丁を引き抜くなり、腹にぐさありと突き立てた。頭上に刀を抜き上げた伊集院は、示現流のとんぼの構えから、目にも止まらぬ速さで左袈裟に斬り下げた。
「ぐわっ」
 権次の首の付け根から、勢いよく血が吹き上げる。傍に立って柄に手をかけていた二階堂の顔が、赤鬼のように血飛沫に染まった。
「おう、さすがは伊集院どん。水もたまらぬ、示現流の抜き斬りでごわした」
 真っ赤な顔で二階堂が、すかさず世辞を言った。
「なあに、たいしたことはなか。それよか二階堂どん、おはんの顔はこの男の血を浴びて、まるで鬼のことごわんぞ」
「む。血というのは、生ぐそうて気味の悪かものじゃ。中に入って洗い流してくるかの」 うつ伏せになった権次の躰を、ひと蹴りすると井戸にむかって歩き出す。
「即死でごわす。ぴくりとも動きもはん。さっきまで、あれほど吠えておりもしたが、犬も死ねば終わりでごわすな」
 伊集院は、傍にいる有村を見て顔をしかめた。
「儀助、おはん何を震えちょる。二階堂どんは赤鬼ごとあったが、おはんの顔色は青鬼じゃのう。薩摩藩の上士が、なんのざまぞ」
 権次の躰から流れ出した血だまりに、目をすえた有村の顔が蒼白になっている。
「情けなかぞ、儀助どん。そうか、おはんまだ人を斬ったことがなかじゃろう。よか機会じゃ。この男を試し斬りにしたらよか」
 伊集院は、死骸の後襟を掴んで、無雑作に引き起こした。
「介錯の稽古に、ちょうどよか。じゃが、斬り落としたら駄目でごわんど。皮一枚のこして斬り込み、首を膝の上に抱かせるのが、よか介錯ぞ」
 励ます伊集院の声に刀を抜いた有村は、震える両手で柄を強く握り締めて右八相の構えをした。
「なんばしちょる、今じゃ」
「きぇい!」
 悲鳴ののような声を上げて、有村は刀を振り降ろした。がつん、と音がして金属が石を打つ、焦げたような臭いがあたりに漂よった。剣先が石畳みを叩いたのだ。
「力まかせに斬れば、ええゆうもんじゃなかぞ儀助。へたくそじゃのう。技じゃ、技で斬るんじゃ。示現流の名が泣くでごわんど」
 そう叱りつけたが、勢いというものは恐ろしい。有村の刀は、力まかせの鉈切りで、権次の首を落としていた。間が悪い時は仕方のないもので、門から入ってきた名村屋理左衛門の足元に、首は跳ねるように転がっていった。
「こ、これは……。どうしたことでございます」
 ころころ転がった首は、両目を開けたまま、理左衛門を見上げるようにして止まった。「ご、権次ではございませぬか」
「顔見知りの者か」
「五年ほど前から、お武家さまの荷運びをして、当家に出入りをしている者でございます」
 震える声で、理左衛門は答えた。
「ならば都合がよか。この男、百姓の分際をわきまえず、われら侍を口汚くののしりおった。薩摩の藩法では、行列の供先を横切ったり無礼を働いた者は、斬り捨ててもよかことになっておりもす。おはんは町役でごわしたな」
「はい。室の津の町役人を受けたまわっております」
 さすがに武家相手の本陣の当主を長年つとめているだけあって、血まみれの権次の首と胴体を目の前にしても、さほどうろたえずに返答をする。
「それなら、おはんにこの槍持ちの無礼討ちを、届け捨てにするでごわす。あとは町役の皆と相談して、はからうようお願いしもす」
 伊集院は、話は終わったとばかりに有村をうながして、本陣の奥へ入っていく。
「お待ちくださいませ。首と胴を置き捨てにされましては、迷惑でございます。通行の者たちも見ております」
 門を見ると、朝帰りの遊客や土地の漁師たちが、恐る恐る覗き込んでいる。十五人ほどの人だかりの中には、室津屋のお福と男衆の顔も見えた。
「ちっ。物見高い町人どもじゃ。よか、儀助どん、かまわんから追い払え」
 刀を持たない者には強いとみえて、有村は式台から飛び降りると、すらりと抜刀した。「こらあ! 見世物ではなかど。散れい、散らんと叩っ斬るぞ」
 権次が無残に斬り殺されるのを、唇を噛んで見ていた見物たちは有村が刀を振り廻しながら走って来るのを見ると、わっと声を上げて逃げ散った。
「弥次馬の始末は、これでよかじゃろう。ふん、無礼討ちにした虫けらの処置は、土地の者がするのが昔からのしきたりじゃ。理左衛門、つべこべ言わず早々に片付けい」
 鼻を鳴らすと伊集院は、肩をそびえさせて奥へ引き返した。表通りへ見物人を追い散らした有村が、抜き身をかついで歩いてくると、権次の死骸の横で足を止めた。
「明日はここへ太守さまが、お成りになられるでごわんど。早う犬の死骸を取り捨て、式台や石畳に飛んだ不浄の血を洗い流さんと、いかんでごわすぞ。よかじゃな」
 理左衛門は黙ったまま、目を光らせて有村を見た。権次は口は悪いが、人なつこく気のいい男であった。台所の女たちにも受けが良かった。昨日はあれほど元気に立ち働いていた権次が、今朝は首と胴が離れて無残な姿をさらしている。
「あなたさまに言われなくとも、権次の亡骸はてまえどもで寺へ運び、ねんごろに弔わせていただきます」
 問答無用で斬り殺し、あまつさえ虫けらや犬呼ばわりする薩摩の先のり侍たちの仕打ちに、穏やかな理左衛門もさすがに強い憤(いきどう)りを感じていた。
「なんじゃ、その目は。そげな無礼な顔ばしちょると、いかに本陣の主人だとて、用捨なかぞ。室の津には、泊まる所はほかにもごわんど。宿替えされんように気をつけたほうが、よかぞ」
 島津七十七万石は、理左衛門にとっても先代からの上得意である。定められた宿代のほかにも過分な心付けがあった。それに引きかえ藤森新兵衛の板倉家は、きまった料金のほかは鐚(びた)一文出さない。その支払いも、遅れがちだった。しかし本陣は、金儲けだけでやれる仕事ではない。そう思って理左衛門は、これまで胸を張ってやってきたが、このたびの権次へのやりようはひどすぎた。
―――おお、そうじゃ。こんなところで茫然としている閑(ひま)はないぞ。まず新兵衛さまに使いを出し、桶屋に早桶を注文し、権次の躰を洗い清めなくてはならぬ………
 着ていた羽織を脱ぐと、権次の首の上に掛けて、足早に本陣の中へ入っていった。


三 虫けらの首

 熨斗目上下と仙台平の袴の礼服に威儀を正した新兵衛が、小走りに本陣にむかうと門前に大勢の人だかりがしているのが見えた。
「南無三! 遅れたか」
舌打ちして弥次馬をかき分けて入っていくと、玄関にむかう敷石が洗い流されたように濡れている。
「やはり…… 斬られたか」
 呟やきながら式台の上を見ると、真新しい早桶が置いてある。走り寄った新兵衛が、しばし合掌して桶の蓋を取ると、権次の首のない胴体が両手で膝を抱えるようにして押し込んである。
―――首がない。首はどこにある、首は………
 そう思いながら、あたりを見廻していると、奥からのっそりと伊集院が姿をあらわした。
「遅うごわすな。おはんが、のんびりしちょるから、槍持ちが待ちくたびれて、とうとう首だけになってしもうたではなか。ふ、ふふ、まあよか。主人の槍を本陣に置き忘れるような間抜けな槍持ちは、首を斬られてもしょうがなか。そうじゃろう、藤森どん」
 ふくみ笑いをした伊集院は、傲然とした態度で足を開くと、鞘ごと刀を床に突くと柄頭の上に両手を重ねた。
「ほう、熨斗目とは礼義をわきまえとるじゃなか。詫びを入れて槍を取り戻そうという魂胆じゃろうが、そう簡単にはいかんでごわんど」
 二階堂が出てきて横に並ぶと、嫌みたっぷりに片頬をゆがめた。
「槍など、もうどうでもいい。欲しければくれてやる。返してもらいたいのは、権次の首だ」
「なに、槍はいらんじゃと。ははあ、おはん死ぬ気じゃな。腹を切って、ことを納めるつもりじゃろうが、甘い甘い、そうは問屋がおろさんぞ」
 右手で掴み上げた刀の鞘で、伊集院は左右の肩を叩いた。それを見るなり二階堂は、さりげなく左手に刀を持ち変えた。すぐに抜き討ちが出来る構えである。
「おおい、儀助! めずらしか客人に、早う酒の肴をお見せしもはんか。藤森どんが大喜びされるでごわすぞ」
 控えの間にむかって伊集院が声をかけると、応じる声と共に権次の首を突き刺した槍を持って、有村が出てきた。
「………」
 さすがの新兵衛も声が出ない。眦(まなじり)が裂けるほど開いた目で、権次の顔を見ると、無言のまま刀の柄に手をやった。
「これは、おもしろか。血相を変えて刀に手を掛けるとは、おはん斬り合いをする気じゃな。満足に槍持ちも出来ん百姓のために、命を捨てる武士がこのせちがらい世間におるとは笑止ではなかか」
 にやりとすると二階堂は、腰を落として柄を握った。
「まあ待て、二階堂。さきほど理左衛門がまいって、無礼討ちのことで、つべこべと文句をぬかしおった。こげな田舎本陣を叩きつぶすのは、わけのなかことじゃが。これ以上ここで血を流して万が一、公儀に届けられては面倒でごわす」
 手を上げて、伊集院は二階堂を制した。
「じゃが、伊集院どん。先に刀の鯉口をきったのは、この男ではごわさんか。武士の面目にかけても許すわけには、まいりもはんぞ」
 この場にいる血の気の多い薩摩隼人の中でも、二階堂が一番頭に血が上りやすい。抜刀しかけた二階堂の手を、ぐいと伊集院が押さえつけた。
「いかんぞ。どげんしても斬り合いしたければ、場所を変えてやればよか。おまけに間が悪かことに、御用船に使いに出した西郷が戻って来もした」
 門を見ながら、伊集院が顎をしゃくった。
「それは、まずか。西郷は、うるさか男じゃからのう」
 敷石の上を、せかせかした足取りで歩いてきた西郷吉兵衛が、式台の前で足を止めると槍の先の首と早桶を見くらべた。
「なんと。これは、どげんわけでごわすか伊集院どん。この首は、藤森どんの槍持ちのもんではなか。どげんして、こげなことになったか、おいどんに説明ねがいたか」
 浅黒い丸顔の、太い眉毛の下の大目玉が、ぎょろり伊集院を睨んだ。
「無礼討ちじゃ。この百姓、虫けらの分際で、薩摩藩の先のり頭のおいどんに悪口雑言をぬかしおった。腹にすえかねて斬り殺しもした。それだけのことでごわす」
「なにが、それだけのことでごわすか! お百姓は、だんじて虫けらじゃなか。人間でごわんど。おはんらが武士じゃ侍じゃと威張っておられるのも、領内のお百姓が汗水流して米ば作ってくれるおかげでごわさんか。伊集院どんの考えは大間違いでごわすぞ」
「な、なにをぬかすかっ。この場におらんものが、よけいな口をきくことはなか。西郷、おはんは黙って引っ込んでおるがよか!」
 二階堂は顔色を変えて西郷を怒鳴りつけた。
「いいや、おいどんは引っ込みもわさん。藤森どん、おいどんが用足しのために外出しておりもはんかったら、おはんの槍持ちがこげん首だけになることは、けっしてなかでごわした。まっこと申し訳なかことでごわす」
 両膝に手を置くと、西郷は丁重に頭をさげた。
「いや。この権次も本陣に槍を置き忘れるという不始末があり、あまつさえ武士にむかって口汚くののしったそうでござる。貴藩の法度により無礼討ちにされたのも、いたしかたなきこと。それがしは、首と槍をお返しねがえれば、よろしゅうござる」
「おお、首と槍を返せばお許しくださるか。それならば、たやすいことでごわす」
 生首を槍に突き刺して出迎える、という非礼はとがめぬという新兵衛に、西郷はほっと胸をなぜおろす。
「ならん! そげな勝手なことを、ゆるすことは出来もはんぞ」
 二階堂が、こめかみに青筋を立てて西郷を睨みつける。
「これは不思議なことば、うけたまわる。無礼ば働いた槍持ちは、すでに打ち首にいたしたうえ、槍はもともと藤森どんの物でごわさんか。返却するのは当然のことでごわすぞ」「は、はは、西郷どん。おはん帰ってくるのが少しばかり遅すぎたわ。首じゃ槍じゃいう細かことは、もはや問題ではなか。二階堂どんは武士の意地によって、藤森どんと果し合いをすることに決まりもしたぞ」
 愉快げに笑いながら、伊集院は刀の鞘で肩を叩いた。
「それは、本当のことでごわすか」
 西郷の問いかけに、苦しげに新兵衛は頷ずいた。
「藤森どん、場所は明神の森じゃ。刻限は申の刻(午後四時頃)。もし約定にたがえば逃げたとみなし、二階堂の勝ちでごわんど。そげなことになれば卑怯未練な臆病侍と、この室の津はもちろん江戸でも吹聴するでごわすぞ。なお当方は、この場におる有村と西郷、それにこの伊集院左近が介添え人として出むきもす。ようごわすな」
 たたみ掛けるような伊集院の言葉に、新兵衛も間髪をいれず答えた。
「けっこうでござる。ただし、こちらも介添え人を同道いたすがよろしいでしょうな」
「もちろん。何十人でも連れてきて、よかでごわすぞ」
 新兵衛の供が、用人と中間しかいないことを知っている伊集院は、嘲(あざけ)るような顔をした。
「馬鹿な。本当にそれでようごわすか、新兵衛どん」
 たまりかねたように、西郷が口をはさんだ。
「うるさかぞ西郷! 侍が承知というておるのに、おはんが何を騒いじょる。そげん邪魔ばかりしちょると、家がどうなっても知らんぞ。去年、吉之助とかいう倅が生まれたばかりじゃろう。無事に五十石を継がせたかったら、黙っておいどんらの言う通りにしちょるほうがようごわすぞ」
 じろりと西郷を睨みつけると、伊集院は二階堂と有村をうながして本陣の中へ入っていった。
 あたりが静まり返った。 
「申し訳なかことにあいなった。親兵衛どん、島津の侍が皆あげなむごい者ばかり、と思われたら間違いでごわすぞ」
 肩を落として、西郷が言った。
「なにも言われるな。貴藩と同じように、わが庭瀬藩にも、むごい者もやさしい者もおり申す。西郷どののせいではない。すべて悪しき成りゆきで、こうなったのでござる」
 親兵衛は、空を見上げた。晴れ上がった空の高みを、白い雲の群れが悠々と流れていく。
「それがしにとっては、西郷どのが介添え人に加わっておられることが、ただ一つの救いでござる」
 一礼すると、新兵衛は門にむかって歩き出した。門の傍(かたわ)らの五葉松の枝にとまっていた雀を見て、親兵衛は足を止めた。枝から枝へ飛び移っていた雀の一羽が、敷石の上に飛び降りて親兵衛の足元に近寄っていく。
「おう、小雀か……」
 ちゅんと鳴く声を耳にして、こわばった新兵衛の表情が、和(なご)やかにほぐれた。
――大空をゆく雲と、餌をついばむ雀か。室の津のいつもの光景が、これで見納めになろうとは……
 人の運命とは、わからぬものだ。と思いながら新兵衛は、人通りが多くなった本町通りにむかって門をくぐった。


四 果し合い

 商い店や宿屋が並ぶ長い通りを抜けて、寺へむかう坂道を登っていくと、石垣にもたれた飛十郎の姿が見えた。新兵衛にむかって手を上げると、飛十郎は口にくわえていた雑草を投げ捨てた。
「よう、どうした。顔色が悪いぞ。まさか昨日の二日酔いが、続いているわけではあるまいな」
「二日酔いは、ちと残っていたが。それも、もはや消えもうした」
「そいつは、よかった。では、ちょっと歩こうか」
 のっそりと坂の真ん中に出ると、飛十郎はふところ手をして歩きはじめた。石垣のむこうが寺の土塀で、その先が山門にむかう石段になっている。飛十郎は、寺の前に来ても立ち止まろうとせずに歩いていく。
「どこへ、むかわれるつもりか。それがしの宿舎はこの寺でござるが」
 寺の先には民家はない。岩の間に、ひょろりとした雑木が立っているだけである。
「いい景色だな、新兵衛さん」
 岩の一つに足を掛けると、飛十郎は目の下に広がる室の津の海を眺めた。
「左に見えるのが明神の森か。それに、あれが荒戸の浜だ。ふむ、朝のうちに出港したのか、帆の数がだいぶへったな。見なよ、新兵衛さん。沖の三つの唐荷島も、まるで手に取るように見えるぞ。それにしても、おちょろ舟で月を眺めながら呑んだ酒の味は、最高の味だった」
 目を細めて明るく光る海を見ている飛十郎につられて、新兵衛も港に目をやった。
「まことに……。それがしにとっても、最初で最後の楽しい月見酒でござった」
 昨夜の出来事が、新兵衛にはすべて遠い昔の懐かしい思い出のように感じられた。
「そうか。それにしては、ずいぶん水くさいじゃないか新兵衛さん。たぶん花筏も、そう思っているんじゃないかな」
 飛十郎の意外な言葉に、新兵衛は苦しげな顔をした。
「なんのことだか、それがしにはいっこうにわからぬが」
「とぼけたって駄目だよ新兵衛さん。槍持ちの権次が薩摩の連中にいたぶられて、首を抱かされて早桶の中にいることは、とうに耳に入ってるんだ。そのうえ今日の申の刻に二階堂とやらと、あそこに見える明神の森で果し合いをするそうじゃないか」
「ど、どうして、飛十郎さんは、そんなことまでご存知か」
 愕然として、新兵衛は飛十郎を見た。
「ふ、ふふ、おれが泊まっている室津屋にはな、お福という気のきく小女がいるんだ。これが本陣の女たちと、めっぽう仲がいい。そういうわけで、すべておれの耳に筒抜けというわけだ」
「ふうむ。さようで、ござったか」
 新兵衛は、溜め息まじりの声を出した。
「ところで、ものは相談だがな。どうだい新兵衛さん、おれを助太刀人に雇う気はないか」
「そ、それがしが、飛十郎さんを雇うのでござるか」
 思いがけない申し出に、新兵衛は目を白黒させた。
「そうだ。新兵衛さんはかなり使えるようだが、用人の柏木とやらは剣術のほうは、からきし駄目だ。中間のほうも口は達者なほうだが、腕はてんでなまくらだ。違うかね」
「まったく、その通りでござる」
「それにひきかえ薩摩の野郎たちは、示現流の使い手揃いだそうじゃないか。そこで、この早船飛十郎の出番だ。金はかかるが、命が助かるとなれば安いものだ」
「えっ。金がいるのでござるか」
「ああ。黙っていたが、おれの商売は助太刀屋だからな」
 飛十郎は、すました顔で言った。
「助太刀屋。お手前が?」
 よほど驚いたのだろう。新兵衛の喉が、ごくりと鳴った。
「ま、このあたりじゃ聞かないだろうが。これでも江戸じゃあ、かなり名がしられている。室の津へ寄ったのは、尾道でひと仕事おえての帰り道だ」
「うう、む……」
 新兵衛は、うなり声を上げた。
「それで、助太刀料はいかほどでござろうか。高額では、それがしには支払えぬが」
 不安げに新兵衛は言った。
「なんといっても新兵衛さんとは、花筏のおちょろ舟で酒を酌みかわした仲だ。いわば呑み友達だからな。金なんかいらん。と言いたいところだが、親しき仲にも礼儀ありという諺(ことわざ)もあることだ。それに、おれも酒を呑まねばならんし、めしも喰わねばならんからなあ。いくらか貰わんと暮らしていけぬ。まあ、安くしておく。そうだな、十両でどうだ」
「じゅ、十両!」
 新兵衛の目が驚愕のために丸くなった。
「む、高いか。なにしろ相手は介添人もいれて、四人もいるそうではないか。ひとり二両二分は貰わんと、合わんぞ」
「しかし、介添人は見届けるだけで、手を出さぬ定めでしょう」
 新兵衛は、くい下がった。
「甘いな、新兵衛さんは。たて前はそうだが、味方の旗色が悪くなれば、どうなるかわからん。大坂でおきた宗禅寺馬場の仇討ち、というのをご存知かな」
 知らぬとみえて新兵衛は、無言で顔を横に振った。
「かなり昔のことだ。正徳の初めだというから百五十年ほど前になるが、大和郡山の藩士・遠城冶左衛門と喜八郎の兄弟が、弟の宗左衛門を斬り殺して大坂へ逃亡した生田伝八郎と、宗禅寺馬場で果し合いをした。そのおり生田の介添人十人あまりが、弓まで持ち出して斬ってかかり、ついに兄弟をなぶり殺しの返り討ちにしたそうだ。介添人だとて、油断はならんぞ」
「そんな実例があるとは知りませんでした。それにしても飛十郎さんは、そんな古いことをよくご存知でしたな」
 感心したように新兵衛は言った。
「なにしろ、おれは助太刀が商売だからな。仇討ちのことには、少しばかりうるさい。悪いことは言わん。介添人によってたかって斬られる前に、おれを助太刀人に雇っておけ。十両が無理ならば七両でもよいぞ」
「それがしの禄高は、たったの五十石でござるぞ。七両など、とんでもない」
 にべもなく新兵衛は断わった。
「ならば五両では、どうだ?」
「無理でござる」
「しかしだな、おぬしは庭瀬藩のれっきとした先のり役ではないか。それが五両の金も持たないということはあるまい」
 飛十郎は、いぶかしげに新兵衛の顔を覗き込んだ。
「たしかに本陣への手附けや、人足たちへの支払いの金子は、つねに二十両ばかり持ち歩いている。だが、これは御用の金。公(おおやけ)の金を私的に流用するなぞ、もってのほか。そんなことをいたせば、切腹ものでござる」
 新兵衛の断固とした言葉を聞いて、飛十郎はふところの手を袖から抜き出すと、頭を掻きながら顔をしかめた。
「では聞くが。おぬし、いったい、いくらなら払えるのだ」
「さようでござるな。まず、三両ならば、あちこちの知り合いからかき集めて、なんとかなると思うが」
「ううむ……、三両か」 
 渋い顔をした飛十郎は、ごしごし無精髭をこすり出した。
「ええい! 大負けにまけて、三両だ。仕方がない、それで手を打とう」
 明神の森のはるか上空を、もつれあうようにして旋回している二羽の鳶を見ながら、飛十郎は無念げな声を出した。
「ただし、先方との約束は介添人でござる。よって助太刀人としては、お雇いできぬ。よろしゅうござるな」
 釘をさすように新兵衛は言った。
「よかろう。こうなれば乗りかかった、おちょろ舟だ。介添人だろうが助太刀人だろうが、名目は好きにしてくれ。どうせ同じことだ」 
 自棄(やけ)を起こしたように飛十郎が答えると、明神の森の上を飛んでいた鳶が、ぴいひょろろう、と鳴いた。


五 明神の森

 室の津の東側の岬は、土地の者に明神の鼻と呼ばれている。この岬にある賀茂明神は、九州・日向国の高千穂峰から山城の国(現在の京都)へ移られる途中、この室の津へしばらく足を止められ港を開かれて、京の洛北・賀茂へ還座された、という伝承があるほどその来歴は古い。
 二基の苔むした燈明台のむこうに石の鳥居が立ち、その奥に古びた社(やしろ)が建っているのが見える。その社殿の背後に、明神の森はあった。森のほぼ中央に、十間(十八メ−トル)四方の空き地がある。こんもりと茂った杉や松に囲まれて、海上からも町からも見えない。普段は町の若者たちが祭礼の笛や太鼓を習ったり、盆踊りの手さばきや足さばきを稽古する場所であるが、その季節にはまだ間がある今は、ひっそりとして誰の姿も見えなかった。
「伊集院どん、よくこげな所をご存知でごわしたな」
 太い杉の幹のむこうから二階堂の声がすると、羽織袴を着た伊集院が白扇で首の後を叩きながら空地へ入ってきた。
「なあに、この町をぶらぶら散歩しちょった時に、明神社まできて偶然この空地を見つけただけでごわす。どうじゃな、この広さは果し合いにうってつけでごわそう」
「まこと、これ以上はなかような手頃な場所でごわす」
 二階堂が笑いながら追従を返すと、伊集院は最後に姿をあらわした有村儀助に目をやって眉をひそめた。
「有村どん、おおげさな。たかが藤森新兵衛ひとりに、弓まで用意することはなかじゃろう」
 袴の股立ちを高く取った有村は、手に半弓を持って背に矢筒を結んでいる。
「いや、この弓は有村の考えじゃなか。おいどんが頼みもした。相手はたったひとりでも、死に狂いすれば、何をしでかすか、わかりもはん。この二階堂は、どうなってもよかじゃが。伊集院どんが怪我でもしたら、取り返しのつかんことになりもすからな」
「まさか。間違うても、そげんことはなか。示現流の三羽烏といわれた、われら三人がおれば、天と地がひっくり返っても二階堂どんが負けるわけはなか」
 白扇で太い腕を叩きながら、伊集院は自信たっぷりに言った。
「念には念を、と考えただけでごわす。それより伊集院どん、あの重箱の隅をほじくるような西郷をここへ連れてくるのは、ちと危ないのではなかか。見たことを藩の横目付にでも告げ口ばされたら、えらかことになりもはんか」
 不安そうな顔で、二階堂は空地を見廻した。
「心配なか、二階堂どん。それも考えて、西郷に教えた時刻よりも半刻も早よう、この明神の森へ下見にきとるんじゃからな」
「なにか妙策がおありなようでごわすの。では、お聞きもすが。もし西郷が邪魔をするときは、伊集院どんはどうするつもりでごわすか」
 薄ら笑いを浮かべて、二階堂が聞いた。
「しれたことじゃ。そげなことをすれば、すぐさま西郷を斬るまででごわす」
 平然として、伊集院は答えた。
「それは、よか思案でごわす。西郷吉兵衛というやつ、たかが五十石の軽輩者のくせに何かといえば、おいどんらに楯つく目ざわりな男じゃ。前からこらしめてやろうと、思うていたとこでごわす」
「ですが藤森と違ごうて、西郷は同藩の侍でごわんど。斬れば、あとあと面倒なことになりもはんかな」
 手に握った半弓を振りながら、有村は二階堂と伊集院の顔を見くらべる。
「は、はは。それも、ちゃんと考えておりもす。藤森を斬り倒したあと、西郷を斬る。つまり相討ちになったごと細工をすればよかでごわす。むろん、むこうの介添人もひとり残らず皆殺しにすればよか。それですべて一件落着、でごわす」
 得意気に伊集院は、腹をゆすって言い切った。
「さすがは伊集院どんでごわす。敵を全員斬り殺し、西郷を斬れば、このたびの果し合いの責任は、すべて西郷にかぶせられるわけでごわすな」
 二階堂がそう言ったとき、明神の森の上空をゆったりと旋回していた鳶が、なにを思ったのか空地にむかって急降下すると、有村の背負っていた筒の中の矢を口にくわえて飛び立っていった。
「こやつ!」
 うろたえた有村が、慌てて半弓に矢をつがえると、ひょうと射放った。矢は一直線に鳶にむかって飛んでいったが、大きく広げた右の羽根の先をかすめるようにして上空を飛び去った。
「どげんした、有村。弓の達人にしては、珍しくはずしたではなか」
「この距離で獲物を射そこなったことは、これまで一度もなかでごわすが」
 悔しげに、有村が空を見上げた。
「鳶など相手にしちょる時ではなか。藤森が下見にやってくるかもしれもはん。有村どんは矢を用意して、早う大木の後ろに身をかくしたほうがよか」
「おはんらが危のうなったら、すぐに射もうそう。なあに的が人間なら、めったにはずすことはなか」
 雑草をかき分けて、有村はすぐに木の間に姿をかくした。
「これで、そなえは万全じゃ。遅れをとるようなことは、なかぞ二階堂どん」
 勇気づけるように伊集院が二階堂の肩を叩いた時、鳥居のむこうで人影が動いた。
「きたぞ。思うちょった通りに、相手も下見にきたようでごわすな」
 早とちりした二階堂の言葉を、白扇を振って伊集院がさえぎった。
「いや、あの太か躰は西郷じゃ。えろう早う来たもんでごわすな」
 苦笑いを浮かべた伊集院が二階堂と空地を歩き廻っているところへ、西郷が額に汗を浮かべて林の中を歩いてきた。
「どげんしたか、西郷どん。おいどんが指図した刻限より四半刻(約三十分)も早いが。なにか起きたでごわすか」
「べつに、何もなかですが。御用船の用事が思いのほか早う片付いたので、介添人のことが気になって来もうした」
 手拭いで顔一面の汗を、ごしごしふきながら西郷は答える。よほど急いできたのか息使いが荒かった。
「おはん、介添人は初めてか」
「はあ。おいどんは、こげんことは生まれて初めてでごわす」
「ふん、そうか。おいどんは、もう何遍もしちょる。なにごとも経験じゃ。はじめてなら前へ出て、よう見とくがええぞ。後詰めにおいどんが控えちょるから、安心したらよか」 胸を叩いて伊集院が受け合ったが、これは藤森新兵衛が倒されたと見るや、すぐさま背後から西郷を斬る気である。そうとは夢にも知らぬ西郷吉兵衛は、言われるままに伊集院の前に出ると、太い腕を組んで彫像のように動かなくなった。
 静かである。聞えるのは木々を揺する風の音と、鳥の囀る声と、足の下から響く潮騒の音だけであった。
「そろそろ、約束の刻限でごわすな」
 ゆっくりと海にむかって傾いていく太陽を眺めていた二階堂がそう言ったとき、社殿の裏を抜けて歩いてくる新兵衛の姿が見えた。
「一人でごわんど。介添人がおらんが、どうしたわけでごわしょうかな」
 不審そうに、西郷が言った。
「は、はは。藤森の家来は年寄りの用人と、役にもたたん中間だけじゃ。怖気づいて逃げ出してしもうたに違いなかぞ」
 伊集院の高笑いが、あたりに響き渡った。
「そういうことなら伊集院どん、この果し合いは中止でごわすな。介添人のおらん斬り合いは私闘とみなされ、その場に居る者全員が切腹というのが藩法でごわすからな」
 ほっとしたような顔で、西郷は組んでいた腕をほどいた。
「いや、そうはいかんぞ西郷。あやつは本陣をゆずれと申し入れた、おいどんたちを口汚くののしりおった。島津家を侮辱したも同然じゃ。薩摩の武士としては、とうてい見逃すことは出来もはん」
「それは無体というものでごわす。もう一度話しおうて相手が素直にあやまれば、ゆるしてやればよかでごわさんか。それが薩摩武士の度量と、おいどんは思いもすが伊集院どん」
「そげな生ぬるいことでは、おいどんの気がおさまらん」
「どげんすれば、おはんは納得しもすか」
 苦りきった声で、西郷は言った。
「どげんも、こげんもなか。もはや、斬るのみじゃ」
 さっと刀を抜くと、伊集院は威嚇するように切っ先を西郷にむけた。
「邪魔だてすれば、おはんも命はなかぞ。よかか、二階堂どん。藤森がまいったら遠慮のう、背後から斬りかかってよかぞ」
「おう」
 応じると同時に二階堂も刀を抜き放つと、太い木のむこうに身を隠した。
「こ、これは……。伊集院どん、こげな卑怯なことは、天も人もゆるしもはんぞ」
 西郷は袴の膝を両手で掴むと、血を吐くような声を出した。
「うるさかっ! 協力すればよし、さもなくば藤森に同心いたしたとみなして、おはんも討つがそれでようごわすな」
「そ、それは」
 進退に窮した西郷が満面を紅潮させて唇を噛みしめたとき、低い笑い声が木立のむこうから聞こえてきた。
「ふ、ふふ。藤森新兵衛どの一人と果し合いするのに、三人がかりでも足りず弓まで使わねば勝つ自信がないのか。音に聞く薩摩隼人も、案外情け無いものだな」
 木の間から、有村儀助の背中に刀を突きつけた飛十郎が姿を見せた。
「だ、誰じゃ? おはんは」
 驚愕した伊集院にむかって、にやりと笑って見せると、飛十郎はうれしそうに無精髭を撫ぜ廻した。
「おれか。おれは、早船飛十郎という浪人者だ。介添人のつもりだったが、弓まで使う卑怯なやりかたを知っては、黙って引っ込んではおれんな」
 飛十郎は目にも止まらぬ早さで、弓の弦(つる)を斬り飛ばすと、有村の背の矢筒に入れてあった矢を地面に投げ捨てた。
「悪いが、今から助太刀人に早変わりするぞ」
 あっけに取られた顔で、二階堂は突然あらわれた飛十郎を見た。
「助太刀人じゃと。それは、なんでごわすか。おいどんは聞いたことがなかぞ」
「九州の端っこで育った芋侍は知らんだろうが、花のお江戸には助太刀屋という商売があるんだよ。ついさっき、おれは新兵衛さんから三両で雇われたばかりだ」
「馬鹿な。これは果し合いで、仇討ちではなかぞ。助太刀人などに用はなか!」
 怒気をふくんだ声で叫びながら、伊集院は刀の切っ先を飛十郎にむけた。
「ふん。そちらさんには無くとも、こっちには用があるんだ。たとえ半日雇いの槍持ちだろうが、権助は新兵衛さんの立派な家来だ。その家来が無理無体に斬り殺されれば、主人がその仇を討つのは当り前の話だ。それとも薩摩じゃ、そんな武士の作法はないというのか」
 木立を抜けて飛十郎の横に並んだ藤森新兵衛が、刀の下げ緒を取ると慣れた手さばきで襷を掛けると、袴の股立ちを高くとった。
「かたじけない。まさか弓があるとは、それがしは夢にも思わなかった。飛十郎さんは、よく見抜かれましたな」
 懐中から取り出した白手拭いで、きりりと鉢巻きを締めると、感心したように頭を下げた。
「なあに。果し合いの時刻まで、えらく間があったので漁師に借りた小舟で艪を漕ぐ稽古をしていたら、明神の森の上を舞っていた鳶にむかって矢が飛ぶのが見えた。
「なるほど。それで弓があるのが、わかったわけでござるな」
「そういうわけだ」
 有村を伊集院たちの方に突きやると、飛十郎はゆっくりと腕を両脇にたらした。無双直伝英信流居合・抜き付けの構えである。
「ま、まて! 権助は槍持ちとはいえ、たかが百姓ではないか。百姓が斬られて、仇討ちを侍がするとは聞いたこともなか。前代未聞でごわんど。無茶でごわすぞ」
 手を上げると伊集院は、狼狽した声で飛十郎を制した。示現流の手錬者(てだれ)だけあって、構えを見ただけで飛十郎の腕がよほど出来るとわかったらしい。
「無茶はどっちだ。新兵衛さんが先のりした室の津の本陣を横取りしたあげく、槍を忘れた権次をなぶり殺して、首を渡してほしければ果し合いをしろ。と言ったのは、そっちのほうだぞ。わかったか」
 小気味よく啖呵をきりながら、飛十郎はゆっくりと刀の鯉口をきった。
「この二人は、おれが引き受けるから、新兵衛さんはその伊集院とかいう親玉をたのむ」 有村と二階堂にむかって顎をしゃくると、飛十郎は空地の真ん中へむかって歩きはじめた。
「こしゃくな。おい、そやつは居合を使うと、おいどんは見たぞ。油断するで、なかぞ。間合いを開けろ」
 仲間に呼びかける伊集院の声より早く、飛十郎は右手を柄に掛けながら、するすると有村の傍へ寄っていった。
 慌てて頭上に刀を立てると、有村は〔とんぼ〕の構えをして、猿叫の声を上げた。
「きえぇぇい!」
 まともに受ければ、自分の刀もろとも頭骨まで切断される勢いであった。すさまじい斬りおろしに飛十郎は逆らうことなく、抜き上げた刀の鎬(しのぎ)で受け流した。刀と刀が打ち合った瞬間、ぱっと火花が散った。運が悪いと、玉鋼(たまはがね)の微粒が入って、目が見えなくなることがある。
「む」
 目を細めながら、飛十郎は軽く顔をそむけた。同時に抜き上げた刀の棟に掌を当てて、垂直に斬り降ろすと見せて途中で動きを止めると、切っ先で有村の鳩尾(みぞおち)をぐさりと突き刺した。伯耆流〔切っ先返し〕であった。
 居合の恩師・連阿弥光也斎から、若い頃に教わった秘剣であった。光也斎はその昔、剣の修行のため各地を廻国したおり、夢想神伝流をはじめ大森流、神道無念流、香取神道流、無外流、水?流と、さまざまな流派の剣を学び、最後に無双直伝英信流に落ち着いたと言われている。
 この切っ先返しも、他流の技も極めていたほうがいい、いつか役に立つことがある。と言われて修業した伯耆流の奥技であった。
「わっ!」
 悲鳴を上げながら、有村は刀を投げ捨てて両手で腹を押さえた。
「きえぇ―い!」
 二階堂の剣が風を切って、飛十郎の頭をめがけて殺到してきた。有村が打ち込んだ一撃目の示現流〔とんぼ〕の斬撃を躱(かわす)のさえ容易ではないのに、二撃目を受けることが出来る剣客は誰もいない。
 飛十郎は背中を丸めると、無言のまま転がった。一回転して、ふわりと地面から起き上ったときには、刀はすでに鞘の中に納まっていた。薩摩示現流と何度か闘ってきた飛十郎は、続けざまに襲ってくる〔とんぼ〕の太刀業は受けも躱しも出来ないことを知っていた 二階堂は、地面から立ち上がった飛十郎を見て、蒼白になった。示現流は、初めの一太刀が命である。
「くそっ」
 慌てて刀を頭上に振りかぶった時は、もはや遅かった。素早く二階堂の手元に付け入った飛十郎は、鞘ごと引き出した刀の柄頭で、したたか喉首を打ち叩いた。
「ぐわっ!」
 刀の切っ先を天に突き上げた構えのまま、あまりの激痛に二階堂は、がくりと膝を地面に突くと左手で首を押さえた。
 一瞬のうちに有村と二階堂を倒された伊集院は、新兵衛と一度も刀を合わせることもなく、社殿にむかって走り出した。
「まて! 逃げるとは卑怯な。それでも武士か」
 追いかけようとした新兵衛を、飛十郎は制した。
「あいつは後で始末する。それより、この二人をどうする?」
 うずくまっている有村と二階堂のほうに、顎をしゃくる。
「だが権次を斬らせたのは、逃げた伊集院でござるぞ」
 新兵衛はそう言って、気がかりそうに社殿を見た。
「心配するな。手は打ってある。どこへ逃げようが、やつは袋の鼠だ」
 ふところ手になると、飛十郎は足元の二人を見おろした。
「もちろん、こやつらも同罪でござる。権次とそれがしを嘲弄いたし、あまつさえ首を槍に突き刺した残虐なおこないは、天人ともにとうてい赦すことはできぬ」
「そうか。ならば、早くとどめを刺したらいいだろう」
「なに、とどめを……。それがしが、でござるか」
 飛十郎は無精髭をこすりながら、あたりを見廻した。
「そうだな。ここには、おれと新兵衛さんと、西郷とかいう御人(ごじん)しかいないからな」
 凍りついたように、この場のなりゆきを眺めていた西郷吉兵衛は、自分の名を呼ばれて、はっとしたように飛十郎を見た。
「ほかの三人の薩摩っぽとくらべると、おぬしはまだましなようだな」
 西郷は大きな躰をすくめるようにして、うなだれた。
「まことに面目なかことでごわす。薩摩藩の侍として藤森どんには、おわびのしようもなか」
「いや、貴殿は悪うはござらん。西郷どのは最初から、それがしをかぼうて下さった」
 新兵衛は刀の切っ先を、うめき声を上げている二人のほうへむけた。
「とどめを刺すということは、この者たちを殺すということでござる。それがしは、まだ一度も人を殺したことがない。それでお聞きしたいのだが、もし飛十郎さんのお供の弥助どのが、権次のような目にあって首を斬られたら。いかがなさる?」
「弥助が首にされたら、おれは躊躇なくこの二人を殺す」
 きっぱりと言い切った飛十郎を見て、新兵衛は腹を決めた。
「そうですか。では、それがしも」
 地面にうずくまった二階堂と有村の傍へ寄っていくと、新兵衛は鮮やかな手際でとどめを刺した。
「なかなかの腕だな。そのぶんでは伊集院を討ち果たすのに、おれが手を貸す必要はなさそうだ」
 飛十郎が新兵衛の顔を見たとき、鳥居をくぐり抜け参道から社殿の裏を突っきって、弥助が空地へ走り込んできた。
「早船の旦那! あの侍は船着場から小舟に乗って、薩摩の御用船へ逃げ込もうとしてますよ」
 それを聞いた新兵衛の顔色が変わった。
「それは、まずい。御用船には島津家の侍が七、八人はいるはず。面倒なことになりますぞ」
 飛十郎は無精髭をひとこすりすると、空を見た。矢を射られて恐れたのか、鳶の姿はどこにも見えなかった。
「そんなこともあろうかと、こっちもこの明神下の岩場に舟を用意してある。新兵衛さん、ぼちぼちいこうか」
 浅草奥山の見世物小屋でも覗きに行くような声で言うと、飛十郎はさっさと歩きはじめた。
「弥助、舟を漕いでいるのは、船頭か?」
「へえ。船頭を刀でおどして舟を奪ったんで、漕いでいるのは逃げた侍です」
「は、はは、それなら心配はない。なにしろこっちには、めっぽう腕のいい船頭がついているからな。新兵衛さん、沖に出るまでには追いつけるぞ」
 賀茂明神の鳥居の横から、曲がりくねった崖道を岩場へ降りたとたん、新兵衛は目を見張った。
「おう。これは昨日の夜に乗った、おちょろ舟ではござらぬか。では、花筏どのが漕いでくださるのか」
「へえ。さっそく裏を返してくださるとは、うれしゅうおます。早船さまが、このあたりで一番腕のよい漕ぎ手をお捜しやしたので、そんならこの花筏やゆうて自分からしゃしゃり出たのでおます。さ、早ようお乗りやすな」
 飛十郎と新兵衛が乗り込むと、花筏は艪を握って鮮やかな手付きで漕ぎ出した。狭い湾内に停泊した荷船の間を、よたよたと沖へむかう伊集院の舟にむかって、おちょろ舟は滑るように進んでいった。
「ひとりしか乗っていない舟より、三人も乗ったこのおちょろ舟のほうが早いとは、不思議な話だな。室の津一と自慢するだけあって、おぬしの腕はたいしたものだ」
 飛十郎は感嘆の声をあげて、花筏を見上げた。
「おおきに。舟ゆうもんは、慣れたお人でないと、どうにもならへん代物(しろもの)どす。重量はあまり関係あらへんのどすえ」
 涼しい顔で、言ってのける。
「そういえば、深川の猪牙舟(ちょき)の船頭も同じことをいっていたな」
 伊集院にとって運が悪いことに、御用船は港内が混みあっているとみて、沖合いに船がかりをしたらしい。沖の唐荷島の横に、御用船の帆柱が空を突きさすように立っている。それにむかって必死に艪を動かしている伊集院の姿が、手に取るように見えてきた。明神の鼻をかすめるようにして、おちょろ舟は櫓の音も高く斜めに海を横切って、矢のように伊集院の舟に近寄っていく。
「おおい! もう観念しろ伊集院。悪あがきはやめて、島津家の武士らしく尋常に勝負したらどうだ」
 飛十郎の大声が聞こえたとみえて、伊集院左近は肩を落として艪を下へ置いた。
「おはんの言う通りじゃ。もう逃げもかくれもせん」
「うん、いい覚悟だ。武士は、そうでなくてはな」
「じゃが、注文が一つある。おはんらは二人、おいどんは見られる通り一人。どう考えても不公平ではごわさんか。やはり、ここは藤森どんと一対一の果し合いをしたか」
 弱々しげな声を出すと、伊集院は上目使いで二人を見た。
――こやつ、何かたくらんでいるな……
 そう思った飛十郎が、新兵衛の動きを制止しようとしたが間に合わなかった。二隻の舟の船べりと船べりが接したとたん、新兵衛は身軽に伊集院の舟に乗り移った。底板を新兵衛が蹴ったはずみで、舟と舟はすうっと離れた。伊集院が、不気味な笑いを浮かべた。
 二隻の舟は、およそ二間(約三メ−トル半)は離れていた。新兵衛が揺れる舟の上で、なんとか足を踏みしめた時、伊集院は足元の太い竹竿を持って、向こう脛を横殴りに打った。俗に弁慶の泣き所と言われるほど痛いところだ。
「うっ」
 声を上げて新兵衛はうずくまった。すかさず伊集院が、抜き討ちで新兵衛の肩を斬り下げた。
「あれ!」
 悲鳴をあげたのは花筏である。飛十郎はその声に背中を押されるように、ふわりと空中に飛び上がった
とん、と舟板に片膝をついた時には、すでに飛十郎は伊集院の両脛を横一文字に斬り払っていた。無双直伝英信流の立膝の技〔横雲〕であった。
「わあっ」
 たまらず絶叫すると、伊集院は舟板の上に尻もちを付いた。
「新兵衛さん、今だ。腹を突け!」
 飛十郎の声に励まされて、新兵衛はよろよろと立ち上った。もがく伊集院めがけて新兵衛は、残る力を振り絞って刀を突き出した。
 狭い小舟の上である。船べりに背中を押し付けていた伊集院は、下腹を刀の切っ先に貫(つらぬ)かれたとたん、びくんと跳ね上がると、もんどり打って海へ落ちていった。血に染まった波しぶきが飛十郎と新兵衛に、ざっと降りかかった。
「やったな、新兵衛さん」
 海中に沈んだ伊集院の躰がゆらゆらと浮き上がって、波間にただよっているのを見ながら飛十郎は
言った。
「こ、これも……。すべて飛十郎さんの、助太刀のおかげでござる」
 肩の痛みに耐えながら、新兵衛は答えた。
「そんなことはない。新兵衛さんが、三人の息の根を絶ったんだからな。見事だった」
 懐中から手拭いを取り出すと、血で赤く濡れた新兵衛の肩に押し当てた。
「さて、と……」
 飛十郎は、立ち上がって空を見上げた。沈みかけた夕陽が、海と島々と室の津の低い山並みを金色に輝かせている
「まず、その疵の手当てをせねばならんな。新兵衛さん」
 飛十郎は、おちょろ舟にむかって手を上げた。
「いや、それはご無用にお願いしたい。薩摩藩の家臣を三人も殺害したそれがしには、もはや助かる道はござらん。この新兵衛、飛十郎さんに最後の願いがござる」
 新兵衛は脇差しを抜くと、膝の前に置いた。
「おれに、介錯をさせるつもりか」
 頭に手を置くと、飛十郎は顔をしかめた。
「ご迷惑と思うが、腕を見込んでお願いいたす。花筏のおちょろ舟で、月を見ながら酒を酌みかわした飛十郎さんに介錯してもらえば、もはや思い残すことはござらぬ」
 息を荒げながら、新兵衛はやっとの思いで、これだけのことを言った。
「よかろう」
 飛十郎は、ふところ手をしたまま、瀬戸の島影のむこうに沈んでいく夕陽に目をやった。いつの間にきたのか、花筏が漕ぐおちょろ舟が横に並んで波に揺られていた。
「おぬしは、果し合いの申し入れを受けた時から、死ぬ気だったのだな」
 無言のまま、新兵衛は頷ずいた。
「あの夕陽が沈みきった時に、おぬしの介錯をしよう」
「かたじけない。飛十郎さんと花筏どのに見とられて、あの世にいける新兵衛は幸せ者でござる」
「何をおいいやす。悪いのは、あの侍たちやおへんか。腹を召されることなぞ、少しもおへんえ」
 花筏は、おちょろ舟の上から憤然とした顔で飛十郎を見た。
「早よう、新兵衛さまをお止めしておくれやす」
 困惑した表情で、飛十郎は無精髭をこすった。
「それが、そうもいかんのだ花筏。武士の意地というやつでな」
「あほらし。そんなものは、お捨てよし。町人にならはったらよろしいのや。新兵衛さま、そうおしやす」
 花筏はそう言って、新兵衛に手を差しのべた。
「うちの、おちょろ舟でお逃げやすな。どこへでも好きなところへ、お供しますえ」
「そなたの言葉は泪がこぼれるほどありがたい。われら武士の世界にはない、人の情けというものでござろう。もっと前に飛十郎さんと花筏どのに出逢っていれば、それがしの運命(さだめ)も変わっていたでしょう」
 頬を落ちる大粒の泪を、新兵衛は拳でぬぐった。
「今それがしが逃亡すれば、主君が迷惑いたす。国元の家族も困ったことになる。なに、人を殺せば、おのれが死ぬことになるのは、当り前のことだ」
 きっぱりと言ってのけると、胸元を押し開いて新兵衛は莞爾(かんじ)と笑った。
「けど、どう考えても、理屈にあわんやおへんか。あんな下らないお武家はんたちのために、こんないいお人が死ぬやなんて。ねえ、早船さま、そうやおへんか」
 晴れ晴れとした新兵衛の顔を見て、花筏は悔しそうに唇を噛んだ。
「こら、花筏。こんないい男を、あまり困らせるな。町人と違って、武士には武士の生き様(ざま)があるのだ。なあ、新兵衛さん」
 切っ先三寸を残して、脇差しの刀身に懐紙を巻きつけながら、新兵衛は微笑した。
「花筏、新兵衛さんがあの世に旅立つのを、見守ってやってくれ」
「いやどすえ、うちは」
 花筏は顔をそむけた。
「そろそろ陽が沈みますぞ。さ、飛十郎さん介錯を……」
 新兵衛の声に、飛十郎は振りむいて沖を眺めた。水平線に見える島影のむこう側に、太陽は半ば姿を没しようとしていた。
「うちは……。ぜったいに、いやや」
 新兵衛に背をむけると、おちょろ舟は離れていった。
「おおい、花筏! 遠くからでいいから、新兵衛さんを見送ってやれ」
 花筏の早い艪さばきに、おちょろ舟はみるみるうちに遠去かった。
「どうやら新兵衛さんは、花筏が好きだったようだな」
 呟やくように飛十郎が言った。
「そう思って下さっても、けっこうでござる」
「そうか。ならば、花筏と手に手をとって駆け落ち、としゃれたらどうだ。それも一興(いっきょう)だと思うが」
「いや。それがしの死に場所は、今ここで。と決めておりますれば」
 何の未練もない声であった。
「おぬしの気持ち、花筏に伝えてもいいかな?」
 波間に上下している、おちょろ舟を飛十郎は眺めた。
「無用でござる。秘すれば花、と申しますから」
「そうか。では」
 無双直伝英信流の介錯は、片手斬りである。飛十郎は右足を半足(はんそく)うしろへ引いて、すらりと刀を抜いた。切腹する者に恐怖心を抱かせないために、気合い声は発さない。
 風を切る鋭い刃筋の音が鳴った瞬間、赫奕(かくやく)と光芒を輝かせていた夕陽は完全に沈んだ。


六 おちょろ舟の別れ

「旦那、いい葬式(とむらい)でございましたね」
 室の津から出る急な坂道を上りながら、弥助が言った。
「そうだな。花筏の肝煎りで、太夫をはじめ遊女たちが大勢参列して、境内がいっぱいになった時には、白雲寺の和尚も驚いていたからな。
 海の彼方から吹き渡ってくる風にのって、大きな雲の群れがゆったりと南のほうへ動いていく。
「野辺の送りをしたいといって、花筏が新兵衛さんの骨壺を乗せたおちょろ舟で、室の津の湾内を一周したときには、もっと驚いていたな」
 ふところ手の指を胸元から出して、顎の先を掻きながら飛十郎は言った。
「へい。町中の人が見物に出て、岸壁から海へ落っこちる大騒ぎになりました」
「は、はは、一番びっくりしたのは、あの生真面目な新兵衛さんだったろうな」
「そういえば旦那。新兵衛さまの一行に初めて会ったのは、このあたりじゃございませんか」
「そうだったかな……」
 飛十郎は足を止めて、周囲を見廻した。
「そうですよ。槍をかついだ権次さんを、初めて見たのはここでしたよ」
 弥助がそう言った時、ふいに激しい風が海のほうから吹きつけてきた。たちまち灰神楽のような土埃りが、もうもうと立ち込めてあたりが見えなくなった。
「ぺっぺっ……。なんです旦那、これは。砂粒が口や目に飛び込んできましたよ」
 二人の着物の袖と、袴の裾が大きくひるがえって、飛十郎の鬢(びん)が逆立つように乱れた。
「これが新兵衛さんの返事だ。初めて顔を合わしたのは、間違いなくここだ」
 指で鬢のほつれを直しながら、飛十郎は苦笑いをした。
「なんだ。新兵衛さまの悪ふざけですかい」
「ふ、ふふ.。こうやって新兵衛さんが、おれたちに別れを告げたんだ」
「ほんとだ。不思議じゃございませんか。土埃りが立っているのは、あっしたちがいるこの坂道だけですよ」
 振り返ると、弥助は町を見おろしながら言った。
「あっ。あれは、おちょろ舟じゃないですか旦那。小さくて顔ははっきりしないけど、花筏さんでしょう」
 飛十郎が港を見ると、朝日に照らされた海を一隻のおちょろ舟が滑るように船着場を離れた。
「やっぱり花筏さんだ。こっちにむかって、しきりに手を振っていますよ」
 片手で艪をあやつりながら、花筏はちぎれるように手を振っている。
「弥助、おまえも手を振ってやれ」
「ちえっ、旦那だって振り返してやりゃあいいでしょうに。おおい、花筏さあん! また逢う日まで、お達者でぇ!」
 弥助は両手で口を囲うと、大声を張り上げた。
「おまえにも、そんな声が出るんだな。おい弥助、花筏の横に立っているのは、新兵衛さんじゃないか」
「あ、本当だ。たしかに花筏さんのとなりに、誰か立っている。あれは新兵衛さんだ」
 伸び上るようにして手を振っていた弥助が、驚いたように言った。
「馬鹿をいうな。この世に、霊魂や幽霊がいてたまるか。そんなものは、すべて気の迷いだ」
「だけど、旦那がおっしゃったように、たしかに二人いましたよ。おちょろ舟の上には」 おとなしい弥助が、珍しくむきになって言い返した。
「泪をふけ、弥助。おそらく泪でにじんだ目に、花筏の姿が二重になって見えたに違いない。おれが花筏の横に新兵衛どのがいると言ったのは、冗談だ」
「いいや、冗談なんかじゃねえ。はっきりと新兵衛さまの姿を見ました。それに槍を持った権次さんもいましたよ」
 飛十郎は閉口したように、無精髭をなぜた。
「わかった、わかった。おまえがそこまで言うなら、あの舟には新兵衛どのと権次も乗っていたのだろう」
 花筏にむけて上げた手で、飛十郎は頭を掻いた。
「では、行くぞ」
 名残り惜しそうに手を振っている弥助をうながして、飛十郎は街道にむかって歩きはじめた。

              完   〈助太刀兵法31・御家人馬鹿囃子につづく







  

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